『持たない幸福論』(pha・著/幻冬舎・刊)という本があります。日本一有名なニートだった著者が、お金にこだわりすぎなくても得られる幸福感について、実践した結果と考察をまとめたものです。
居場所の作り方
人間が人生の中でやることって結局、大体七割くらいは「居場所を作るため」の行動じゃないかと思う。(中略)居場所というのは「安心して居られる場所」「自分はここにいてもいいんだと思えるような場所」のことだ。
(『持たない幸福論』から引用)
本書『持たない幸福論』では、著者のphaさんが「居場所や仲間をつくる10項目のコツ」を提案しています。
【複数の場所に顔を出す】
いちばん身近な「居場所」は、(1)自宅と(2)職場です。さらに、(3)趣味サークルや地域コミュニティに所属すれば、生活にメリハリが生まれます。
3つの「メイン居場所」のほかにも、1年に数回だけの集まるような「サブ居場所」があると良いそうです。同窓会、元同僚たちのOB会、同業他社の有志による勉強会&懇親会など。匿名で集まることができるSNS上のグループも、リラックスできる居場所のひとつです。
【自分が主催者になる】
両親と同居しているけれど居心地がよくない。ひとり暮らしが寂しい。いまの職場は気に入らないことが多い。参加したい集まりがない。
アレがない、アレが足りない……ないものは、自分で作りましょう。
(1)新しい家庭をつくる → シェアハウス、シェアルームの管理人になる。
(2)新しい職場をつくる → 副業を始める。
(3)新しいサークルやコミュニティをつくる → SNSのグループ機能を使ってゆるく繋がる。
「働く」「仕事」を再考する
仕事をするために人生があるのではなくて、より良く生きるための手段の一つとして仕事というものがあるに過ぎない。
(『持たない幸福論』から引用)
わたしたちは、時間をムダにしてはいけないと思い込んでいます。なぜなら、時間を活用しない=何もしないことは「損」につながる、という思い込みがあるからです。
本書『持たない幸福論』の著者であるphaさんは、「何かやらないと時間がもったいない!」「ぼーっしていると人生がもったいない!」という人は、体力が余っているだけではないかと述べています。
気力や体力がない人は、無理に何かをやらなくても良いのです。phaさんは体力が余っていません。働くのが得意ではない。だから、少ない収入で、ぼーっとしながら楽しく暮らすためのコツを知っています。
長続きする「人付き合い」のコツ
僕がお金がなくてもそんなに不満がないのは自分が一番やりたいことは実現できているからだと思う。
(『持たない幸福論』から引用)
なぜ収入が少なくても不満がないかといえば、phaさんは自分がやりたいことを実現しているからです。
ゆるいつながりの仲間と付き合って、料理をしたり、それを分けあったり、散歩したり、ときどき遠出したり、本やゲームソフトの貸し借り(シェア)をしています。
人恋しいのに、「お金がないから」「お金が減るから」という理由で会わない、集まりに出かけないことはありませんか? 人付き合いは、お金をかけないほうが長続きします。孤独に陥らないためのコツです。
ぼーっと楽しく幸福に生きる
「そんな生き方は間違っている」「世の中はそんなものは認めないぞ」とか言ってくる人がいるけど、そういうのはよく分からない宗教の人が「あなたの生き方は我が教の教義に反しているので死後十億年間地獄に堕ちます」とか言ってくるのと同じなので、「ああ、別の宗教の人だな」と思ってほっとけばいい。
(『持たない幸福論』から引用)
働きたい人は、好きなだけ働けばいい。ただし、「働くのが当たり前」という考え方を、他者に押しつけるべきではない。体力がない人、収入が少なくても幸せな暮らしができる人は、あまり働きたくないからです。
本書『持たない幸福論』の著者であるphaさんは、「絶対にやらなければいけないことは、それほどない」と述べています。生きることですら、権利であっても義務ではありません。あなたは幸福に生きる権利があります。お試しください。
【書籍紹介】
持たない幸福論
著者: pha
発行:幻冬舎
「正社員にならねば」「結婚しなければ」「子どもを作らねば」「老後に備えなければ」……「こうあらねば」が人を追いつめている。生きるのが苦しいときは、世間の価値観や周りの意見にとらわれずに、自分が好きなものに立ち返るといい。仕事や家族やお金に頼らず、社会の中に自分の居場所を見つけ、そこそこ幸せに生きる方法を、京大卒の元ニートが提唱。