昨今、昭和・平成レトロブームが到来中。人々の生活に根付いたモノや風景を50年以上コレクションしている町田 忍さんに、昭和文化コレクションの醍醐味を聞きました。コレクションをまとめたウェブサイト「昭和文化遺産大博覧会」も公開中!
※こちらは「GetNavi」 2023年9・10月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
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庶民文化研究所 所長
町田 忍さんPROFILE…1950年生まれ。東京都目黒区出身。「庶民文化研究所」所長。「銭湯文化協会」理事も務める。昭和文化のありとあらゆるアイテムや風景を50年にわたってコレクションしており、「昭和史検定」の監修も行っている。著書は50冊を超え、テレビやラジオ番組にも多数出演。
新しいモノが次々と生まれて消えていった昭和という時代
昭和文化のコレクターとしてテレビ番組にも出演。コレクションの数はモノと写真併せて5万点以上。その数は平成、令和といまも増え続けているという。集め始めたきっかけは何だったんだろうか。
「小学校2年生の遠足のときに、親にチョコレートを買ってもらったんです。当時のチョコレートはいまと違って年に数回しか買えないものだから、それがあまりにもうれしくて包み紙をとっておいたんです。それが始まりですね。子どものころって集めるのが好きじゃないですか。めんこだったり、ベーゴマだったり、あと昆虫採集!」
そう言って棚から「タマムシ」の標本を取り出す。まるで幼少期にタイムスリップしたかのように笑顔で話す町田さん。当時、世の中は高度経済成長期に入り、新しい商品がどんどん出てくるようになった時期でもあったという。
「終戦から昭和40年代までの20年間くらいが一番面白い時代だと思う。特に三種の神器と言われた『テレビ、冷蔵庫、洗濯機』に代表される、従来にないモノがどんどん出てきて、庶民生活がガラッと変わるんですよね。家電だけではなく、即席ラーメンとかインスタントコーヒーとか、これまでの生活になかったモノが出てきたんです。それがすごく新鮮に感じて。もちろん子どもなので自分では買えません。親が買ってきたもののパッケージや箱を大事にとっておいたんです。それが今の活動につながっています」
町田さんがさらにコレクションにハマッたのは「謎」だった。
集めたモノは身の回りに置いて いつも見ていたい!
「ある一定数集めてみると謎が出てくるんですよ。例えば「正露丸」。いろんな製薬会社から発売されていますが「正」が「征」の字になっている会社が1社だけある。なんでなんだろう? それを調べていくのが面白い。そして調べていくとまた興味のある事柄にぶつかるんです。例えば、全国にある銭湯の写真を撮って銭湯を研究していたら、銭湯の屋根の形と霊柩車の屋根の形が似ていて面白くなって、今度は霊柩車の写真を撮りまくって調べていくとかね」
高額なお金を出して買い集めることはしない。生活のなかで、思い出といっしょにコレクションすることにこだわりがあるという。
「大森貝塚を発見したことで有名なモースという人がいるんだけど、彼は考古学だけでなく明治から大正時代にかけて日本の庶民生活も研究していて、収集したモノをアメリカに送っていたんです。草履とか金平糖とか神棚とかね。彼が送っていなかったら日本ではその後、戦争になって消滅してしまっているモノもある。戦後、大量生産、大量消費になり商品サイクルも短くなって、庶民の生活で使われていたモノがどんどん失われていったと感じています。高価な歴史的価値のあるモノは、博物館や美術館で保存される。でも庶民は美術品とか骨董品で暮らしていたわけじゃない。身近なモノをコレクションして遺すことで、僕は昭和のモースみたいになれたらいいなと思っています」
【キング・オブ・昭和文化 お宝 コレクション!!】
取材に訪れた町田さんのお宅には、部屋中、所狭しとお宝が! ここではとりわけレアなコレクションを紹介します。
【創る! 集める! 大人の趣味世界 ウェブサイト公開中!】
昭和文化遺産大博覧会
「キング・オブ・昭和文化」の町田 忍さんのコレクションが一気に見られるウェブサイト。モノと写真合わせて全200ジャンル・5万点に及ぶ膨大なコレクションを網羅し、順次公開していきます。「これだけ数があるので、どれかひとつは心に引っかかるモノがあるはず。そこからほかも見てもらって、集める楽しさも感じてもらえたら」(町田さん)
「昭和文化遺産大博覧会」公式HP https://getnavi.jp/shouwa-machida/