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2019/2/17 17:30

老後まで考えたら?分譲か賃貸か、マンション選びの正解とは

引っ越しや異動、結婚、出産など、人生のターニングポイントを迎えると、気になってくるのが住まいのこと。賃貸マンションを借り続けるのが得なのか、同じ“マンション”なら購入したほうが将来のためにいいのか、気になるところです。今回は、分譲マンションと賃貸マンションのどちらを選んだらいいのか、不動産コンサルタントの長谷川 高さんに聞きました。

 

不動産物件を“財産”と考える時代も……

「マイホーム」という言葉が大流行した時代があったように、数十年前までは不動産を財産として残す、という考え方が主流でした。もちろん今でも、それが価値あるものであることには変わりありませんが、終身雇用制が崩壊し、安定した生活が保証されなくなった現代では、ローンという長く大きな借金を抱えることに、不安を持つ人が増えてきています。

 

「たとえば将来、海外留学をしたいとか、もう一度大学院に入って学び直したいと思ったときに、ローンを払わなければならないことが足かせになって、チャレンジする勇気が持てなくなるような可能性は排除したいものです。そのような理由から、30代〜40代の方には賃貸に住むことをおすすめしします。また、不動産を購入するにしてもフレキシブルに動けるよう、自分の身の丈に合った物件を探しましょう」(不動産コンサルタント ・長谷川高さん、以下同)

 

分譲と賃貸、どちらがお得!?

一度購入してしまえばいずれはローンが終わり、家賃を支払う必要のなくなる分譲マンションは、自分の財産となります。一方、賃貸マンションは管理組合への参加や修繕などの積み立てもなく、責任がつきまとわないので楽でしょう。いったいどちらが得なのでしょうか?

 

「そのときの価格変動も影響するので正確な計算はできないのですが、お金の面では、結局はトントンだと言われています。分譲は最終的に自分の財産になりますが、築年数がたてば修繕費用がかかりますし、長く住み、十数年後にどの程度の価値となるのかは物件によって異なります。また、以前は分譲マンションの方が、賃貸マンションより頑丈だったり安全だったりと、建物自体に差がありましたが、今は以前ほど大きな差がなくなってきました」

 

賃貸は身軽、気持ちが変われば引越しできる

 

賃貸マンションに住むよさは、なんといっても“身軽でいられる”ことでしょう。結婚や出産、介護、転勤など、さまざまな事情に合わせ、そのときどきで都合のいい場所に引っ越すことができます。

 

「また、ご近所づきあいや周囲の環境の変化が気に入らなくなった場合にも、簡単に引っ越せるのが賃貸のメリットです。ただし、長い目で見て老後のことを考えたとき、身体が弱くなったから手すりをつけよう、などと簡単にリフォームはできませんし、立ち退きが必要になったときにどうするか、年金だけで家賃をずっと支払っていけるか、などの問題がつきまとうのも事実です。今後も生活スタイルに変化がありそうな方は、賃貸をメインに考えて、ゆくゆくの購入を検討するのがおすすめですね」

 

老後の生活は分譲マンションがおすすめ

 

先にも述べたように、不動産物件を購入する理由のひとつには「老後、住むところに困らないために買っておきたい」といったものが挙げられます。実際に不動産を購入することで、この目的は達成できるのでしょうか?

 

「老後の生活を考えたとき、年金の支払額がどの程度なのか、財産となる実家が存在するのかなど、人によってどのような準備をすべきかはさまざまです。ただ一般的に言って、分譲マンションがあれば、困ったときそれを担保に借金をするとか、売却するとまとまったお金になり、自分が老人ホームに入るときの入所金に当てるなど、さまざまな使い方ができるのです。ただし、注意しなければならないのは、そこに老後も住み続ける場合も想定しておくことです。スーパーマーケットまで車がないと行けない地域や、エントランスまで階段が多い物件などは避けたほうが賢明です。自分が動けなくなったときもそこに住み続けていられるか、想像してみましょう」

 

分譲マンションを購入するときに気をつけたいこと3

それでは分譲マンションを購入するとき、具体的に気をつけたいポイントを見ていきましょう。

 

