<連載コラム>
セレクトショップ経営者が教える
「贈り物の鉄則」vol.1
プレゼントを選ぶのは、誰にとっても難しいものです。
そもそも、プレゼントをしたからといって、必ずしも相手に喜んでもらえるわけでありません。
ですが「プレゼントの鉄則」は確実に存在しています。
この連載では、誕生日プレゼントにフィーチャーしたセレクトショップ「バースデイ・バー」を運営する菅沼志乃がその鉄則を皆様に伝授したいと思います。
初回は「贈り物をする際の基本姿勢3か条」と題して、プレゼントの”基本戦術”をお教えしたいと思います。
第1条:相手の趣味が分かっている分野で攻める!
私が今までもらったモノで最も迷惑だったのが、忘れもしない「有田焼のびん」(泡盛入り)。
送り側の発想として、飲んでなくなっちゃうお酒だけじゃなくて、あとにも残る有田焼のびんに入っているってところがミソなのは理解できます。しかし……。
私は昔ながらの豪華絢爛なびんにはそれほど惹かれない。おまけに泡盛は好きじゃない。散々です。そして価格を調べたら、なんと10万円!! これなら現金でもらった方が、どれだけ嬉しかったことか。まさに「有田焼よりも、金をくれ!」です。
これは私の父が“贈りつけた”モノで、みなさんはこんなシチュエーションにはそうそう出会わないと思いますが、これに似たことはないでしょうか。趣味嗜好と違うものをもらって、微妙な気持ちになったことないですか? たとえば、ウイスキー好きなのに赤ワインをもらっちゃうとか…。
プレゼントをするときは、相手の趣味が分かっている分野で攻めるべき。有田焼が自分の好みだからとか、泡盛が好きだからって、その趣味を人に押し付けてしまうプレゼントはNGなのです。
同じことをいえるのが服。深く理解をしている相手に、人並み外れたセンスを持つ人だけがプレゼントすべきアイテムなんじゃないかと思います。というのも、どうしても自分のセンスや趣味を相手に押しつけることになってしまうからです。ラブラブカップルのペアルックとかになると話は違いますけど……。
私は、サテンの花柄をあしらったGジャンを夫からもらったがために、自分のお気に入りであるメンズライクなGジャンを着るのをためらう毎日です。こうなると、少し心苦しいですよね。
まとめると、「相手の趣味が分かっている分野で攻めろ!」ということです。
第2条:オンリーワンなプレゼントなら、一緒に選ぶ!
「毎日使ってもらえるものをプレゼントしたい。」
大切な人への贈り物を考えるとき、少なからず頭をよぎるキーワードです。iPhoneカバーで考えてみましょう。携帯を2台持ちにしている人も多いですが、だいたいは1台。その毎日使う、唯一のアイテムにカバーを付けるとなると、当然持ち主にとって最もお気に入りのモノになります。
もしこれをよく会う人からもらうと……。「いつもつけておかないと悪い」と思い、たとえお気に入りでないモノであっても使わざるを得なくなってしまいます。汚れてきて取り換えたい……というときにも困ることでしょう。そのうち、お気に入りを見つけた日には……葛藤を強いられることになります。
つまり、ひとつしかいらないモノ、オンリーワンなアイテムをプレゼントすることは、やめておいた方が無難なのです。iPhoneカバーの他には財布などもこれに含まれます。
どうしてもこういったモノをあげたいのなら、一緒に選ぶのが良いでしょう。無用なトラブルも防げますし、絆も深まると思います。
第3条: 持っていないモノをプレゼントする!
結婚祝いの定番、高級ブランドのロックグラス。
もらうと確かにうれしい。でも、ウイスキーをロックで飲むシーンが少ないワイン派な私は、いただいてもなかなか使用機会に恵まれず……。ロックグラスが悪いわけではありませんが、他のグラスを既に使っていますから、置き場所の確保にすら困る始末です。
ここで言いたいのは、「他と“かぶる”モノはNG!」ということです。
キッチン家電などでも起こりうる現象だと思いますが、既に持っているモノをもらうと、使用方法に困ってしまいます。そんなモノを贈る場合は、事前にそれとなくヒアリングしておくのがベストです。
会話とコミュニケーションを楽しんで、想像力を発揮して、心の底から喜んでもらえるプレゼントをしたいものです。