キャンプサイトは基本的に電源がない。となると電燈もない。そこでキャンプシーンの必須アイテムとなるのが「ランタン」だ。
ランタンの種類は大きく分けてふたつ。一つはガソリンや灯油、ガスを燃料にマントルと呼ばれる特殊な薬品が塗られた繊維を燃やし、その炎を光源とする燃焼系タイプ。そして、電気で灯るLED。最近のLEDは大光量タイプも増え、暖かい暖色を加味した光も登場。さらには、燃焼系のノスタルジックなデザインを取り入れているタイプも人気がある。
以前はガソリンやガスを燃料とする燃焼系のランタンが主流だったが、これからキャンプを始める初心者の方は、扱いやすく安全で、ラインナップも豊富なLEDランタンを購入することが多いだろう。とはいえ本物の炎にはLEDにはない癒しがある。というわけで、今回は、次なるステップとしてきっと試してみたくなる燃焼系ランタンを紹介しよう。
ランタンの3つの配置ポジション
ではランタンの選び方だが、基本は3つのポジションに合った種類を選ぶこと。
【メインランタン】
メインランタンは、キャンプサイト全体を照らす高光量のランタンで、タープのポールやランタンポールに吊り下げて高い位置に配置するのが一般的。サイトの端に設置することで、特に夏場は虫を引き寄せる役割もあり、LEDでも高光量は増えているので最初は問題ないが、光量が足りない、もっとムードを盛り上げたいと感じたら、光量が大きいガソリンや灯油、ガスランタンも検討したい。
【テーブルランタン】
テーブルランタンは、卓上に配置し食事や団らんの際に光を演出する。座っている時間が長い場所なので、ランタンもこだわりたい。炎の光に癒されたいなら、ガスランタンが扱いやすくおすすめだ。
【テント内ランタン】
テント内ランタンは、ガソリンや灯油、ガスランタンでは火事や一酸化中毒の危険性があるので使えない。ここは安全なLEDにお任せ。キャンプ初心者はもちろん、ベテランキャンパーの多くもテント内ではLEDランタンを愛用している。
ガソリン・灯油、ガス、LEDのメリットとデメリット
それぞれのランタンには、もちろんメリットがあればデメリットもある。
【ガソリン・灯油ランタン】
◎ 光量が最大、寒冷地でも安定、燃焼時間が長い、燃料コストが安い、ポンピングが楽しめる
× テント内で使用できない、本体価格が高い、ポンピングが手間、メンテナンスが面倒
【ガスランタン】
◎ 光量が大きい、他の道具と燃料を兼用できる、本体価格は抑えめ、ポンピング不要、コンパクト
× テント内で使用できない、燃焼時間が短い、寒冷地に弱い、燃料コストが高い
【LEDランタン】
◎ テント内で使用できる、点灯時間が長い、本体価格が安い、緊急時にも使える
× 光量がやや小さい
LEDは誰でもスイッチひとつでオン・オフの切り替えができ、安全でもあるが、電気の光も含め、快適だが日常生活に近い感覚がある。ガスランタンは点火前にマントルを空焼きする工程が必要。そして、ガソリンや灯油は空焼きにプラス、着火前に空気を燃料タンクに送り込んでタンク内の圧力を高める「ポンピング」という作業が必要になる。
そうした作業を面倒と考えるか、楽しみと感じるか。炎の優しさ、美しさにこだわり、キャンプならではの手間や不自由さをあえて楽しみたいのなら、以下に紹介する燃焼系ランタンも検討してみてはいかが?
[01]
自動車用のガソリンも使える汎用性の高いガソリンランタン
コールマン(Coleman)
ツーマントル デュアルフューエル ランタン
実売価格1万4800円
コールマンといえばガソリンランタン。ロゴにもデザインされているように、1900年の創業時は、灯油ランプが一般的だった時代にガソリン式ランプのリース業からスタートした。このランタンは「デュアルフューエル」という名前通り、2種類の燃料に対応している。一つはキャンプ用燃料のホワイトガソリン、そしてもう一つ、自動車用のレギュラーガソリンを使用することもできる。そのため、非常用や緊急用に備えて購入する人も多い。
光量は2マントル(光源となる繊維)で明るく、通常861ルーメン(約60ワット)で燃焼時間約7~14時間と省エネ。光量調整もでき、最大では1107ルーメン(約80ワット)、16m離れた場所でも700ルーメン(約55ワット)の明るさでサイト全体を照らしてくれる。
<注目ポイント>
- ホワイトガソリン、自動車用ガソリンどちらでも点火可能
- 2マントルでサイト全体を照らす十分な明るさ
- 持ち運びに便利な専用ケースが付属
[02]
美しいデザインと性能美で愛好家を虜にする逸品
ペトロマックス(Petromax)
HK500
実売価格2万4298円
1917年の誕生から100年以上、ほとんどモデルチェンジすることなく世界初の圧力式灯油ランタンの伝統を継承。その美しさと性能美、さらには圧倒的な明るさと燃焼時間の長さなどから、世界中のアウトドアプロフェッショナルから高い信頼を得ると同時に、今なおファンを増やしている逸品。
200以上の細かなパーツで構成されるボディカラーはシルバーとゴールドの2タイプがあり、金属光沢のボディが灯油ならではの優しい炎によって輝く姿は、キャンプサイトに優雅なムードをもたらしてくれる。光量は最大500キャンドルパワー(約400ワット)と圧倒的な明るさを誇り、最大容量1リットルの燃料で燃焼時間は約8時間。しかし、灯油を燃料に使うことで、点火までに特有の工程があるなどクセも強い。
<注目ポイント>
- 200以上のパーツで構成された美しいデザインと性能美
- 約400ワットの大光量と約8時間の長時間燃焼
- クセのある点火や面倒なメンテナンスもさらなる魅力に
[03]
ビギナーのメインランタンに最適な大光量のガスランタン
コールマン(Coleman)
2500ノーススター LPガスランタン
実売価格1万978円
【日本正規品】 コールマン(Coleman) ランタン 2500 ノーススター LPガス別売り 約1543ルーメン グリーン 2...