1. 自分の身の丈に合ったものを探す
もっとも大切なのは、その物件が無理なく購入できる価格であることです。「内見をしていると、ちょっと無理をすればこんなにいい物件が買えるのか……、などと、理想が高くなっていくこともあるでしょう。でも、ローンを払うのがギリギリになるような計画を立てないようにしてください。これは投資でも同じことが言えるのですが、うまくいかなくなったときすぐ引き返せるくらいにしておくと、失敗しても傷口が大きく広がらないのです。ライフスタイルを変えたり、我慢したりしなくてはならないほどの過度な借金をしたりしないと買えないのであれば、いっそ買わない方がいいと言えないでしょうか」
また、なにか買い物をするとなると、新しいものを検討しがちですが、「新築と中古では、中古の方がコストパフォーマンスがいいので、おすすめですね」

 

2. 気に入った物件を見つけるまでは買わない
物件を探していると、すべてを気に入る物件になかなか出会えず、もうこれでいいかと妥協して買ってしまいたくなることもあるでしょう。「妥協して購入してしまうと、住んでいるうちに、やっぱりここじゃなかった、もっと違うところが出てくるのを待てばよかったなどと、後悔が押し寄せる場合も……。マンションは大変高価な買い物ですから、後悔しないようにしたいものです。どんな些細なことにも妥協せず、慎重に失敗のないように探すことが大切ですし、気に入った物件がなければ焦って買わないと決めてから探しはじめてください」

 

3. 賃貸や売却も考えて万人受けする物件を選ぶ
購入した物件を売却したり、人に貸したりすることも考えて、特別な間取りや個性的な物件は避けたほうがいいでしょう。「その物件は自分以外の人も気に入るところであるか、という視点で見ることが大切です。また、マンション自体が老朽化しても、駅に近かったり人気の地域であったりするなど、価値の下がらないポイントがあることも大切です。空室が多いマンションは、それだけで売却しにくくなりますし、貸そうにも借り手がつかなくなってしまいます。部屋や建物自体が気に入ることも大切ですが、地域や周囲の環境がどうかという視点も取り入れて考えてみましょう」

 

「一生賃貸」を選ぶなら財産の残し方を検討すればいい

賃貸マンションに住み続けることに不安がある人の多くは、「家賃を払い続けているだけで、財産を残せない」というところでしょう。ですが、財産の残し方は不動産に限らなくてもいいのです。

 

「たとえば老後が心配だから財産を残したいと考えている方は、価格に変動がある不動産という形を選ばなくても、貯金で残すことができます。要は、自分が老後を迎えたときに使えるまとまったお金がある、ということが将来の心配を取り除くわけですから、不動産にこだわらなくてもいいはず。ただし、貯蓄が苦手な方はやはり、不動産などで財産を残す方法が有効と言えます」

 

最終的には自分がどの程度「住まい」を優先しているかで考える

住まいは、自分にとってどのような存在のものでしょうか?

 

「会社から帰ってきて眠るだけで終わってしまうスペースなのであれば、大きな買い物を決断するほどのものではないかもしれません。反対に、普段家で過ごす時間が多かったり、自分が気に入った場所でないと癒されないと考えていたりする方にとっては、住まいが人生の大きな要となるのかもしれません。今持っている自分の資産を何に使うかは、その人が何を優先していくかで決まりますから、焦らずじっくり考えて検討してください」

 

安心して気持ちよく過ごせる住まいは生活を豊かにし、仕事へのモチベーションにつながることでしょう。これからどんなライフプランを描くかで、住まいの形は大きく変わっていきますから、将来どのような暮らしをしていきたいかじっくり考えた上で、分譲にするか賃貸にするのかを検討しましょう。

 

不動産コンサルタント/長谷川 高

株式会社長谷川不動産経済社代表。大手デベロッパーの投資担当としてマンション・ビル企画開発事業に携わったのち、1996年に独立。インターネットを活用した不動産コンサルタントの先駆けとなり、以来一貫して、個人・法人の不動産と投資に関するコンサルティング・調査・顧問業務を行っている。「不動産をわかりやすく伝える」ことをモットーに、講演や執筆活動など幅広く活動中。

 

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