中村 優のイベント潜入レポ Fitbit「Alta HR」
ここ数年で急速に普及しているスマートウォッチ。いまでは活動量計を内蔵したモデルが一般的ですが、定番のウエアトラブルといえば「Fitbit」ではないでしょうか? スポーツからビジネスシーンにまで対応する汎用性の高さとスマートなデザインが人気を博し、日本でも多くのファンを獲得しています。
GetNavi webでランニングギアのレビューを連載している、タレントの中村 優さんもFitbit ユーザーの一人。大型ディスプレイを搭載した「Chrage 2」のローズゴールドを愛用しています。邪魔にならないスリムなデザインとオシャレなカラーが好みとのことで、主にランニング時の心拍数の計測に活用しているそうです。
そこで今回は、Fitbit のイチユーザーである中村 優さんとともに「Fitbit Alta HR」の新製品発表会に潜入。フィットビット・ジャパンのビジネスデベロップメントマネージャー・千川原 智康さんに、Fitbit のイロハや「Alta HR」の特徴についてお話を伺いました。
まずはFitbit の現状から聞いてみた!
中村 優(以下:優) 「Charge 2」や「Flex 2」につづいて、今回は「Alta HR」が発売となりました。以前から思っていたのですが、Fitbit はとても早いサイクルで新製品を投入しますよね。こんな短い期間で商品が開発できてしまうものなのですね。
千川原 智康さん(以下:千川原) グローバルのFitbit 社には1600人ほどの社員がいるのですが、そのうち1000人ほどがエンジニアなんです。それがFitbit のひとつの特徴で、一社の活動量計というカテゴリーだけで1000人ものエンジニアを持っている会社ってほかにはないと思うんですよね。ハードウェアやアプリも含めて、開発力は他社より抜きんでていると思っています。
優 Fitbit を実際に使っているユーザー層はどういった年代の方が多いのでしょうか?
千川原 男女比でいうと、やはり男性のほうが多いですね。次に年代層で見てみると、若い層のユーザーは意外と少ないように見受けられます。やはり30~50代といった健康面を気にする年代の方たちに使っていただいているようですね。
優 そもそも、Fitbit が定めるターゲット層はどんな年代の方なのですか?
千川原 この質問はよく聞かれるのですが(笑)……。今回の「Alta HR」は、フューシャーやコーラルといった新しいカラーバリエーションを見ても女性ターゲットと思われがちですが、実はニュートラル(中立)なんです。あえて“ターゲット層を決めない”という立ち位置でやっています。ですから、今回のカラーバリエーションも全体を捉えていくというイメージで、どの方にも選びやすいように選択肢の幅を持たせるために採用しました。
優 Fitbit は世界65か国で展開されているとのことですが、もっとも売れている国を教えてください。
千川原 圧倒的にアメリカです。つづいて、アジアパシフィック(アジアから太平洋にかけての地域)とヨーロッパが同じくらいですね。また、オーストラリアやイギリス、英語がよく使われるインドや香港などでも好評です。Fitbit はシリコンバレーの会社なので、英語を話す国でプロジェクトを立ち上げることは簡単です。他の言語を設定したり、パッケージやソフトウェアもコンバージョン(変換)をする必要ないですからね。
優 ということは、日本ではまだまだこれからということでしょうか?
千川原 文化や言語が違う国にアメリカのものを導入するというのは、パッケージを変えたりソフトウェアを変えたりといった工程が必要です。また、商品自体やマーケティングもアメリカ向けになっているので、国によってはフィットしない部分もあるんですよね。例えば日本で発売する場合、イメージ写真もアメリカ人が付けているよりは日本人が付けていたほうが親近感が沸くでしょう。そういった部分をひとつ変えるだけでも、とても手間がかかってしまいます。そういった面もあって、CJK(中国・日本・韓国)は活動量計の市場自体が2、3年ほど遅れをとっているので、まだまだこれから伸びていくといえるでしょう。
最新モデル「Alta HR」はここが変わった!
中村 優(以下:優) 今作の「Alta HR」は「Alta」のデザインが踏襲されていますが、デザインを変えなかったのは何か理由があるのでしょうか?
