2012年にサービスを開始し、住まいとインテリアの写真投稿サービスを提供する「RoomClip(ルームクリップ)」。実際に誰かが住んでいる部屋を見られるという、ユーザー参加型のつくりで人気を集めています。
さまざまなインテリア系メディアに、部屋づくりのトレンドやハウツーを聞く当連載の3回目である今回は、「エンドユーザーが主役のサービス」であることに興味を持ったという、同社コミュニティデビジョン事業部・竹野実希さんに、RoomClipならではの部屋づくりの秘訣を聞きました。
RoomClip/ルームクリップ
https://roomclip.jp/
「みんなでつくるお部屋の写真集」をコンセプトに、ユーザーが実際に住む部屋の写真を400万点以上アップしており、いろいろな生活スタイルやDIY、収納アイデアなど、インテリアにまつわる情報を共有。また「保存」機能を使えば、気に入った写真だけを集めた自分だけのインテリア写真集を作ることも。「RoomClip mag」では、編集部がユーザーの方に取材したお役立ち記事を数多く配信。
「カウカモ」編集長が語る、好きな部屋の選び方と作り方 https://at-living.press/living/14986/
「ROOMIE」編集長が語る、最高に楽しい部屋の作り方 https://at-living.press/living/13880/
ワントーンのカラーコーディネートで部屋に統一感を出すのがトレンド
———数多くのユーザーやファンを抱えるサイトとして、RoomClipさんは最近のインテリアにおけるトレンドを、どうとらえていますか?
竹野実希さん(以下、竹野):ファッションと同じように「気軽に自分の部屋の雰囲気を変えたい」と考える方が増えているなと感じます。従来なら、大きめの家具を動かすような模様替えが多かったんです。でも最近は手軽に、小物やファブリックの色や素材を変えて雰囲気を変えちゃおう、というような。なので、ベースとなるのは主張が強くないホワイト系のインテリアや、シンプルなインテリアが多いですね。
そこに例えば、ブルーの麻素材のクッションを足して“西海岸風”にしたり、ニットやキリムの素材をプラスしてBOHOスタイルにしたりとか。家具を買い直すのではなく、着替えるように部屋のスタイル変更するのが流行っている印象がありますね。
———「ファブリックを変える」とおっしゃいましたが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?
竹野:クッションやラグ、カーテンなど、部屋にあるファブリックの色を統一する方が多いですね。ファッションでも流行っている「ワントーンコーデ」「ワンカラーコーデ」というような感じです。RoomClip上でも「ベージュ ホワイト」などのキーワードで検索するとわかりやすいですよ。部屋の色調を揃えて統一感を出すテクニックなんです。
日本家屋のサイズ感に馴染むアンティークな古道具が人気
———部屋の統一感って、たしかに大事ですよね。では、インテリアとして置く小物はどんなものがトレンドなんでしょうか?
竹野:私も大好きなんですが、アンティークな日本の古道具は人気ですね。私も先日、古い水屋箪笥を購入しました。こういったものがなぜ流行っているのかというと、定番の「北欧インテリア」や「ナチュラルインテリア」と相性が良く、さらにサイズ感が日本の家の間取りにマッチするため、取り入れやすいんだと思います。
同じアンティーク系でも、海外のものはサイズが大きすぎるしデザインも個性的なものが多い。それが日本の古道具なら、ナチュラル系やモダン系のどちらにも使えるし、蚤の市で自分好みのデザインを見つけて手に入れる楽しさもありますよね。
———でも古道具って、選ぶのは難しくないですか?
竹野:たしかに。でも、存在感や佇まいが美しかったりするので、自分が好きと思えるかが重要です。直感で選んでもらっていいと思いますよ。
———なんだか失敗しそうで心配です……(笑)
竹野:わかります。アンティークなテレビ台を買ったときは、ちゃんとサイズを測り、頭の中でシミュレーションをしましたね。あとは色かな。他の家具との統一感が、やはり大事なんです。
でも、やっぱりある程度のチャレンジは必要だと思います。私も、自分が好きだと思えるテイストや古道具の見極めまでに、5年くらいはかかっています。何度も失敗して、ほとんどの家具を買い替えましたし……。だから、いろいろな物を見て感覚を磨いていけば、自分の「好き」を見つけやすくなるはずです。
このように、さまざまなスタイルが生まれているインテリア。RoomClipでは、今後をどう見通しているのでしょうか? また、竹野さんお気に入りの私物も見せていただきます。
GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」
自分らしさを部屋に反映させていくような「暮らし」へ
———インテリアにさまざまなスタイルが生まれている今ですが、今後はどのように変化していくと思われますか?
竹野:最近はミニマリストまで極端ではなくても、“物を持たない暮らし”や“シンプルな暮らし”を実践した人たちが、「それをどうキープしたらいいんだろう?」「どうやったら物って増えないんだろう?」「どうやったら捨てられるんだろう?」といったことを課題にしています。
そうなってくると箱に入る以上は買わない、週に一回粗大ゴミを捨てる、などなど、「どうやったら自分の暮らしがさらに良くなるのか?」を追求し、食器洗いの水切りカゴをやめました、という人からソファを置くのをやめました、という人まで。そんな風に、自分のライフスタイルの変化がインテリアに対する考え方を変えていくのだと思います。それを象徴するかのように、2018年くらいから「◯◯のある暮らし」というタグが活発に使われるようになってきました。
———「◯◯」というと?
竹野:たとえば、「植物のある暮らし」とか「猫のいる暮らし」といった、自分の好きなものや自分がどう暮らしていきたいかを部屋づくりの軸にするようなスタイルです。自分の趣味を部屋づくりに反映するような生き方が、今後の主流になるような気がしています。私たちはそれを「自分スタイル」と呼び始めています。
———ちなみに、竹野さんが最近気になっている、好きな物ってなんですか?
竹野:作家もののお皿を集めているんです。竹村良訓さん、青木良太さんなどの作品が好みで、それを軸にしたような部屋を目指しています。部屋が完成するまでは、試行錯誤を繰り返すのが近道だと思うので、失敗を楽しみながら、いろいろなパターンを試してみてほしいですね。
リアルイベントも開催しユーザー体験を充実させる
———これからのRoomClipは、どのように成長していくのでしょうか?
竹野:「すべての人にインテリアの楽しさを」というのが、RoomClipのモットーです。みんな違ってみんないい、という多様性を重んじ、月間400万人いるユーザーの方々に、今まで以上に価値ある情報を届けたいです。そうすることで、多くの人がより「自分らしい暮らし」を実現できるよう応援したいとも思っています。
サイト上では随時、投稿イベントなども開催していますが、今後はリアルな場でも、ユーザーさんと向き合っていけたらいいですね。
【プロフィール】
RoomClip コミュニティ事業部 / 竹野実希
専門学校卒業後、アパレル業界へ就職。その後、不動産業界を経て2016年にルームクリップへ転身。現在はコミュニティ事業部にてエンドユーザー向け業務や、オウンドメディア「RoomClip mag」編集部の運営に携わる。
トップ写真提供/RoomClip
aaakee888(https://roomclip.jp/myroom/389078)
moco2_home(https://roomclip.jp/myroom/1256330)