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2017/3/21 6:00

【いまさら聞けない】よくニュースで耳にする「PISA型学力」ってなに? 

OECD(経済協力開発機構)が2015年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表され、日本は、科学的応用力は2006年調査以降で最高の2位、数学的応用力も7位から5位に上昇したことが話題になりました。そこで今回は、PISAで測られる学力とはどういうものなのかを解説します。

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PISA型学力とは
OECD(経済協力開発機構)が測る学力のこと。学校で習ったことをどの程度理解しているかではなく、知識や経験を活用して、実生活のさまざまな場面で直面する課題について、自分で積極的に考える能力のことです。

 

 

日本は、世界的にみても学力は高い!?

PISA調査とは、OECD(経済協力開発機構)が、加盟国を中心に3年ごとに実施する学習到達度調査です。世界72カ国・地域の15歳男女約54万人を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について実施しています。

 

2015年の調査では、日本からは198校、約6600人が参加しました。

 

結果は、下のグラフにあるように、科学的リテラシーは前回の4位から2位、数学的リテラシーも7位から5位に上昇しています。一方で前回4位だった読解力は8位に落ちました。

 

順位の上下はともかく、世界の中でも高い学力を維持しているということですから、日本の子どもたちも頑張っているんですね。

グラフ出典:平均得点及び順位の推移〔国立教育政策研究所OCED生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイントより〕
グラフ出典:平均得点及び順位の推移〔国立教育政策研究所OCED生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイントより〕

 

どれだけ覚えたかではなく、学んだことを実生活で活用できるか

この調査の目的は、義務教育修了段階の生徒が、学校のカリキュラムに関係なく、学んだ知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価することです。

 

つまりPISA型学力は、どれだけ知識を覚えたかではなく、覚えた知識を使って実生活の中で活用する能力といえるでしょう。これは、以前解説した21世紀型能力にも重なるものです。

 

 

データを読み取り、筋道立てて説明する力が測られる

PISAでは具体的には、図表・グラフ・地図などを含む文章を読んで、そこから課題をみつけて、答えをだすための方法や考え方を論理的に説明することが求められています。また、「自由記述形式」の出題が多いのも特徴です。

 

例えば暑い日のランニングについて、データをみて、気温の上昇が汗の量に与える影響について説明するという問題が出題されました(2015年)。

 

また、読解力を測る問題では、携帯電話の安全性についてといったテーマで、相反する意見を述べた問題文を読み、それに対する自分の「意見を表現する」ことが求められています(2009年)。

 

さらに今回から、出題形式が、筆記型からコンピュータ使用型調査に変わりました。これは、日常生活の中でICT(情報通信技術)が欠かせない現代社会で、その活用力をみるためです。

 

 

日本の子どもは自分で考え、表現するのが苦手?

今回、読解力の成績が下がったのは、コンピュータ使用型調査に不慣れだったためともいわれていますが、気になるのは、“従来から見られた「自分の考えを説明すること」などに課題がある”という文部科学省の報告です。

 

子どもたちは、文中から正解をさがす癖がついていて、自分で考えない傾向があるようです。

 

しかし、正解のない時代に必要なのは、予想外の事態にぶつかった時に、自分で判断し、行動し、よりよく問題を解決する力です。

 

 

学ぶ意欲を育てるのは楽しさ

そのような力を身につけるためには、日ごろから自分だったらどう思うかということを考える訓練をしておくことが必要です。同時に、社会のさまざまなことに関心を持ち、学び続ける意欲を育てる必要があります。

 

そのためには、学ぶことが楽しいと思えるかどうかがポイント。しかし、今回の調査では「科学の楽しさ」の指標は下がり、OECD平均を下回ったという結果が出ているのも気になるところ。

 

子どもたちの中に学ぶ意欲を育てることが、PISA 型学力を身につける最初の一歩かもしれません。

 

PISA型学力のポイント

OECD(経済協力開発機構)が測る学力で、どれだけ知識を覚えたかではなく、覚えた知識を使って実生活の中で活用する能力。

学校のカリキュラムに関係なく、学んだ知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるかが問われる。

 

 

参照:
OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)のポイント
国立教育政策研究所OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

 

 

【参考文献】

中曽根陽子
教育ジャーナリスト

教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。子育て中のママたちの絶大な人気を誇るロングセラー『あそび場シリーズ』の仕掛人でもある。 “お母さんと子ども達の笑顔のために”をコンセプトに数多くの本をプロデュース。近著に『1歩先行く中学受験成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などがある。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザ インする力を育てる学びの場「Mother Quest 」も主宰している。公式サイトhttp://www.waiwainet.com/

 

 

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