キックスケーター、空港、W杯スタジアムから見る「近代化」
近代化が進むロシアの街では、町中で必ずと言って良いほど見られるのが、「キックスクーター」で移動する人々。大人が使用するにふさわしいスマートな車体、そして自動車などの渋滞に縛られない、公共交通機関とスクーターの併用でエコなシティライフを送るモスクワっ子が増えています。
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一方、今年のワールドカップ前に「ロシア近代化の象徴」として全面的に改装されたのが、モスクワの「空港」。空港内は明るく綺麗でモダンな装いとなり、ソ連時代の面影をまったく感じさせません(写真はドモジェドヴォ空港)。
特に、便利さが際立ったと思われるのは、手荷物受取場(バゲージクレームエリア)の改善です。手荷物が搬出される場所と同じフロアに、カフェや免税店、鉄道のチケット売り場などが併設。他国では一般的な感もあるようですが、ソ連時代の空港ではあり得ない状況で、利用者が開放的な気分のまま時間を有効に使う後押しとなりました。国民にとっては、荷物を待つストレスから解放されたことは、それ以上の価値と開放感があるといっても過言ではないのです。
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さらに同時進行で国が力を入れた、ワールドカップメインスタジアム「ルジニキ」。ロシアの技術を結集し、3年がかりで完成させた「世界最高峰のスタジアム」と言われています。ルジニキは「伝統と未来の融合」をテーマに、開場当時の古い外装をあえて残しつつ改装されました。また、ロシアの厳しい環境下でもベストな天然芝を保つため、35キロにも渡る排水装置や、極寒の冬に芝生を温める暖房装置を有しています。
屋根自体は巨大液晶スクリーンになっており、文字や映像を映し出すことが可能。座席は特別な設計を施しており、これこそ世界的にも珍しいと言われる、どの席からでもピッチ全体が100パーセントきれいに見渡せるようになっています。
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W杯が国民に与えた影響
歴史的に見ても、近隣国を侵略したり、されたりしてきた大国ロシア。近代化が進む反面、国民性はとてもオープンとは言い難いものでした。しかし、今回のワールドカップでかつてない数の外国人観光客が来たことにより、国民は外国人に慣れ、以前よりとても寛容になったと感じます。今回のワールドカップはロシアの外面だけでなく、内面にも大きな影響を与えました。これからが、本当の意味での近代化が進んでいくのかもしれません。今後のロシアからもさらに目が離せないでしょう。