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2024/5/1 18:30

パナソニックはなぜ保護犬猫譲渡会を開催するのか? 日本最大級の譲渡会を見た

パナソニックは4月27日および28日に、「パナソニック保護犬猫譲渡会2024」を開催しました。年間1万2000頭の犬や猫が殺処分されている現状を変えようと開催されているこの会は、2022年に始まって今回で4回目になります。現地では、ペットを飼っている家庭にぴったりな家電の体験ブースや、専門家による講演会など、譲渡会にとどまらないコンテンツが展開されました。

 

パナソニックはなぜこの取り組みを始めたのか。この会によって、どれほどの犬や猫が救われているのか。現地で取材しました。

↑譲渡会の会場となった、東京・有明のパナソニックセンター東京

 

170頭以上の犬猫に幸せな出会いをもたらす場

パナソニックの代表的製品のひとつである、次亜塩素酸を活用した空間除菌脱臭機「ジアイーノ」。ペットを飼育している家庭向けのペットエディションもラインナップしているこの製品が、譲渡会を開催するきっかけをつくりました。

↑ジアイーノ ペットエディション。風力をおだやかに切り替える機能やスピード脱臭モードといった、オリジナルの機能を搭載

 

↑ジアイーノ ペットエディションの操作部には、肉球の模様がついています

 

同社では社会貢献事業として、2021年から動物保護団体に向けたジアイーノの寄贈を開始しました。すると、保護団体の側から「譲渡会を主催してもらえないか」とのリクエストが出たのです。それをきっかけとして、2022年に保護犬猫譲渡会の取り組みを始めました。これまで、2022年に東京で、2023年は東京と大阪で譲渡会を開催。今回で4回目となります。これまでの来場者数は累計1万3000人を超え、170頭以上の譲渡につながったそうです。

 

会場で展開されているコンテンツは大きく分けて5つ。メインとなる譲渡会にくわえ、ペットを飼う家庭向けの家電の体験コーナー、専門家による講演会、新たな家族に迎え入れられた保護犬猫たちの写真展、チャリティマーケットが催されています。今回は特に譲渡会に力を入れ、譲渡会場のスペースを従来の2倍に拡大しました。参加する犬猫の数は約270頭。保護犬猫の譲渡会としては国内最大級です。筆者が訪問した27日午後には犬の譲渡会があり、たくさんのワンちゃんたちが、来場者と触れ合っていました。

↑今回の譲渡会会場。参加は事前予約制でしたが、ホールの外には長蛇の列ができていました

 

約270頭の犬猫が参加する、国内最大級の譲渡会

譲渡会には、13の動物保護団体が出展。筆者が訪れた犬の譲渡会では、2団体のスタッフから話を聞くことができました。

 

まず話を聞けたのが、パナソニック主催の譲渡会に初回から参加している団体「おーあみ避難所」の代表・大網さん。福島の原発事故で周囲に取り残された動物を救う活動から発足したこの団体では、約20匹の犬と、約100匹の猫を保護しています。大網さんによると、昨今では保健所からの引き渡しのほか、栃木や茨城の野犬問題やブリーダーの廃業によって保護にいたる犬があとをたたないといいます。怪我をしている、十分な散歩をしてもらえず運動能力が落ちているなど、保護時点で困難を抱えている子も多いそうです。

↑おーあみ避難所で保護されている犬たちの写真。今回参加していない子の写真も展示されていました

 

会場に参加していた、大型犬のらんまちゃんもそんな1頭。運動不足なうえに肥満体型のため、立ち上がるのも億劫な様子でした。しかし、らんまちゃんの愛くるしさは格別なものがあり、多くの人が足を止めて、交流を楽しんでいました。大網さんは、彼らの譲渡先について、「時にもよるが、決まるときは一気に見つかる」と語ります。今回は6頭の犬を連れてきているそうですが、皆に新たな家族が見つかることを願うばかりです。