ガソリンランタンのような大光量と暖かみのある灯りでありながら、扱いやすいのがガスランタン。このコールマン「ノーススター」は、1996年にガソリンランタンとして誕生したシリーズのガス版として98年に発売された。ともに操作が簡単で、大光量、さらに丈夫とあって人気のシリーズとなっている。ガソリンより操作が容易なガスランタンは、ビギナーにとってもメインランタンとして最初にチョイスするのに最適なモデルだ。
点火前準備としてポンピングの必要はなく、マントルの空焼きを済ませれば、グローブ(ガラス製のカバー)を被せた後は点火操作するだけ。それも家庭用コンロと同様に点火装置によって着火でき、ダイヤル式の燃料バルブで容易に火力調整もできる。光量は約1500ルーメン(約100ワット)とメインランタンとして十分の明るさで、燃焼時間は約4~8時間。
<注目ポイント>
- 大光量ながらガスならではの簡単操作
- ワイヤークリップでマントルはワンタッチ取り付け
- ガラス製のグローブを持ち運び時に守るソフトケース付
[04]
大光量と低燃費を両立させたカセットボンベ式ランタン
ユニフレーム
フォールディング ガスランタン UL-X クリア
実売価格1万1000円
カセットボンベを取り付けるだけで簡単に使用できる、すべて自社生産の日本製ランタン。丈夫でサビに強いアルミボディとステンレスパーツのタフさとスリムさを兼ね備え、一台でサイト全体を照らせる240ワット相当(プレミアムガス使用時)の高照度と、ボンベ1本で燃焼時間約4時間の低燃費を両立させた。上部のガラス製のホヤはボディ内部に収納でき、安全&コンパクトに持ち運びができる。
より遠くまで照らすだけでなく、足元の明るさも両立するクリアホヤ仕様。蓋はワンタッチでサイドオープン。低温時、圧電点火装置で着火しにくい際はライターでマントルに直接着火できる。さらに、燃焼部分(発光体)の熱をカセットボンベに伝えるパワーブースター搭載。カセットボンベを温めることにより液化ガスの気化を促進させ、低温時でも出力ダウンを防止する。寒冷地でも快調に燃焼する専用のプレミアムガスも用意されている。
<注目ポイント>
- カセットボンベ装着でサイト全体を照らす高光量
- アルミボディとステンレスパーツでタフさとスリム化を実現
- 低温時でも出力ダウンを防止するパワーブースター搭載
[05]
寒冷時でも安定のテーブルランタンに最適な横置き式
新富士バーナー(SOTO)
レギュレーターランタン ST-260
実売価格5551円
低温下や連続使用時、ボンベの冷えにより気化しにくいガスの欠点を、マイクロレギュレーターと呼ばれる調整弁を搭載したことで克服した、横置き式のカセットガス式ランタン。照度は150ルクス(80ワット相当)で、微調整も容易に行える。全高が低いロースタイルで、向かいの人とも快適に会話できるので、テーブルランタンとして夜のテーブルを優しく照らしてくれる。
外気温10℃での光量の変化を同社実験室で調べたところ、その環境でも点火直後からパワーを発揮。3時間経過後も安定して150ルクスを維持し続けるという。万一、本体が転倒してもすぐに大きな赤い炎(生ガス)が燃え上がりにくい安全設計。通常ガラス製が多いホヤは、金属メッシュ製のため壊れにくい。
<注目ポイント>
- 寒冷時でも安定のマイクロレギュレーター搭載
- 本体が転倒しても生ガスが燃え上がりにくい安全設計
- 全高の低いロースタイルがテーブルランタンに最適