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2025/1/21 20:00

オトナの社会科見学で“地下神殿”へ!? 達人厳選、映える&学べる首都圏の必見スポット

子どものころに行った社会科見学のワクワク感と、大人になって改めて刺激される知的好奇心……両方を満たしてくれる“大人の社会科見学”が人気を集めている。ただ観光地に行くだけでなく、楽しみながら学べるのがポイントだ。

 

今回は首都圏で話題の、知見が増す体験スポットを厳選。リゾートとアウトドアを愛する旅行ライター、高井章太郎さんに詳しい話を聞いた。

 

大人になったから分かる、社会科見学の新たな魅力

社会科見学というと、どうしても子どもが勉強するためのもの、というイメージが強い。しかし最近は大人でも楽しめる社会科見学スポットが注目を集めている。

 

「工場を見学するにしても、生産している製品だけでなく、企業の歴史や流通、関連会社まで広く理解できるのは大人ならでは。会社で働いたり、税金を納めたり、さまざまなサービスを利用したりと、大人になって社会にコミットしてから見学すると、同じ施設でも子どものころとは違った視点から見られるんです」(高井さん)

 

ダムや橋、道路など生活基盤となる公共施設を見学するインフラツーリズムも、大人の社会科見学そのもの。インフラツーリズムは、国土交通省が特設サイトを作成し観光情報を掲載するなど、国としても推進している観光形態だ。

 

「このページで紹介している首都圏外郭放水路は、まさにインフラツーリズムで人気のスポットです。ここのようにメディアで取り上げられたり、SNSで話題になったりして注目を集めるスポットが増えているんですよ。巨大な建造物が多いので、写真映えするのも魅力ですね」(高井さん)

 

普段から利用しているモノやサービスの裏側を知ることができる大人の社会科見学。もちろん親子で楽しめるので、子どもと一緒に出掛けてみるのも良さそうだ。

 

首都圏を水害から守ってきた、地底50mを貫く巨大トンネル

首都圏外郭放水路

首都圏外郭放水路(埼玉県・春日部)

長年、浸水被害に悩まされてきた中川・綾瀬川流域の地下に造られた世界最大級の地下放水路。台風などによる中小河川の洪水を地底50mにある総延長6.3kmのトンネルを通して江戸川に流す。トンネルからの水流の勢いを弱めるための調圧水槽を見学する「地下神殿コース」など4つの見学会を開催している。

「立抗体験コース」では、深さ約70mの第1立抗を作業用通路と坑内階段から見学する(c)国土交通省江戸川河川事務所

 

調圧水槽から見た第1立抗。第2立坑~5立抗に流れ落ちた水は、トンネルを通って第1立坑へと流される

 

地上から116段の階段を下って調圧水槽へ。水槽内の気温は真夏でも19℃ほど

 

学びのポイント:コンシェルジュの話は初めて知ることばかり!

「コンシェルジュの解説は社会科見学に欠かせません。首都圏外郭放水路に水を取り込むのは年平均7回で、2002年~2024年8月に148回稼働したそう。長さ177m、幅78m、高さ18mの調圧水槽は圧巻!」(高井さん)

コンシェルジュの話は初めて知ることばかり!

 

芝生の広場にたたずむ調圧水槽の入口。ここから階段を下る

 

首都圏外郭放水路
●住所/埼玉県春日部市上金崎720
●時間/見学会 10:00~16:00(予約制)。1日5回程度開催。詳しくはHPへ。龍Q館9:30~16:00(最終退館16:30)。
●定休日/見学会は不定休。龍Q館は月曜日(見学会参加者は入館可能)
●料金/見学会は地下神殿コース1000円、ポンプ堪能コース2500円、立坑体験コース3000円、インペラ探検コース4000円。龍Q館は無料
●予約/見学会はHPまたは電話で予約。龍Q館は不要

首都圏外郭放水路の機能や役割について展示する龍Q館

 

羽田空港のJAL整備工場で、整備中の航空機が間近に!

