イタリアと言えば、アモーレの国。アモーレと言えば、長友選手と平 愛梨さんの一件で、一時期日本で話題になりましたね。さすがイタリアやね! と思われた方も多いことでしょう。
イタリアからの第1回目は、呼びかけで使う「アモーレ」の現地イタリアでの“実際のところ”をご紹介しますよ! ほら、時期的にもバレンタインですしね!
チャオ・アモーレ! は意訳すれば、「ねぇ、ちょっと」?!
イタリア語でAmoreは「愛」。愛する相手を呼ぶときの呼称として、一般的に幅広~く使用されています。
その対象は、恋人のみならず、子どもや飼い犬・ネコ、妻や夫など。要するに愛、ラブ、萌、大好き♡など、その手の感情を感じた相手を呼ぶ際に使います。WhatsAppやFacebook Messenger (←イタリアでは日々のチャットはLineよりこちらのアプリが多い)でのやりとりの最初に、「Ciao Amore!」から始まることも多々。電話ではちょっと略して「Amo(アモッ)!」と始める人もいます。
これはローマ弁的でもあり、アモーレのちょっと“コアット”な言い方。コアットとはイタリア語のスラングで、ちょいと訳しにくいのでイメージでお伝えすると、めっちゃ日焼け過ぎた太い首に太い金のネックレスつけて、ミラーグラスに太陽を反射させながらコカコーラ飲んでる感じのことを言います。
もはやそうなってくると、日常生活の中に入り込み過ぎて、大した意味はありません。もしチャットの始まりのチャオ・アモーレ!を意訳するなら、「ねえ、ちょっと!」……はっ! 私が鈍感というわけでもありませんよw。
巷によくいると思われているナンパイタリア男が、「Ciao Amore!」なんて声をかけることもありますが、そういう場合、基本的に女子はドン引き。「いつからオマエのアモーレになったんじゃ、ボケ!カス!」ってなもんで、ま、そう考えると、アモーレは「大事で親密な人」に向けて発信されることが限定されるので、大した意味はなくはないですね。はい。
愛情再確認しながら使える便利な呼びかけイタリア語ワード
イタリア的には一般的な呼びかけだけど、日本人が「キャー!」となりそうなものには、ほか、「テゾーロ(宝モノ)」「クッチョロ(仔犬ちゃん)」「ミーチョ(子猫ちゃん)」「ピッコリーノ(おチビちゃん)」などがあります。あ、ちょっとゾクッとしました? でも、ホントに日常的に使います。で、これらに、「ミオ(僕の)・ミア(私の)」をつけて、さらにパワーアップ。
これを読んでる方も、日常生活の中で、相手に対して「この人は僕の宝だなー」と思うことはありましょう。何かうれしいことをしてもらったときとか。そんなとき、日本語だと「君は僕の宝だ!」なんていちいち言うのは、恥ずかしいし、どーかしてるレベルになりかねませんが、イタリア語は便利! 呼びかけで「テゾーロ」と「大事に思ってるよ~」ニュアンスを伝えられますから。
「テゾーロ、ゴミ出しておいて!」「アモーレ、お皿洗って♪」
なんでもありです。
ちなみに、子どもに向けても多用されます。「テゾーロ、宿題やったの?」「クッチョリーノ、早く寝なさい」こういうのは、聞いていて微笑ましいですね。クッチョリーノは仔犬のもっと小さいヤツです。子どもに対する愛情表現は多すぎるに越したことはありません。
イタリア語に比べると日本語は、愛情表現がなかなか難しい。「愛してるって言われない」なんて怒る気持ちもわかるけど、言いにくい気持ちもわかります。I love youが「月がとてもキレイですね」と訳される日本語は、それはそれで奥ゆかしくて素敵な言語ではありますよね。
イタリアのバレンタインは恋人の日
そろそろ日本はバレンタインですね。こちらイタリアでも、ええ、2月14日はバレンタインです。しかし、意味はちょっと違う。ご存知の方も多いと思いますが、バレンタインデーの発祥はイタリア。
2月14日は、古代ローマ時代にローマ教皇によって禁止された戦士の恋愛・結婚を、秘密裏に応援していたバレンティーノ司教が処刑された日で、イタリアでは聖人バレンティーノを奉る日となっています。宗教感はありますが、クリスマスやイースターほどではなく、なんとなく「恋人の日」として、男女にちょっとしたプレゼントを送ったりします。
チョコをあげたり、もらえなかったり、義理チョコ面倒くさがったり、あえてあげない!なんて宣言してみたり……は、日本独自のもの。商業的なイベントとはいえ、愛していても「月がとてもキレイですね」としか言えない日本人にとっては、需要と供給がマッチした神企画だったのではないでしょうか。
昨今は、単なるチョコイベントになりつつあるようですが、「そんな日なくても告白できる」勇者が増えたのか、恋愛至上主義が去ったからか。あげることに意味がなければ、もらわないことにも意味はない。平穏な平日になるのも、またよしかもしれません。