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2024/9/28 19:30

夏物の衣替え・エアコン掃除・製氷器洗浄…“夏じまい”のコツを家事アドバイザーが解説

記録的な猛暑が続いた夏も、暑さのピークが過ぎ去り、秋の訪れを感じるようになりました。過ごしやすくなってきたこの時期に、夏に活躍した衣類やエアコンなどのアイテムを手入れして、次の季節を心地よく迎える準備をしましょう。

 

家事アドバイザーの矢野きくのさんに、夏服の衣替えからエアコンや冷蔵庫の掃除まで“夏じまい”のポイントについてお話を伺います。

 

 

涼しくなってきた今こそ「夏じまい」のチャンス

夏の終わりに行う掃除や片づけ、いわゆる“夏じまい”には、さまざまなメリットがあります。「ワンシーズンお世話になったものをきれいに片づけて保管することで、来年の夏まで清潔で使いやすい状態を保つことができます」と矢野さん。

 

「とくに気温も湿度も高い夏は、汗や皮脂など、目に見えない汚れも蓄積しやすい季節です。こうした汚れをそのままにしてしまうと、カビや変色の原因になります。夏の間フル稼働だったエアコンのメンテナンスや、衣替えに向けて夏服のしまい洗いをしておくことで、汚れの蓄積を防ぐことができます」(家事アドバイザー・矢野きくのさん、以下同)

 

次のシーズンに向けて生活環境を整えておくと、年末年始の大掃除や来年の夏の支度も少しラクになるはず。住環境を整えるためにも、過ごしやすくなってきたこの時期に一度家中のメンテナンスや整理整頓をしておきましょう。

 

衣替えは、ただ洗って仕舞うだけじゃない
衣類や寝具が長持ちする「しまい洗い」のコツ

肌寒くなり、夏服や夏用寝具が必要なくなってきたら、冬服への衣替えを始めます。夏物の衣類や寝具を収納するときは、以下のポイントを押さえておきましょう。

 

衣替えの3つのポイント

1.衣替えは「晴れ」の日に行う
「衣替えはかならず湿気が少ない晴れの日に行ってください。湿気が多い日や雨の日に収納してしまうと、収納する際に湿気を含んでしまい、カビの原因になりかねません。どうしても晴れの日に行うのが難しい場合は、除湿機やエアコンの除湿機能などを使って、できる限り湿気を取り除いてから収納してください」

 

2.「つけ置き洗い」で目に見えない汚れを落とす
「衣類や寝具の汚れは目に見えるものだけではありません。汗や皮脂などは一見わかりにくい部分に染み込んでいるため、蓄積した汚れを放置していると、カビやシミ、臭いの原因に繋がります。衣替えの前は通常の洗濯の前に、酸素系漂白剤でつけ置き洗いをするようにしましょう」

 

3.収納する前にしっかり「乾燥」させる
「湿気を含んだままの衣類や寝具も、雑菌が繁殖する原因に。生乾き状態での収納は絶対にやめましょう。しっかり風通しをして、完全に乾燥させた状態で収納してください」

 

大切な服や寝具を傷めず、いつまでもきれいに使うためには、収納前にしっかりとケアをしておくことが重要です。衣替えのタイミングで、不要な衣類を選別して処分するのも良いでしょう。

 

アイテム別のお手入れ方法

帽子やサンダル、日傘、レジャーグッズなど、夏に活躍したアイテムも、収納する前にしっかりとメンテナンスをしましょう。とくに帽子やサンダルは、汗の分泌量が多い頭皮や足裏に直接触れるため、目に見えない部分にも汗や皮脂が染み込んでいます。カビやシミのもとになるので、衣替えのタイミングで汚れを落としておきましょう。

 

・帽子
「型崩れを防ぐため、帽子のサイズに合うザルに被せてからタオルで全体を包み、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗います。洗濯ネットが大きい場合は、帽子のサイズに合わせて結んでください。干すときも、ザルに被せたまま干すと形を保つことができます」

 

・サンダル
「サンダルはボディソープや洗濯洗剤をつけた歯ブラシで目立つ汚れを擦り落とした後、酸素系漂白剤に30分から1時間つけ置きします。つけ置き後は真水で洗い流し、日陰で乾燥させます」

 

・日傘
「洗える素材であれば、浴室でボディソープや洗濯洗剤を使って全体を洗い、洗剤が残らないようしっかり洗い流します。乾かすときは傘を開いた状態で陰干します。骨の部分がさびないように、干す前に布で水滴を拭き取っておくと良いでしょう」

 

・ビーチグッズ
お出かけが増える夏、海やプールに行ったという方も多いはず。水着や浮き輪などのビーチグッズは、使用後は海水やプールの塩素、砂汚れなどを水道水で洗い流してから手入れします。

 

「水着は他の衣類と同様、酸素系漂白剤で漬け置きしてから洗濯します。浮き輪やビーチボールなどは、もし目立つ汚れがある場合は、ボディソープや洗濯洗剤を使って洗い、水でしっかりと洗い流してから乾かします。乾燥させる際は、直射日光に当てると傷みやすいため、必ず風通しの良い場所で陰干ししてください」

 

なお、素材によっては、自宅での洗濯やつけ置き洗いが難しい場合もあります。その場合は、濡れタオルを使って手入れします。

 