JAL SKY MUSEUM

 

JAL SKY MUSEUM(東京都・羽田)

ミュージアムと格納庫を見学する人気プログラム。ミュージアムは自由見学で、JALの歴史や安全なフライトを支える仕事についての展示が充実。客室乗務員やグランドスタッフの制服を着て写真撮影もできる。格納庫はスタッフのガイドツアー形式で、整備・点検中の飛行機を間近に見られるのが魅力だ。経験豊富なガイドの解説が楽しく何度訪れても新たな発見がある。

スタッフの仕事を紹介するゾーン

 

歴代航空機12機の模型が並ぶ

 

時代を表す歴代制服の実物展示

 

ボーイング737のコックピットのモックアップも

 

学びのポイント:実際の整備・点検風景を見られる貴重な体験

「格納庫では飛行機の整備作業が行われており、定期整備やエンジン交換といった作業風景を見ることができます。ときには就航前の真新しい機体が見られるなんていうレアな体験ができるかも!? そんな機体との一期一会も格納庫見学の魅力のひとつです」(高井さん)

 

JAL SKY MUSEUM
●住所/東京都大田区羽田空港3-5-1 JAL メインテナンスセンター1
●時間/9:30~、10:45~、14:45~の3回
●定休日/水・金曜日 ●料金/無料 ●予約/HPから予約

工場見学とワークショップで“ 美” を多角的に体験

資生堂那須工場(栃木県・那須)

資生堂の歴史や那須工場について、また化粧品ができるまでの工程を映像や、実際の生産現場を見ながら学べる施設。施設見学の後はさまざまなブランドのスキンケア商品を試したり、ワークショップに参加して、美にまつわる体験ができる(内容は3か月ごとに変更)。

 

学びのポイント:資生堂の最先端の技術が楽しみながら体感できる

「資生堂が1989年から注目してきたスキンケア成分、レチノールをはじめ、さまざまな研究結果を分かりやすく解説。“美”に対する意識が変わります!」(高井さん)

製造から充填、仕上げの製造工程が見学できる

 

資生堂那須工場
●住所/栃木県大田原市中田原906-6
●時間/9:30~、13:30~の2回
●定休日/HPを確認
●料金/無料 ●予約/HPから予約

 

セイコーの歴史をたどりながら、時計についての理解を深める

セイコーミュージアム銀座(東京都・銀座)

セイコー創業100周年を記念して1981年に誕生したセイコーミュージアムが、2020年に創業の地、銀座に移転オープン。地下1階から6階のフロアに、セイコーの歴史や初期の時計など貴重なコレクションを展示する。時計の歴史についても知ることができる。

 

学びのポイント:日本の時計産業を牽引した、東洋の時計王の足跡に感服

「創業者、服部金太郎が奉公先で時計商を志し、苦難を乗り越えて世界に誇る時計メーカーを創業するまでの展示は必見。その信念、生き様に心打たれます」(高井さん)

セイコーの技術の集大成、初代グランド・セイコーも展示されている

 

セイコーミュージアム銀座
●住所/東京都中央区銀座4-3-13 セイコー並木通りビル
●時間/10:30~18:00 ●定休日/月曜日 ●料金/無料
●予約/HPから予約

 

日本最大級の物流施設で最先端の設備と技術にふれる

ヤマトグループ羽田クロノゲート見学コース(東京都・羽田)

羽田空港だけでなく、高速道路、港、貨物列車駅にも近いヤマトグループの物流ターミナル。ハイライトは、24時間休むことなく1時間に最大4万8000個の荷物を仕分けるベルトコンベア。大量の荷物を高速で仕分けしていく様子に見学者から感嘆の声が上がる。

 

学びのポイント:スピード配送を可能にした、究極の物流システムを体感

「1919年に誕生し、現在年間約23億個以上の荷物を運ぶヤマトグループの物流の秘密が学べる施設。集中管理室が一瞬だけ見られるのも、見学者ならではの特権です」(高井さん)

ヤマトグループの取り組みや、物流の仕組みが学べる展示ホール

 

ヤマトグループ羽田クロノゲート見学コース
●住所/東京都大田区羽田旭町11-1
●時間/見学時間はHPを確認
●定休日/月曜日(祝日の場合翌日)
●料金/無料 ●予約/HPから予約

 

この人に聞きました!
旅行ライター:高井章太郎さん
リゾートとアウトドアを愛するライター。最近のマイブームは巨大構造物の撮影

 

※「GetNavi」2024月11号に掲載された記事を再編集したものです