↑らんまちゃん。年齢は8歳くらい。会場ではずっとゴロゴロしていましたが、来場者に撫でられると気持ちよさそうにしていました

 

会場の入り口付近に出展していた保護団体「いぬ助け」のスタッフにも話を聞きました。この団体は、中型の雑種犬の保護に力を入れていますが、こういった犬は新たな家族が見つかりにくいといいます。体重が15kgを超えるような中型犬になると、賃貸住宅では飼えないケースが多いなど、マッチングが難しいそうです。

↑いぬ助けのブースにいた、ジェニーちゃん(手前)と太陽くん。ジェニーちゃんは、生後推定3ヶ月の子犬ながら、体格はすでにしっかりしています

 

いぬ助けは、パナソニックの譲渡会には今回が3回目の参加。毎回10頭ほどの犬を連れてきていますが、新たな家族と出会えるのは、1回につき1、2頭程度だそうです。こういった話を聞くと、数多くの人のやさしさにあふれた会のなかにも、厳しい現実があることがわかります。そんな現実にもめげず、地道に活動されている様子に、スタッフの方々の熱意を感じました。

↑いぬ助けで保護されている子たち。生後1年以下の子犬が多くいます

 

譲渡会への参加は事前予約制で、当日参加は不可能。それでも、多くの家族連れやカップルの姿が見られ、会場には行列ができていました。これだけの人が参加していれば、幸せな出会いもたくさんあるのでは……という希望も感じられました。

↑譲渡会場は人であふれ、犬の前には、ふれあいを求める参加者が並ぶこともありました

 

家電の体験コーナーやチャリティマーケット、写真展なども開催

譲渡会と別のホールでは、家電の体験コーナーやチャリティマーケットが設置されていました。家電の体験コーナーには、ジアイーノのペットエディションのほか、犬猫の毛をからまずに吸引できるスティック掃除機や、ペットカメラなどがズラリ。ジアイーノのコーナーではその消臭力を、掃除機のコーナーでは吸引力を体験できる設備が用意され、その場で製品の魅力を体感することができます。筆者もブースを回って体験しましたが、特にジアイーノの消臭力は圧巻でした。

↑ジアイーノの消臭力を体験できるコーナー。ジアイーノがない空間(右)にはペットフードのツナのような匂いが充満していますが、脱臭中の空間ではその匂いがまったく感じられませんでした

 

↑スティック掃除機の体験コーナー。右端が、新製品のMC-NX700K。「からまないブラシ」を搭載し、ペットの毛や髪の毛をスムーズに吸引します

 

家電が並んでいるホールの壁面には、新たな家族との出会いに恵まれた、保護犬猫の写真が並んでいました。全部で70枚の写真には、出会いやいまの暮らしについてのエピソードが添えられており、来場者の心を熱くします。

↑保護犬猫の写真展

 

↑写真に添えられたエピソード。心温まるものばかりなので、一枚一枚じっくり読みたくなります

 

↑ホールでは、専門家による講演会も開催。筆者が訪れたときには、ドッグトレーナーの鹿野正顕さんが登壇しており、多くの人が聞き入っていました

 

チャリティマーケットでは、ペットのおやつやおもちゃといった飼育用品のほか、犬猫をかたどったブローチなどのアクセサリーなどが販売されていました。事前予約制の譲渡会に参加せずとも、ペット好きなら十分に楽しめる空間です。

↑チャリティマーケットでは、トートバッグやアクセサリーなども販売されていました。かわいらしくてつい手に取りたくなる品物ばかりです

 

パナソニックの広報によると、次回の譲渡会の実施日程は未定。ただし、昨年同様に大阪でも開催したいという意向は持っており、場所や日程などの都合を勘案して決定するといいます。次回の会が開催されるころには、今回参加していた犬猫たちが新たな幸せをつかんでいることを、一人の参加者として祈ります。