その過酷さは、予想のはるか上をいっていたーーー。
屈強な体躯の男たち、女たちが顔をしかめ、
筋肉を震わせ、額に汗をしたたらせる。
カラダは泥だらけで、走行距離こそ7kmだが、走者の大半は半分も進まないうちに疲労困憊だ。
這う、登る、跳ぶ、しがみつく。
運ぶ、掴む、引く、投げる、そして叫ぶ!
ところが不思議なもので、これらの「苦行」のためにわざわざお金まで支払い、日本どころか海外からも含め、約5000人もの人々が集まるのだ。しかも、完走後の参加者たちの達成感あふれる笑顔を見よ!
そう、これが世界35か国、80万人以上もの参加者を集めてきた世界最大規模のオブスタクルレース(障害物競争)「リーボックスパルタンレース」だ。
2017年5月27日、日本で初めて開催された今回のレースには、およそ5000人もの参加者が集まった。そして見事に完走した参加者たちのほぼ全員が「楽しかった! また出たい!!」と口を揃えた。
この日の会場である神奈川県相模原市の米軍基地、相模総合補給廠の広大なグラウンドには、参加者たちが日ごろのトレーニングの成果を試すべく、全7kmの走路上に合計22個のオブスタクル(障害物)が設置されていた。午前9時にタイムを競う「エリートスプリント」の男子の部250人が先陣を切ってコースイン。その15分後に今度は女子の部の参加者がスタート。以降は15分ごとに「スプリントオープン」の参加者が順次コースに入る。
スパルタンレースのオブスタクルは、日常的に運動をしている者ならそのひとつひとつはそれほど難しくないかもしれない。しかし、これが22個ともなると、後半になるほどその負担は大きいものになってくる。しかもそこに泥や水、さらには日差しといった自然環境がのしかかる。日々のトレーニングはもちろんのこと、そうした環境をも考えたシューズやウエアまで含めたトータルな準備なしでは、完走はおぼつかないことが、見ているだけでもよくわかる。
さらに、各オブスタクルをクリアできなかった場合には、腕立て伏せから立ち上がってジャンプを繰り返す「バーピージャンプ」(通称:バーピー)30回が課せられる。ただこの“罰則”があるからこそ、参加者に完走の可能性を与えていることも事実で、着順のみを競い合う単なるレースではないということがわかる。
泥だらけになりながら障害物をクリアしていくよろこび、同じような苦痛と疲労に耐えながら次を目指す者たちに生まれる仲間としての連帯感、そして完走したときのこの上なき達成感。これら日常生活ではなかなか味わうことのできない体験こそが、「リーボックスパルタンレース」の最大の魅力となっているのだ。だからこそ、世界各国でファンを増やし、ムーブメントを作り出してきた。
ちなみに今回、参加者の完走率は88.2%。スプリントレースを含む4507名が最高の気分を味わい、また次回への期待を新たにしたことだろう。次回、日本での「リーボックスパルタンレースは」は、10月21日(土)、そして22日(日)に開催されることが決定。今回以上の参加者を集めることは確実で、ここ日本でもさらなる話題となることは間違いない。同レースならではの達成感を味わいたい人は、いまからトレーニングに励んでみてはいかがだろうか。
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