いよいよ本格的な旅行シーズンが始まりました。旅の計画を立てたり、準備をしたりするのも楽しみのうちですが、毎回頭を悩ませるのが荷造り。飛行機への預け入れや現地での持ち運びなどで大事な荷物を安全、かつダメージなく管理でき、さらにスーツケース自体も持ちこたえる必要がありますから、スーツケース選びとパッキング術は重要です。
今回は、プロテカやゼロハリバートンなどスーツケースのブランドを多く取り扱う大手かばんメーカー、エースで広報を担当し、普段から旅行者向けにパッキングの講習で講師も務める山田絢音さんに、スーツケースの選び方と、パッキングのコツについて教えてもらいました。
まずはどのようなスーツケースを選ぶべきか、その求められる機能とは?
1.容量は“1泊10L”が目安
「スーツケースを選ぶ際に、最初に決めておくべきなのは容量です。どういった地域に行くのか、どんな旅が目的かなどにも左右されますが、基本的に10L×宿泊日数が目安。また、帰りはお土産などで荷物が増えることを想定すると、行きの荷物はスーツケースの約60%に抑えたほうが無難なので、そこも考慮しましょう。ちなみに航空機に持ち込む場合は、およそ20kg以上(航空会社規定による)の荷物に超過料金がかかることはお馴染みですが、縦横高さの合計が158cm以上でも超過料金はかかるので注意が必要です」(山田さん・以下同)
2.ファスナータイプかフレームタイプか
「スーツケースには、ソフトシェルの外装をファスナーで開閉するタイプと、金属フレームが仕込まれ頑丈なタイプの2種類があります。最近は軽いファスナータイプが人気ですが、ワインを買って帰りたい場合など、中の荷物をしっかり守りたい場合はフレームタイプがお勧めです。スーツケースの中に入れるものを考えて選んでくださいね」
3.ホイールが軽快で頑丈であること
「キャスターには2輪と4輪がありますが、どちらを選ぶにしてもホイール自体の頑丈さとスムーズな動きが重要です。取り回しがよく悪路に強い双輪(ダブルホイール)タイプならよりいいと思います。キャスターのスムーズさは疲れにくさにつながりますから。最近では、特に女性に、キャスターにロック機能が付いているモデルの人気が高いですね」
4.鍵はTSAロック付きなら万全
「鍵は、TSAロックが付いたモデルを選びましょう。TSAロックとは、 TSA(Transportation Security Administration・アメリカ運輸保安局の略)に認可、容認されているロックです。これはアメリカ旅行では必須ですが、他の地域でも、TSAロックなら鍵をかけたまま荷物を預けられるというケースが増えています」
5.ハンドルは高さを微調整できること
「ハンドルの高さが自分の身体に合っているかも、疲れに直結します。立って待っている時や坂道を引く時など、最適なハンドルの長さは変わるので、高さを多段階で調整できるタイプなら扱いやすく、さまざまなシーンに対応できますから、この点もチェックしましょう。またサイドのハンドルを機内持ち込みサイズに収めるためになくしているモデルも多いのですが、荷物の出し入れにはあった方が便利。ここも要チェックです」
6.空港の受け取りで目立つカラーを
「いったん買ったら長く使うスーツケースは、ブラックやホワイト、シルバーなど無難な色を選びがち。でも似たような色のカバンが並ぶと、空港の荷物受け取り場などで混乱してしまいます。明るい色柄のケースを選べば、ターンテーブルで遠くから見つけやすく、間違って持って行かれる心配も減ります。もちろん、目印になるような華やかなラゲージタグなどを付けてもOKです」
注目の最先端・機能充実スーツケース
スーツケース選びのポイントを教えてもらったところで、これを踏まえて2017年夏に注目の最新スーツケースを5モデルピックアップしました。
“縦横に開く”、新発想の使いやすさ
プロテカ
360s(スリーシックスティ・エス)
32L=6万480円〜85L=7万6680円
