アウトドア
2018/4/19 17:30

愛車で「屋根キャンプ」ができる!? カンタン便利な“ルーフテント”がアツい!!

近年、キャンパーの間で何かと話題なのが、ルーフテント。車の屋根にテントを乗せて、そのまま屋根の上で就寝するというものですが、何しろ日本国内での取り扱い店はあまりに少なく、現物を目にする機会も限られており、そしてそれなりに高価……。便利で楽しいルーフテントですが、ここはユーザーにとってまだまだハードルが高そうです。というわけで今回は、ルーフテントの老舗メーカーであるイタリアのAUTOHOME社の日本総代理店であり、20年以上ルーフテントを販売し続けるZIFER JAPANの飯田謙一郎さんの案内のもと、そのなんたるかに迫ります。

↑飯田謙一郎さん。貿易会社時代にたまたまイタリアで出会ったルーフテントに魅せられ、ルーフテントとともに独立。人生をルーフテントに捧げたと言っても過言ではないお方です

 

クルマ1台分のスペースがあればどこでも眠ることができる!

――近年キャンパーの間で話題になっているルーフテントですが、これはどういった経緯で注目されるようになったのでしょうか?

 

飯田謙一郎さん(以下:飯田) まず設営の楽なところに尽きるでしょうね。私がルーフテントの販売を始める前までは、勤めていた貿易会社でキャンピングカーを扱っていました。でも当時キャンピングカーは珍らしく価格も高価なものばかり。なんとか購入してキャンピングカーでオートキャンプ場に行っても、当時は「キャンピングカーの方は1泊1万円以上」といった高価な設定にされ、ユーザーにとっては、キャンプを楽に楽しむために何千万円も出して、キャンピングカーを買ったのに、泊まるのにまた1泊1万円もかかかるのかと(笑)。

 

やがて、RV協会というキャンピングカーの団体がもっと安価な方法でキャンピングカーを使用できるようにと道の駅でも泊まれるような普及活動をしたことによって、キャンピングカーは以前より使いやすくなりましたが、まだまだ日本国内でキャンピングカーを使えるシーンは限られています。

 

一方、ルーフテントの場合は、最初に言った通り設営が楽で、場所も選びません。クルマの屋根の上にテントがあるので(笑)。もちろんクルマ1台分のスペースがあれば、宿泊を認められたあらゆる場所で大丈夫ですし、もちろん、オートキャンプ場でも。こういった「場所を選ばないテント」という利便性がまず人気の理由なのではないかと思います。

↑ルーフテントはこの通り、クルマの上に積みっぱなしで大丈夫

 

↑どこかで泊まる際に、パカッと開ければテントが登場。一気に就寝スペースを確保できます

 

ヨーロッパでは50年前から作られていたルーフテント!

――ルーフテントが世界的に普及していった歴史はなんだったのですか?

 

飯田 最初に作られたのはイタリアですが、浸透していったのはドイツ、フランスです。50年以上前からの歴史を持ち、古くから愛用されています。例えばフォルクスワーゲンだとか、メルセデス・ベンツなどの屋根の上に付けて休日、キャンプをして過ごす。あるいはカメラマンなどが自然を撮影する際、何日も同じ場所で過ごさなければいけないときに使うというプロユース。そういった場面で重宝されていたようです。

 

だから、日本では真新しく感じられるかもしれないですが、ヨーロッパやアメリカではその利便性からすでに浸透していたものなんです。昨年、ミニのクロスオーバーではエアトップのルーフテントを純正で取り付けられるようにしていましたし、プジョーも今年、オーバーランド付きを発表しました。プジョーは日本仕様でそれが入ってくるかどうかは定かではないですけど、このようにルーフテントは世界ではよく使われているものなんです。

↑いまから約50年前、ヨーロッパの避暑地で、フィアット500に取り付けられたルーフテント。楽しそうです

 

↑昨年登場したミニクロスオーバー、純正オプションとしてイタリアのAUTOHOMEのルーフテントを採用

 

屋根の上で寝て、本当に屋根は潰れないのだろうか

――ただ、正直心配に思うのは、屋根の上で寝たりして、クルマの屋根は潰れないかってことなんです。どうでしょうか?

 

飯田 これはよく言われますね(笑)。まず、ルーフテント自体は50キロくらいあります。一般的なクルマの場合、キャリアはだいたい最大積載重量が70~100キロまでは大丈夫と言われています。ただし、これは動荷重での計算で、積んだまま高速を走ったり、カーブを曲がったり、急ブレーキを踏んだりという走行中のことも想定しています。それらの衝撃的な荷重も想定すると静止した状態なら少なくとも500~600キロまでは積むことができないと、100キロのものを積んで走ることはできないだろうと言うのがイタリアメーカーの解釈なんですね。つまり、最大積載重量の5~6倍は大丈夫だろうという見解です。

 

もともとキャリアメーカーがそこまで謳っているわけではないので、あくまでもイタリアのメーカーの見解なのですが、当社としては発売当初から日本のユーザーの方にはもう少し控えめに最大積載重量の2.5~3倍が目安……と言って販売させていただいています。しかし、それでも私が販売させていただいたルーフテントを18年以上もクルマを買い替える度に付け替えて、使い続けてくださっている方もいますし、日本でもすでに2000台以上のクルマに取り付けられ使用されてきました。クルマの載せ換えも考えれば、ものすごい数の実績値になります。最終的にはユーザー様の御判断にお任せしていますが、ヨーロッパでは先ほど言った大手の自動車メーカーが採用した際の基準はわからないものの、やはり問題なく取り付けられるからこそ採用したのだと思います。

