地方自治体が定めた避難所で避難生活を送るときは、在宅避難グッズとは必要なものが若干異なります。慣れない環境で少しでも快適に過ごせるように、忘れず持っていくべき非常持ち出し品をピックアップしました。
【解説してくれた人】
和田隆昌さん
災害危機管理アドバイザー、防災士。地震災害、気象災害、レジャー災害の対策に精通し、執筆や監修、講演活動など幅広く活動中。
非常持ち出し袋は一人ひとつ、在宅避難グッズとは別に準備
外部へ避難するときは、在宅避難グッズから必要なものだけをリュックに詰めて持ち出せば良いと考えがちですが、「在宅避難グッズと非常持ち出し袋は、別々に準備するべき」と和田さんは語ります。
「自宅と避難所では必要なものが異なりますし、非常時にすぐに持って出かけられるように非常持ち出し袋は事前に準備しておきましょう。市販のセットもありますが、実は半分くらい不要なものが入っていることも多く、実用性に乏しいのであまりオススメしていません。女性、子ども、高齢者など、人それぞれ必要なものも異なるので、個別にリストを作ってまとめておくほうが安心です。
最後に置き場所ですが、普段使わないからといって押し入れの奥などに入れると、肝心なときに置き場所を忘れていたり、取り出すのに時間がかかったりしてしまいます。できるだけ玄関に近い場所に置いておきましょう」(和田さん)
【その1】遮光性が高く柔らかい素材でぐっすり眠れる!
PLEMO
立体型睡眠アイマスク EM-452
実売価格999円
目の周りに空間を作り、圧迫感を減らした3D立体型アイマスク。鼻部分は隙間をなくす形状で、しっかり光を遮断します。バンドはマジックテープ式なので長さの調整が可能。
【その2】気になる周りの雑音をカット、ソフトで快適な着け心地!
モルデックス
Mellows
実売価格480円
軽くて柔らかい使い捨てタイプの耳栓。テーパー式なので、圧力をかけずに耳の穴にピッタリとフィットします。30dBの遮音性があり、中~高音レベルの騒音環境に最適。
<アイマスク 耳栓なぜ必要?>
周りの声やライトの光など避難所で安眠は難しい!
非常時は不安からくるストレスで安眠できない人も多いですが、避難所ではそんななかで他人と並んで寝ることになります。睡眠不足で体調を崩さないよう、しゃべり声や足音などの雑音、他人の懐中電灯の灯などをシャットアウトしましょう。
【その3】スマホを6回以上フル充電できる大容量モバイルバッテリー
RuiPu
モバイルバッテリー ソーラーチャージ 24000mah
実売価格3299円
ソーラーパネル搭載で、日光に当てて自動充電が可能なモバイルバッテリー。24000mahと大容量なので、スマホを6回以上フル充電できます。LEDランプ搭載で、USB扇風機も付属。
<モバイルバッテリーなぜ必要?>
情報収集や連絡のためスマホは常に使えるように!
スマホが1台あれば、ネットやラジオから情報が得られ、SNSで家族や友人と連絡も取れます。スマホの充電切れを防ぐためにはモバイルバッテリーが便利ですが、それ自体が充電切れになる場合もあるので、ソーラー充電可能だと安心です。
【その4】水も歯ブラシも不要!シート1枚でスッキリ
無印良品
歯みがきシート
290円
水を使わずにいつでもどこでも歯を磨ける歯みがきシート。キシリトールやスペアミント油、チャ葉エキスが配合され、災害時でも口内を清潔に保てます。小さくて携帯に便利。
【その5】99%カットフィルタでウイルスをブロック!
ユニ・チャーム
超快適マスク プリーツタイプ
ふつうサイズ 7枚入
実売価格429円前後
本物のシルク配合の、肌にやさしいマスク。ノーズフィットを搭載し、鼻の隙間を作りにくいです。「99%カットフィルタ」により、ウイルス飛沫、花粉、PM2.5の侵入も防ぎます。
<マスク 歯みがきグッズなぜ必要?>
細菌・ウイルス感染に注意が必要!