「よく絞った濡れタオルで、ポンポンと叩くようにして汚れを取り、日陰でしっかり乾かします。ただし、この夏頻繁に使っていた場合は、取り切れない汗や皮脂が残ってしまうので、来年の夏に向けてクリーニングに出すことも検討してください」

 

外からは見えない汚れがたくさん
暖房シーズンに向けてエアコンをメンテ

猛暑日が続いたこの夏、毎日エアコンを点けっぱなしで過ごしていて、なかなか内部のお手入れができなかったという方も多いのではないでしょうか。ワンシーズン酷使したエアコンも、「夏じまい」をして休ませてあげましょう。

 

残暑が和らぎ、エアコンがなくても過ごしやすい気温になってきたら、掃除を行います。冬になると再び活躍することになるので、念入りにメンテナンスをしておくことが大切です。

 

エアコン掃除の手順

1.エアコン本体上部のホコリを落とす
「内部の掃除に取り掛かる前に、まずは本体上部に溜まったホコリを落とします。ホコリをそのままにしておくと、エアコンの内部にホコリが入ってしまうので、はたきやハンディモップ、掃除機などを使ってしっかり掃除しておきましょう」

 

2.フィルターを取り外して掃除する
「エアコン本体のカバーを開けてフィルターを取り外し、網目に詰まったホコリを掃除機などで落とします。その後、台所用の中性洗剤などを使って汚れを落とし、風通しの良い日陰で乾かします。フィルターが目詰まりしているとカビが発生しやすくなりますし、冷暖房の効果が下がり、無駄な電力を消費してしまいます。できればシーズン中も、2週間に1回はフィルターを掃除したいですね」

 

3.ルーバーの汚れを拭き取る
「ルーバーとは、エアコンの吹き出し口に付いている、風向き調整用の羽のことです。フィルターを乾かしている間に、手の届く範囲でルーバーの表面についた汚れを拭き取ります。奥の方は掃除が難しいので、汚れが気になる場合は業者に依頼しましょう」

 

4.送風運転をする
「フィルターの乾燥が終わったら元の位置に戻し、半日以上送風運転をします。冷房や除湿機能を使うと、内部で結露が溜まり、カビの原因になってしまうので、エアコンを掃除してすぐの使用は避けた方が良いです。溜まっている水滴を取り除くためにも、掃除の後は送風運転にするか、一番低い温度で暖房運転をしてください」

 

エアコンのメンテナンス後は、次のシーズンまで使用を控えて休ませましょう。本格的な暖房シーズンが始まる前には、一度暖房が正常に機能するかどうか、試運転を行うことをおすすめします。

 

開封済みのものに注意!
夏の食材たちの在庫整理

麦茶や素麺、冷や麦など、夏の代名詞ともいえる食材たちも、少し涼しくなってきたころになると余りがち。冷蔵庫や棚を整理して、食材類の片づけや掃除をしましょう。

 

「食材には賞味期限があるので、開封してしまったものはできる限り早く消費してしまうことが大切です。麺つゆなどは料理の味付けなどにも使い道がありますが、素麺や冷や麦は湿気の影響を受けやすく、カビやすい食材です。開封後のものは湿気に触れないようチャック付きの袋に保存して、夏のうちに食べきっておきましょう」

 

冷蔵庫の整理や掃除をするタイミングで、チェックしておきたいのが自動製氷機です。実は製氷機の内部は本来、定期的な掃除が必要です。氷を使う機会も多かった夏。涼しくなり、氷をあまり使わなくなったタイミングで掃除をしておきましょう。

 

「100円ショップやホームセンターなどで販売されている洗浄剤を使うと非常に便利です。洗浄剤を給水タンクに入れてセットして、氷を作って捨てるだけで製氷機内部の洗浄ができます」

 


「洗浄剤には食紅が入っているため、洗浄中に作られた氷には色が付きます。製氷を繰り返し、氷の色が透明になったら完了。わかりやすく簡単ですよね」

 

次の季節へ、気持ちもリフレッシュ
夏じまいをしてスムーズに次の季節に移行を

夏の終わりに行いたい掃除には、普段のお掃除に加えてチェックしておきたいポイントが2つあるそう。

 

「ソファーやカーペットには汗が染み込んでいる可能性があります。軽く湿らせた雑巾で拭き掃除をし、その後しっかりと乾かしておきましょう。また、夏の間は網戸を開けていることが多いため、汚れが目立ちます。網戸もこの時期に念入りに掃除すると良いでしょう」

 

このように、『夏じまい』で丁寧にメンテナンスをしておくことで、心身も生活環境もすっきりした状態で次の季節に移行することができます。「少し手間がかかるように思えるかもしれませんが、劣化した服の買い替えや電気代の高騰を防ぐことができるので、結果的に節約にもつながるんですよ」と矢野さんは話します。

 

「夏じまい」は、単なる掃除や片づけを超えて、次の季節を快適に過ごすための大切なステップです。夏の汚れをしっかり落とし、清々しい気持ちで新しい季節を迎えましょう。

 

Profile


家事アドバイザー / 矢野きくの

家事の時短や効率化、家庭でできるSDGsを中心に、テレビ、ラジオ、雑誌などのメディア出演、コラムの連載、講演セミナー講師などで活動。会社員時代にキャリアカウンセラー、家電PCメーカーでのテクニカルサポートを経験し、自身の経験をもとに時間とお金を効率よく使う暮らし方を提案している。
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