子どものころに行った社会科見学のワクワク感と、大人になって改めて刺激される知的好奇心……両方を満たしてくれる“大人の社会科見学”が人気を集めている。ただ観光地に行くだけでなく、楽しみながら学べるのがポイントだ。
今回は首都圏で話題の、知見が増す体験スポットを厳選。リゾートとアウトドアを愛する旅行ライター、高井章太郎さんに詳しい話を聞いた。
大人になったから分かる、社会科見学の新たな魅力
社会科見学というと、どうしても子どもが勉強するためのもの、というイメージが強い。しかし最近は大人でも楽しめる社会科見学スポットが注目を集めている。
「工場を見学するにしても、生産している製品だけでなく、企業の歴史や流通、関連会社まで広く理解できるのは大人ならでは。会社で働いたり、税金を納めたり、さまざまなサービスを利用したりと、大人になって社会にコミットしてから見学すると、同じ施設でも子どものころとは違った視点から見られるんです」(高井さん)
ダムや橋、道路など生活基盤となる公共施設を見学するインフラツーリズムも、大人の社会科見学そのもの。インフラツーリズムは、国土交通省が特設サイトを作成し観光情報を掲載するなど、国としても推進している観光形態だ。
「このページで紹介している首都圏外郭放水路は、まさにインフラツーリズムで人気のスポットです。ここのようにメディアで取り上げられたり、SNSで話題になったりして注目を集めるスポットが増えているんですよ。巨大な建造物が多いので、写真映えするのも魅力ですね」(高井さん)
普段から利用しているモノやサービスの裏側を知ることができる大人の社会科見学。もちろん親子で楽しめるので、子どもと一緒に出掛けてみるのも良さそうだ。
首都圏を水害から守ってきた、地底50mを貫く巨大トンネル
首都圏外郭放水路(埼玉県・春日部)
長年、浸水被害に悩まされてきた中川・綾瀬川流域の地下に造られた世界最大級の地下放水路。台風などによる中小河川の洪水を地底50mにある総延長6.3kmのトンネルを通して江戸川に流す。トンネルからの水流の勢いを弱めるための調圧水槽を見学する「地下神殿コース」など4つの見学会を開催している。
学びのポイント:コンシェルジュの話は初めて知ることばかり!
「コンシェルジュの解説は社会科見学に欠かせません。首都圏外郭放水路に水を取り込むのは年平均7回で、2002年~2024年8月に148回稼働したそう。長さ177m、幅78m、高さ18mの調圧水槽は圧巻!」(高井さん)
首都圏外郭放水路
●住所/埼玉県春日部市上金崎720
●時間/見学会 10:00~16:00(予約制)。1日5回程度開催。詳しくはHPへ。龍Q館9:30~16:00(最終退館16:30)。
●定休日/見学会は不定休。龍Q館は月曜日(見学会参加者は入館可能)
●料金/見学会は地下神殿コース1000円、ポンプ堪能コース2500円、立坑体験コース3000円、インペラ探検コース4000円。龍Q館は無料
●予約/見学会はHPまたは電話で予約。龍Q館は不要
羽田空港のJAL整備工場で、整備中の航空機が間近に!
JAL SKY MUSEUM(東京都・羽田)
ミュージアムと格納庫を見学する人気プログラム。ミュージアムは自由見学で、JALの歴史や安全なフライトを支える仕事についての展示が充実。客室乗務員やグランドスタッフの制服を着て写真撮影もできる。格納庫はスタッフのガイドツアー形式で、整備・点検中の飛行機を間近に見られるのが魅力だ。経験豊富なガイドの解説が楽しく何度訪れても新たな発見がある。
学びのポイント:実際の整備・点検風景を見られる貴重な体験
「格納庫では飛行機の整備作業が行われており、定期整備やエンジン交換といった作業風景を見ることができます。ときには就航前の真新しい機体が見られるなんていうレアな体験ができるかも!? そんな機体との一期一会も格納庫見学の魅力のひとつです」(高井さん)
JAL SKY MUSEUM
●住所/東京都大田区羽田空港3-5-1 JAL メインテナンスセンター1
●時間/9:30~、10:45~、14:45~の3回
●定休日/水・金曜日 ●料金/無料 ●予約/HPから予約