↑小さなフィアットの上に乗せられた巨大なルーフテント

実際に手に触れてもらわないとわからないルーフテントの魅力

――それだけ利便性が高いルーフテントですが、日本での情報はあまりに少ないですね。

 

飯田 弊社で扱うAUTOHOME社以外にも国産のもの、アメリカのものなどがあり、最近は中国製も出てきています。しかし、世界中のユーザーが安心納得できるよう個々に使われている部品や製品自体の試験、ルーフテントの生産台数とそのキャリアなどを考慮すれば老舗のAUTOHOME社の物が一番優れていると自負していますし、情報量も弊社のサイトが一番ではないかと考えています。

 

ただ、ほぼどんな車にも取り付けられると言っても、車種ごと、ルーフテントのモデルごとに、取り付け方は変わってきますので、やはり実際にルーフテントに触れてみていただいて、ご意見をいただくのが一番だと思います。

 

当社では毎月の休日などに、各地のアウトドアショップなどにイベント出展していますし、当社の在庫を保管している野田ベースでも不定期で展示即売会を行っています。是非当社のサイトをチェックして遊びに来がてら、ルーフテントを見に来ていただきたいですね。

↑ZIFER JAPANの公式サイト。商品案内はもちろんですが、それ以上にルーフテントにまつわるコンテンツも充実

 

↑ZIFER JAPANの野田ベースでの展示即売会の様子。このほか、全国各地のキャンピングフェア、イベントなどでルーフテントに実際に触れる機会もあります。詳しくはZIFER JAPANブログをご覧ください(https://blogs.yahoo.co.jp/ziferjapan/GALLERY/gallery.html)

 

屋根の上でのテント設営は大変ではないのか?

――一般的なテントですと、設営に結構な手間と時間が割かれることもあります。ルーフテントは屋根の上ということもあって、結構大変そうにも思うのですが。

 

飯田 ルーフテントのモデルにもよりますが、当社では大きく分けてコロンブスという三角型、マジョリーナという四角型、従来のテント型のオーバーランド、オーバーゾーン、オーバーキャンプというものがあります。なかでもコロンブスは非常に簡単で、テントを広げるまでに最短20秒で立ち上げることができます。

 

【テント設営手順】

①キャリアに積まれたルーフテントのツマミをハズします

 

②ツマミをハズすと、油圧ダンパーによってゆっくりとテントが開いていきます

 

③すぐにテントが立ち上がりました

 

④専用のハシゴを使って屋根の上に登ります

 

⑤テント内には布団や枕の平たいものなら常時積みっぱなしでOK

 

⑥室内にはLEDランプも搭載されています

 

⑦支えているのはこのキャリアだけ。特に車体に加工を施すことなく取り付けることができます

 

ルーフテントに呼ばれた飯田さんの人生

――ルーフテントを実際に購入した場合、メンテナンスや維持はどんな点に注意すべきでしょうか?

 

飯田 やはり雨が続いた日は、どうしても湿気がこもるので、天気の良い日にどこかで広げておくことくらいですかね。逆に言うと、それくらいしか注意点はないんですね。よくアウトドアショップのイベントで展示すると、普通のテントと、ルーフテントが購買比較になるくらい(笑)。それくらい便利なものですよ。

 

――価格帯はどれくらいですか?

 

飯田 モデルにもよりますが、20万円台~40万円台が中心です。普通のテントに比べれば確かに高いですが、そのぶん、使いやすく、長期にわたって使い続けることができるものですので、本当にキャンプが好きな方ならすぐに金額以上の楽しさ、利便性、喜びを得られるはずだと思いますよ。

 

――飯田さんご自身は、前職の貿易会社でのキャンピングカーの取り扱い業務を経て、ルーフテント専門の会社を独立して立ち上げられましたが、そこに賭けた思いとルーフテントの魅力を改めてお聞かせください。

 

飯田 自分だってまさかこんな人生になるとは思っていなかったですよ(笑)。まぁ、前職の会社での私は、とんでもない社員だったかもしれないですけど、やはり若いころにまだ日本に入ってきていなかったルーフテントに出会い、「これは面白い」と私が思ったところを、会社で自由に任せてもらうことができたのが一番でしたね。

 

また、イタリアのAUTOHOME社も別の大きな貿易会社から「うちでやらないか」と声がかかったこともあったそうです。でも、当社は確かに小さな会社ですけど、20年以上の付き合いがあります。そこで後から来た大きな会社を選ばず、長年付き合いのある当社に卸してくれているAUTOHOME社にも感謝していますし、縁があったと思います。

 

ルーフトップと私には、こういった縁とビジネスの繋がりがあって、いまに至ります。日本での市場はまだまだである一方、最初に言った通り、他社製品も少しずつ出始めています。こういったなかでも、ルーフテントの本当に利便性、面白さを見失わず、ユーザーの方にお届けしていきたいと思っています。

終始、わかりやすく笑顔で解説してくれた飯田さん。ありがとうございました!

 

飯田さんのアツく、わかりやすい解説を聞いているうちにルーフテントがかなり欲しくなってくる筆者でした。これからの季節は特に重宝しそうなルーフテント、是非チェックしてみてください!