非常時は免疫力が低下するので、避難所のような人の集まる場所では感染症が起こりやすくなります。口内の汚れから、細菌感染を起こす場合も。マスクは女性用や子ども用もあるので、自分に合うサイズを準備しましょう。
<非常持ち出し袋に入れるものリスト>
非常持ち出し袋に入れる基本のセットは以下の通り。女性なら生理用品、乳幼児ならおむつなど、それぞれ必要なものを追加しましょう。
□ 飲料水(500・ペットボトル×2本)
□ 非常食(菓子類、ゼリー状のドリンク)
□ 医薬品(1週間分)、マスク
□ 衣類、替えの下着類(3日分)
□ アイマスク、耳栓
□ 懐中電灯、電池(手巻き式が◎)
□ 携帯ラジオ
□ スマートフォン、充電器、予備バッテリー
□ 現金(数千~2万円くらい)
□ 歯みがきグッズ
□ 雨具
□ タオル(大小)
□ 洗面道具、石けん
□ ウェットティッシュ
□ ビニール袋
□ 風呂敷
□ 筆記具(油性マジック、ボールペン)、メモ帳
□ お薬手帳
□ 貴重品(財布、印鑑、通帳など)
□ 軍手、皮手袋
□ ナイフ、はさみ
□ 布ガムテープ
□ ローソク、マッチ、ライター
□ ロープ
□ ビニールシート
□ 簡易食器セット(プラスチック製)
□ ヘルメット、防災ずきんなど
□ ラップ、アルミホイル(22・幅)
□ 使い捨てカイロ(冬季)
□ サバイバルシート
長期避難ではアウトドアグッズが活躍!
持ち運びがしやすく、過酷な環境でも使いやすいアウトドアグッズ。これらの工夫は、非常時にも何かと役立つのです。
リュックとイスが合体しどこでも座れる!
ISPACK
イスパックHQ
実売価格1万2744円
耐荷重100kgのスツールとしても使えるリュック。本体には丈夫な1680デニールナイロン生地を使用。避難所では列に並ぶ際の待ち時間などに活用できます。
マットにもなり汎用性が高い!
コールマン
パフォーマー・/C5
実売価格4370円
封筒型のスリーピングバッグ。快適温度5℃以上と保温性が高く、ファスナーを開けると190×160cmのマットなどとしても使えます。洗濯機で丸洗いも可能。
便利なUSBポート付き!
コールマン
クアッドマルチパネルランタン
実売価格1万584円
着脱可能な4つの発光パネルが付いたLEDランタン。光量は3段階で調節でき、最大約20時間点灯可能です。スマホの充電にも活躍するUSBポート付き。
スマホでの情報収集に使える「防災アプリ」
地震速報や天気情報、避難所情報など、いまやスマホアプリがあればほとんどの情報は入手できます。ここでは、事前にダウンロードしておくべき、4つの無料防災アプリを紹介します。
いち早く災害情報をキャッチ!
ヤフー
Yahoo!防災速報
(iOS/Android)
無料
緊急地震速報や豪雨予報、避難情報など災害情報をプッシュ通知でいち早く知らせてくれるアプリ。現在地のほかに3地域分の設定ができ、離れた家族の防災対策にもなります。
気象情報が詳しくわかる!
日本気象協会
tenki.jp
(iOS/Android)
無料
市区町村単位で、3日先までは1時間ごとのきめ細かい天気予報がわかる日本気象協会のアプリ。豪雨レーダーや注意報・警報のほか、最新20件の地震情報なども確認できます。
最も近い避難所へルート案内!
ファーストメディア
防災情報 全国避難所ガイド
(iOS/Android)
無料
全国の自治体が定めた避難所が約13万件収録されていて、その道順をルート案内してくれる災害時用ナビゲーションアプリ。現在地に連動した防災情報もプッシュ通知されます。
ケガや体調不良への対処を学ぶ
保健同人社
応急手当
(iOS)
無料
やけど、鼻血、トゲが刺さったときなど急なアクシデントへの対処法を掲載した事典的アプリ。緊急時に慌ててチェックするよりも、前もって頭に入れておきたい内容です。
<家族などの安否確認は171とSNSを活用する>
いち早く家族の安否を知りたいとき、または自分の無事を伝えたいときにもスマホは必須。災害用伝言ダイヤル(171)だけでなく、LINE、Facebook、TwitterといったSNSに登録しておくと非常時も連絡が取りやすいです。
文/柚木安津、保谷恵那(本誌) 撮影/我妻慶一 イラスト/勝間田しげる