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2019/8/6 18:30

PTA本部役員への道……それは、1本の電話から始まった!!

あなたの知らないPTAの世界~第1回~

 

名前こそ知っているけど、実際何をやっているのかよくわからない。だけど、子どもを持つ親なら、誰しも当事者になる可能性がある。それが、PTA(ピーティーエー:Parent-Teacher Association)。

 

最近はPTAに加入しないという人の話も耳にするし、いろいろな報道を見ていると、どうしてもあまり良くない印象を抱きがちじゃないですか?

 

私自身、PTAといえば「毎週学校に行って会議」「入学式とか卒業式にも出席」「運動会などの学校行事は一日中お手伝い」といったイメージでした。故に、「とにかく忙しそう」「できれば関わりたくない」って思っていたんですよね。それに、実情がわからないから、「なんか怖い」とも…。とにかく、謎の組織でした。

 

その謎の組織の、なんと「本部役員」を引き受けることになってしまったのです!

 

友人からは「よくやるね…」「仕事忙しいのに、なんで引き受けたの?」「あちゃ~! はずれクジ引いたな」などと散々な言われよう(苦笑)。

 

そんな印象最悪なPTA役員になぜなったのか、そして、本当は日々何をしているのか、知られざるPTAの実態を包み隠さずお話したいと思います。どうか、学校関係者の目に触れませんように……。

 

 

初対面で仕事を押しつけあう!恐怖の委員選出

そもそも、どうしてPTAに対する世間の印象が悪いのか。その原因は、いささか強引な委員の決め方にあるのではと思います。

 

振り返れば、息子が1年生の時のPTA委員選出は衝撃的でした。初めての参観日を終え、保護者だけが残って懇談…と思いきや、突如PTAの役員と思しき人が教室に入ってきて、「これから1年2組のPTA委員決めを行います」と宣言。なんだか周りの空気はピリついている。一体なにが始まるのというのか!

上にきょうだいがいるママこそ勝手知ったる感じだったけど、すべてが初めての私にとっては、恐怖以外のなにものでもありませんでした。

 

そして、立候補者がいないということで、謎の「推薦しあい(押し付けあい)」が始まったのです。

 

まだ顔も名前もよく知らない「はじめまして」の保護者が集まり、子どもの名簿を見ながらPTA委員に推薦したい人の名前を書くという、なんとも恐ろしい苦行です。委員枠は全部で4つ。つまり、投票で4名を選出するってわけですね。

 

ぶっちゃけ、名前の画数が少ない人ほど損。だってね、「こんな字、見たことない」なんていう複雑な漢字の名前、ほとんどの人は書かないでしょ。

 

「水谷」という平々凡々かつ簡単な漢字の私は、「未就学児がいるので免除希望です!」と宣言した(とはいえ、投票が始まる前にあわただしく宣言するだけだから、誰が免除希望者なのか覚えられるわけない)にもかかわらず、何票か集まってしまいました。結果、5番目に多く票を集め「補欠」となりましたが、幸いにも1年間、委員が回ってくることはありませんでした。よかった……。

 

それにしても、こんな形で嫌な役回りを押し付けあうなんて。いろいろな幼稚園や保育園から集まってきたばかりの1年生だったからこそ、知り合いも少ないけど、顔見知りのママ友が増える高学年になるにつれて、こりゃ投票しづらいな…と感じたのでした。

 

 

泣く人まで現れる!? 今後一年の運命を決める魔のクジ引き

その後、2年生のGW明けに夫の転勤で引っ越したため、昨年はタイミング的にPTA委員選出から免れることができました。

 

聞けば今度の学校では、立候補がいなかった場合は厳正なるクジで委員を決めるそうです。当たりクジ(この場合はずれクジ?)を引いちゃった人が委員決定、というシンプルかつ平等な選出方法。だからこそ、文句を言えない感がある。

 