千川原 智康さん(以下:千川原) よりスリムなものに心拍機能を搭載させるということは、技術的にもひとつのチャレンジなんですよね。「Alta」がどうかというよりは、“「Alta」のスリムさの中に新しく心拍機能を付ける”というチャレンジと捉えていただきたいです。また、一般的にはスリムにしたり新機能を付けたりするととバッテリー持ちが短くなるところですが、そこを長くすることができたという点も「Alta HR」のひとつの特徴でもありますね。
優 バンドの形状も変更されましたが、「Alta」とは違った止め方のバンドを採用した背景を教えてください。
千川原 よりフィット感を重視したということが一番の理由です。やっぱり心拍数などを計測するうえで、精度の追求が必要になります。「Alta」で採用した止め方よりも、今作の「Alta HR」ように一般の時計のような穴に通す形状を採用することで、心拍数がより正確に計れるようになったのです。
優 一番人気と言われている「Charge 2」と今作の「Alta HR」は機能的に似た部分が多いと思いますが、Fitbit 社ではこの両アイテムをどのように差別化しているのでしょうか?
千川原 パッと見たときの違いは、やはりディスプレイの大きさですよね。時計の方向に寄せたのが「Charge 2」、リストバンドの方向に寄せたのが「Alta HR」で、それがひとつの差別化だと思っています。機能はほとんど一緒なので、時計と同じ感覚で使いたいという人は「Charge 2」を選ぶでしょう。一方で、よりファッション性を重視したい、または装着時は違和感がない方がいいという人は「Alta HR」を選ぶと思います。
優 スマートウォッチや活動量計の中には、どうしても安っぽく見えてしまうものもありますが、Fitbit のバンドはスペシャルエディションはもちろん、通常のゴム製のものでも高級感があるように見えます。
千川原 そこは開発側もバンドの部分にかなりこだわりを持っていて、質感には特に気を使っています。バンドに「Fitbit」ロゴが入っているなど細部にまでこだわったデザインをしています。
千川原 「Apple Watch」もそうなのですが、スマートウォッチの“ベルトを変える”というのは新しい文化だと思うんですよね。いままでのクラシックの時計にはなかった文化で、ベルトを変えることで本当に違うものに変わります。スマートフォンが出てきたときにケースを付ける文化が始まったように、今後はスマートウォッチや活動量計が普及するほど、ベルト交換の文化も広がっていくと思いますね。
優 今回の「Alta HR」は睡眠のデータも取れるということですが、データを見るだけで「いい睡眠」と「悪い睡眠」がわかってしまうものなんですか?
千川原 睡眠インストラクターの友野さんもおっしゃっていましたが、「今日はすっきりしているなぁ」と主観的にはわかるかもしれませんが、それを視覚化させることが大事だと思うんですよ。データを視覚化して見ることで、主観的なものがさらに明瞭になるとともに、数字に現れることでよりはっきりと理解することができるはずです。数字でわかることで、コントロールしようという意識にも繋がるかと思います。
推奨の活用法とおすすめ機種は?
優 スマートフォンなどのデジタルデバイスは寝るときに充電するのが一般的だと思うのですが、「Alta HR」や「Charge 2」をはじめとした睡眠の計測機能付きのものはそういうわけにはいきません。オススメの使用方法はありませんか?
千川原 だいたいバッテリーは1週間で充電が必要になりますので、私の場合はあるサイクルが確立されています。というのも、日曜日は寝るときにFitbit を着けずに充電して寝て、月曜日の朝に付けて次の日曜日まで充電しないという形ですね。休日は平日に比べてリラックス度が増しているので、休日にはそこまで計測する必要もないのかなと思っています。
優 Fitbit 全モデルのなかで、千川原さんが一番お気に入りのモデルは何ですか?
千川原 「Blaze」ですね、いまでもメインで使っています。個人的にはすごくいい機種だと思っていて、「Blaze」独自の機能であるタッチインターフェイスがとにかく使いやすいんです。あとはとても薄いので、スーツなどを着ていても袖にひっかかることもなく、スムーズに画面を確認できるところが気に入っています。
優 今後の新商品も「Alta HR」や「Chrge 2」といった心拍機能搭載のモデルが中心になっていくのでしょうか?
千川原 いまの製品ラインナップでいいますと、やはり心拍機能が付いているものに人気が集中しているので、現時点では心拍機能を重視しています。心拍機能を搭載しつつ薄くするというのは今後の課題でもありますね。
「Alta HR」が発売されたことで、さらにラインナップが充実したFitbit。睡眠の計測や運動時の心拍数のチェックなど、使用用途は人によってさまざまですが、ライフスタイルごとに選べる豊富なラインナップこそ、Fitbit の最大の魅力といえるでしょう。シンプルかつスタイリッシュな活動量計やスマートウォッチをお探しの方は、ぜひ一度チェックしてみてください。
【URL】
Fitbit 公式ページ https://www.fitbit.com/jp