世は新型コロナウイルスの話題一色。そんな中で、ふと思いました。もしいま大地震が起きたら、大変なことになる……!
最低限の備蓄はもちろんですが、家の中を見回してみると、地震がきたら落ちる、倒れる、移動するものばかりです。家で過ごす時間が長い今だからこそ、しっかり防災仕様にしておきたいもの。というのも、実は筆者も大阪北部地震のとき、家の中がかなり荒れました。地震直後の様子を撮影したものがこちらです。
キッチンは、シンク横や食器棚からコーヒーカップやお皿が飛び出して大変なことに。
2階の書斎は、CDラックが折り重なるように倒れてきて、入り口を塞ぐ事態に。余震を恐れつつ、この状態から家の中を元通りにしなきゃいけないということ自体、結構メンタルをやられました。
もう同じ想いはしたくない! というわけで、今回は、国際災害レスキューナースであり防災のプロフェッショナルの辻直美さんに、手軽にできるプチプラ防災術を教えていただきました。
【実験】大切な我が家を守るために100円ショップのアイテムを活用!
早速防災対策を! と思ったけれど、いろんな防災グッズを買い集めるのは大変そう……。そんな筆者に辻さんが教えてくれたのは、なんと100円ショップのアイテム!
「本格的な防災グッズは高価だし、どこで買ったらいいのかわからないからと戸惑っている人も多いと思いますが、実は100円ショップで販売されているアイテムのなかには、防災で使えるものがたくさんあるんです。なかでも特におすすめしたいのが、“滑り止めマット”と“防振粘着マット”です」(辻さん)
でも、本当に100円の商品で対策ができるの?と訝しく思った筆者、まずは実験してみることにしました。
■滑り止めマット
「滑り止めマットを敷くだけで、全然違いますよ」と辻さん。実験対象は、文庫本6冊で重みをつけたプラスチックの収納ボックス。まずは、何も敷いていない状態です。
ほんの数秒揺らしただけで、大きくズレてきました。もう少し揺らしていたら、確実に落下です。続いて、下に滑り止めマットを敷いた状態で揺らします。
まったくズレませんでした! うちの息子にも力を入れて押してもらいました。
マットが少しよれてはきましたが、全然ズレない!
さらに、辻さんから聞いた秘策、箱の底にも滑り止めマットを敷いて、Wの摩擦でズレを予防する方法にもチャレンジ。
こんな感じで、底に両面テープでマットを貼りました。
かなり激しく揺らしましたが、びくともしません。息子に力を入れて押してもらった結果は……。
全身の力を込めて押していますが、まっっっったくズレませんでした! マット自体もよれてない! 滑り止めマットの威力、半端ないです!
棚に置いている小物は、いったんプラスチックケースなどに入れて、ケースの底と棚の両方に滑り止めマットを敷いておけば、かなり安心だなと感じました。
■防振粘着マット
もうひとつ、辻さんが絶賛していた防振粘着マット。ジェル状になっていて、転倒を防ぎたい家電などの下に敷くといいとのことです。このジェルでどれくらい効果があるのか、またまた実験です。割れるのは怖いけど、花瓶でチャレンジ。
するすると滑って、あっという間にこれだけズレました。これじゃ、倒れるだけじゃなくて飛んでいく危険性も!
次は、花瓶の底に防振粘着マットを貼ってみました。さあ、どうなるか!
ビックリするくらい、しっかりと固定されていました! ただ、高さがあるので、足元を固定していても揺れが大きかったら倒れます、おそらく。でも、そのまま倒れるだけなので、遠くまでは被害が及ばないなと思いました。これは、テレビやパソコンに貼っておきたい!
家の中のどこを優先的に防災対策するか?
さて、次は家の中のどこを防災対策すればいいかという点ですが、ここで、次の2枚の写真をご覧ください。
実は辻さんは、阪神・淡路大震災と大阪北部地震を経験されています。これは、大阪北部地震直後の辻さん宅と、隣人宅のリビングの様子です。
地震の凄まじさをあらためて痛感するとともに、同じマンション内、同じ間取りなのに、対策をしているか否かでこれだけ差が出るとは! と驚きます。
「家中を完璧に対策しなきゃ! と思うと大変なので、まずは一番過ごす時間が長い場所、特に守りたい家電などが置いてある場所から対策することをおすすめします。多くの方はリビングかもしれませんね。場所が決まったら、次の3つのポイントをチェックしてみてください」(辻さん)
<チェックポイント1>退避する場所があるか
地震が起こったとき、たとえ物が倒れてきたとしても、逃げ道が確保できていれば生き延びることができるのだと辻さん。そのためには、退避する場所の確保が重要のようです。
「入り口が塞がれてしまったら、避難する経路がないということ。リビングだったら、すべての棚が倒れたと想定して、この場所なら被害が少ないという安全な場所があるか? 家の外に避難するときの導線が確保できているか? という点で、部屋の中を確認してみてください」(辻さん)
<チェックポイント2>物をもう少し減らせないか
物がなかなか捨てられない、買い集めたアイテムが部屋に溢れている……そんな人は少なくないと思いますが、「防災=シンプルライフ」でもあるのだと辻さん。
「地震のときの被害を考えると、物は少ないに越したことはないです。防災対策をする前に、今一度部屋の中を見渡して、本当に必要なものか、ここに置くべきものかを見極めるといいですね。
購入時には必要だったけど、もしかしたら今の自分にはもう必要ないものがあるかもしれない。そのうえで、絶対に守りたいものがどれかを考えてみてください。すべてを完璧に対策するのは難しいので、これだけは地震が起こっても守りたい!というものを優先的に防災対策する、というスタンスで良いと思いますよ」(辻さん)
<チェックポイント3>危なそうな場所があれば、実際に揺らしてみる
今回、筆者が盲点だなと感じたのが、「実際に揺らして確認してみる」という点。辻さんいわく、これは倒れるかも?と気になる場所があったら、実際に揺らしてみることが大切なのだそうです。
「少し揺らした程度で倒れそうになるということは、大きな地震が来たら間違いなくアウトです。たとえば、リビングの棚やテレビ台、パソコンが置かれているデスクなど、一度揺らしてチェックしてみてくださいね」(辻さん)