なんでも、クジを引くときの教室内の雰囲気は最悪で、うっかり当たりクジ(はずれクジ)を引いてしまい、その場で泣き出した人もいる…なんて噂もまことしやかに流れているほど。さらに、PTA委員が嫌すぎて、若干鬱状態になった人もいるとかいないとか……。

 

恐ろしい。実に恐ろしい。

程度の差はあれど、おそらくほかの学校でも同じような状況なのではないでしょうか。

 

さて、引越しのおかげでクジ引きを免れ、「とりあえず今年一年は安泰だ!」とすっかり安心しきっていた私のもとに、1本の電話がかかってきたのです。

 

 

PTA本部役員への道…それは、1本の電話から始まった。

いつものように自宅で原稿を書いていた、去年のある秋の日の午後。見慣れない番号から携帯に着信がありました。

 

若干怪しみつつも電話に出ると、「水谷さんの携帯でしょうか? こちら○○小学校PTAの推薦委員△△です!」との第一声。PTAって、あの? 関わりたくないやつ? っていうか、なんで携帯番号知ってるの? と一気に身構えた私(よくよく考えたら、PTA登録用紙に携帯番号を書いた記憶がありました)。

 

「PTA本部役員に興味はありませんか? 一度話だけでも聞いてみませんか?」

 

そんなようなことを言われたと思います。でも、突然の電話、そしてPTAというワードに怯えすぎて、話がしっかり頭に入ってきません(苦笑)。うちは子どもが3人いるから、いつかは何かしらの仕事を引き受けなきゃいけないとは覚悟しています。でも、それが今なのか? どうしよう…適当なところで切り上げなきゃ!と思っていたら、予期せぬ台詞を投げかけられました。

 

「本部役員をやれば、お子さん全員、中学校までPTA役員も委員も免除されるんですよ」

 

な、なんですと?

 

実は、PTAには2つの層があるようです。

 

ひとつは、各クラスから数名が選出されるPTA委員。会社でいうと、ヒラ的な位置づけでしょうか。その上には、委員を束ねる委員長・副委員長。課長とか部長クラスで、委員の中からじゃんけんやクジなどで選ばれます。正直、ここまではクジ運が悪いと誰でもなりうる可能性がある役割。

 

そしてもうひとつ、すべてのPTA委員のトップにいるのが、PTA本部役員。「会長」「副会長」「書記」「会計」といった役職で、その年のPTA活動方針を決め、スムーズに行事を執り行えるように動く人たちです。いわば全保護者の代表であり、元締め的存在。この本部役員は、立候補、もしくはPTA内に設置された「推薦委員会」によって決定します。

 

今回電話をかけてきた人は、この推薦委員会の人だったというわけです。

 

あくまでも学校によってルールが違いますが、うちの学区では、幼稚園~中学校までの間に1回でもPTA本部役員をやれば、子ども全員が中学を卒業するまで、一切PTA関連の委員をやらなくてもいい! という、泣く子も黙る無敵の「永久免除(略して永免:えいめん)制度」があるんですって!

 

前述したように私は3人子どもがいるので、今年一年間やり切れば、末っ子が中学を卒業するまで、ずーっと面倒な役回りからオサラバできる、というわけ。永免、嗚呼なんという甘い響き。

 

戸惑いもありましたが、永免という蜜は何よりのご褒美です。こうして、毎春クジの恐怖に脅かされるよりは…と、本部役員というイバラの道を選んだのでした。

 

もちろん、人によっては「一年間本部でしんどい想いするくらいなら、委員を3回やったほうがマシ!」という人もいるでしょう。これは完全に個人の価値観というか、考え方次第です。

 

私は、面倒なことは1回で終わらせたい派。そして、本部役員の中でも、書類作成や広報作りなどをメイン業務とする「書記」という役割を与えられたことも大きかったかもしれません。普段の仕事に関連しているし、まあ得意分野なので、それなりにお役に立てるかもと思ったわけです。

 

そんなこんなで、この春からPTA本部役員としての一年間がスタートしました。そこに、予想もできないようなトラブルの数々が待ち受けているとも知らずに……。

 

(イラスト/環えり)