エースのフラッグシップブランドである「プロテカ」の最上位モデル。ボディにぐるりと高耐久性ファスナーを巡らせ、縦にも横にも開けられる新発想のスーツケースです。その場に合わせて蓋の開ける方向を変えられるので、自室やホテルのベッドサイドなどの狭いスペースでも、楽に荷造りができます。リニューアルした最新の「360s」は、ホイール部にクロム鋼のベアリングを仕込んでおり、軽く静かに動かせるのもポイント。マーメイドピンクやホライゾングリーンなど、カラフルな7色を展開しています。日本製で、3年間無償保証付き。
衝撃に強いのに超軽量でラクラク
サムソナイト
コスモライト スピナー
36L・6万1560円〜144L・8万8560円
水よりも軽いとされるポリプロピレンシートを幾重にも重ねた独自素材“カーヴ”をボディに採用しており、機内持ち込み可能な36Lで1.7kg、144Lでも3.4kgという驚異的な軽量化を実現したスーツケース。預け入れ荷物の厳しい重量制限をクリアするのに助かります。加えて、どんな環境下でも衝撃や圧迫に耐える高い耐久性も備えています。貝殻の強さを意識した丸みを帯びたデザインが個性的。多段階に高さを調整できるハンドル、TSAロックなど、基本的な機能も充実しています。
デザインにも機能にもカワイイを凝縮
HaNT(ハント)
マイン
33L・2万7000円〜75L・3万3480円
“わたしのスーツケース”をコンセプトに女性目線で作られたスーツケースブランド「HaNT」。キャスターのロック機能に、本体色ごとに異なるデザインの内装生地、空港やホテルのロビーなどでスーツケースを開けても中が見えない仕切りなど、女性ユーザーが喜ぶポイントが詰め込まれています。さらに仕切りにはマチ付きポケットを備えており、充電器や化粧品など、出発間際に詰め込みたいアイテムをさっと収納できるといった、細かな配慮も。カラーラインナップも、アネモネレッドやブルークローバーなど、女性らしい華やかなカラーリングです。
ちょっと目を離しても安心
ace.
リップルZ
35L・2万8080円〜93L・3万5640円
ハイコスパのスーツケースブランド「ace.」。この「リップルZ」は、ワイヤーロックを搭載しているセーフティなスーツケースです。例えば特急電車内など、席から離れた場所に荷物置き場がある場合にも、ワイヤーをボディから引き出し、柱などに巻き付けてロックできるので安心です。他にも、静音性が高い双輪タイプのホイールや、電車の揺れなどでスーツケースが不意に動いてしまうのを防ぐキャスターのストッパーなど、便利な機能も備えています。
スマホからスーツケースをチェックイン
リモワ
サルサ マルチホイール リモワ エレクトロニック タグ
7万8840円〜18万9000円
アルミニウム製のアイコニックなスーツケースで知られるリモワから、デジタルソリューションを内蔵したモデルが登場。この「リモワ エレクトリック タグ」は、スマートフォンでチェックインし、Bluetoothでバゲージタグ情報をスーツケースに転送、ボディ側面に付いている“E-inkディスプレイ”にその情報を表示できるという未来型。航空会社のアプリが対応していることと、空港側がサービスに対応している必要がありますが、これが使えれば荷物を預けるのにカウンターに並ぶ必要がなくなるのです。写真のポリカーボネイト製のほか、アルミニウム合金製スーツケースのシリーズにもラインナップしています。
後編では、短時間で荷物をまとめられ、荷解きも簡単なパッキングの基本をお伝えします。
※商品の価格はすべて税込表記です。
Profile
エース マーケティング部 広報 / 山田絢音
かばんメーカーの広報担当として、バッグの選び方やパッキングにまで精通。旅行前に旅行会社主催で開催される参加者向け講習会などでもレクチャーしており、そこでは“ロールケーキ・ミルフィーユ詰め”などパッキングの実演も行っている。
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