ライフスタイル
2018/8/20 6:00

仕事がデキる人はもれなく「習慣の奴隷」である ──『天才たちの日課』

偉大な映画監督は○○○でハイになる

ここ七年間、食事はビッグボーイでとっている。行くのは二時半ごろ。昼の混雑が一段落したあとだ。チョコレートシェイクを一杯と、コーヒーを四杯か五杯か六杯か七杯──砂糖をたっぷり入れて飲む。チョコレートシェイクにも砂糖がたっぷり入っている。
(中略)
大量の砂糖でハイになると、アイデアが次々に湧いてくるんだ。
デイヴィッド・リンチ(映画監督)

(『天才たちの日課』から引用)

 

リンチ監督に負けないほどの甘党といえば、哲学者のキルケゴールです。コーヒーを飲むときには、カップのなかに砂糖を山盛りに積み上げて、その頂上から濃いコーヒーを注いだものを好みました。キルケゴールの嗜好は、まさに『死に至る病』です。

 

作曲家のベートーヴェンは、仕事をするときに飲むコーヒーをいれるため、1杯につき「60粒のコーヒー豆」を数えていた時期があったそうです。インスピレーションを得るために必要だったのでしょう。

 

 

習慣の奴隷になろう!

私がとくに注目したのは、人々の”ルーティン”すなわち日常的な習慣だ。
“ルーティン”という言葉には、「平凡さ」や「思考の欠如」といったニュアンスがある。習慣に従うことは惰性で動くことだ。しかし個人の毎日の習慣は、ひとつの選択、または一連の選択の結果でもある。

(『天才たちの日課』から引用)

本書『天才たちの日課』には、変人にまつわるエピソードも収録されています。しかし、その変人たちですらルーティン、つまり規則正しい生活を繰り返しています。天才や革新者のイメージに反して、早朝に起きて仕事をはじめる「朝型人間』が過半数を占めています。

 

ほとんどの天才たちは、きちんと仕事を終えてからお酒を飲みます。なるべく愛する人や家族と過ごすようにしていました。推理作家のアガサ・クリスティは、家事をおろそかにせず、スキマ時間をつかって数々の名作ミステリを書き上げています。

 

本書『天才たちの日課』は、100名以上の天才たちの伝記やインタビューにみられる「習慣」をまとめたものです。読み進めるほどに、無秩序や破天荒だと言われていた天才たちが、じつは「習慣の奴隷」であったことを思い知らされます。お試しください。

 

【書籍紹介】

天才たちの日課

著者: メイソン・カリー
発行:フィルムアート社

偉人たちも、いや偉人たちこそ、最高の仕事をするために、毎日どう時間をやりくりし、どう過ごせば創造性や生産性を高められるかを悩んでいました。彼らはどう解決していたのでしょうか。そのヒミツは日常のごく平凡な小さな積み重ねにあったのです! 本書では、古今東西の小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督など161人の天才たちの、これまで見過ごされてきた「仕事の周辺」に注目。起床時間、就寝時間といった毎日のスケジュール、部屋での様子や生活信条、仕事の際のクセやこだわり、嗜好品をまとめることで見えてきた、知られざる素顔や意外な事実は、驚きとともに、創造的な活動を続けるための秘訣に値する手がかりが満載でした。

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