“駆け込み買い”すべきモノがある一方で、増税後に消費低迷を回避するための各種施策や市場動向を鑑みると、実は「待つ」ほうがお得なモノも多い。「買うべき」モノと「待つべき」モノをプロが見極めます!
政府による軽減税率施策や各市場の動向を要チェック
消費税増税前の“駆け込み需要”が見込まれる一方で、増税後に消費が著しく落ち込むことが懸念されています。これを回避するため、政府は特定の品目やサービスに対して軽減税率(8%で据え置き)を適用。民間でも、増税後にメーカーや販売店が値下げやサービス付加のキャンペーンを実施するでしょう。高額なアイテムほど増税による支払い額は上昇しますが、必ずしも駆け込み買いで得をするとは限りません。事前にそれぞれの市場動向を確認しておくのが吉です。
高額な買い物といえば不動産。土地は非課税ですが、新築の建物には消費税がかかります。分譲住宅やマンションは、9月30日までに引き渡しが完了すれば8%。注文住宅なら、3月31日までに請負契約を結べば10月以降の引き渡しでも8%です。中古の場合は、不動産業者の仲介手数料(※)に課税されます。
いずれも増税による影響は小さくありませんが、不動産の駆け込み買いはオススメできません。というのも、現在の不動産価格は、そもそも駆け込み需要を見込んでの設定。さらに、2020年に東京五輪を控えていることで首都圏の物件は高騰し続けています。価格に見合わない物件も実はかなり多いのです。
不動産の次に高額な買い物といえばクルマ。こちらは新車と中古車で話が異なります。新車はメーカーが設定した価格に基づいて販売されているため、増税が反映されます。増税後も大幅な値下げキャンペーンがさほど期待できない高級輸入車が狙い目です。ただし、消費税8%が適用されるのは9月30日までの納車の場合。増税前は、駆け込み買いの影響で通常より納車が遅れがちになるので、特に人気車種は早めの決断が必要となります。一方、市場動向によって価格が大きく変動する中古車は、10月以降に価格が低落する可能性が高い。慌てて買う必要はないでしょう。
輸入車と同様に、貴金属や高級ブランド品は価格が下がりにくいため、増税前に買うのがベターといえます。家電では、欧米メーカー製を中心としたハイエンドモデルが狙い目。高価かつ値下がりされにくいうえ、機能面でもすでに成熟しているものが多いので安心です。
歯列矯正や美容整形など、保険適用外の医療も“駆け込み”がお得。10月以降まで継続しても、契約がそれ以前なら消費税8%となります。
※:中古住宅は、一般個人が売り主なら課税対象外。仲介手数料は、物件価格×3%+6万円までと定められています。9月30日までに契約を完了すれば消費税8%。
<増税前に買うべきもの>
【その1】ハイエンド家電・ガジェット
高価格のため増税の影響が大きく、値下がりもあまり期待できない家電では、白物・黒物ともに高価格帯のハイエンドモデルが狙い目。2%の増税でも支払い額の上昇が大きいうえ、増税後のディスカウントにもあまり期待できないためです。そのほか、Apple製品のような常に一定の価格で販売されているメーカーのアイテムも増税前に購入しておきたいですね。
【その2】貴金属・高級ブランド品
アクセサリーや高級輸入車などの「贅沢品」は値下がりしにくい
いわゆる「贅沢品」は値下がりしにくいです。プラチナやゴールドなどの貴金属や、ダイヤモンドやパールといった宝石を使用したアクセサリー類の購入を検討している人は、増税前の決断がベターですね。海外の高級ブランドバッグや腕時計、高級輸入車なども同様。
【その3】国内旅行
早めにチケットを買えば10月以降の旅行もお得
航空券や鉄道料金などの旅客運賃も増税の対象。だが、海外航空券の運賃や海外の空港における各種料金には消費税がかからないため、“駆け込み”旅行なら国内がオススメです。旅程が10月以降でも、9月30日以前に航空券や乗車券を購入すれば、消費税率は8%となります。
【その4】歯列矯正・美容整形
保険適用外となる自由診療は増税の影響が大きい
健康保険の適用外で自由診療となる歯列矯正や美容整形などは、一般的に料金自体も高額となることが多いため、増税の影響が顕著です。10月以降まで治療が継続する場合でも、9月30日以前に契約を結べば消費税は8%。自身だけでなく、子どもの歯列矯正が必要なら、ぜひいまのうちに!
■料金の目安
インプライント | 1本30万円~ |
歯列矯正 | 大人70万円~ 子ども30万円~ |
全身脱毛 | 50万円~ |
ヒゲ脱毛 | 20万円~ |
※医療機関によって料金は異なります
<増税まで待ちのもの>
【その1】マンション
マンションの価格は高騰中で、来年がピークに?
いくら増税による影響が大きいとはいえ、住宅の駆け込み買いは推奨しません。特に分譲マンションは、ここ数年で首都圏を中心に価格が高騰を続けており、2020年にピークを迎えるといわれます。気に入った物件でなければ、「待ち」が賢明です。
【その2】エントリー家電
増税後の消費低迷対策として大幅な値下げが期待できる
増税前に「買うべき」モノとしてハイエンド家電を紹介しましたが、価格が比較的リーズナブルなエントリー~ミドルクラスを焦って購入する必要はありません。増税後の消費低迷対策として、大幅な値下げや家電量販店でのキャンペーンも期待できるため、必要なモノでなければ待つのが正解です。
【その3】食料品
日常で購入する食料品の多くが軽減税率の対象となり8%のまま
過去の増税直前には、食料品を買い溜めする消費者も多くいました。しかし、今回の増税で食料品は軽減税率が適用されて8%の据え置きとなるため、買い溜めは不要です。精米、野菜、精肉、鮮魚、乳製品、パン、菓子類、ミネラルウォーターのほか、テイクアウトや出前なども軽減税率が適用されます。
■軽減税率の対象とならない品目
・酒類(みりんを含む)
・外食
・ケータリング
・医薬品・医薬部外品など
アルコールや水道水は消費税10%となります。外食には、社員食堂や学生食堂、「果物狩りで収穫した果物の果樹園内での飲食」なども含まれます。
【その4】中古車
駆け込み需要を見込んで増税前の価格設定は強気になる
中古でもクルマは高額のため2%の増税は重いです。しかし、新車と異なり中古車価格は相場に基づくため、増税前に駆け込み需要を見込んだ強気の設定がなされがち。慌てる必要はまったくありません。車両価格に対して消費税がかからない「個人間売買」サービスの利用も視野に入れたいですね。