マラソン嫌いも美人には勝てなかった。
筆者は大のマラソン嫌いだ。
高校受験の際、「マラソン大会がない」ことのみを条件に進学先を選んだところ、通学に自宅から1時間半もかかる、そして当時の自分には偏差値高めで受験は“冒険”になる都立高校しか選択肢がなかった。それでも同校を受験したほど、マラソンが嫌いだった。
その嫌悪感は、いまも健在である。
そんな自分がなぜ「横浜マラソン2015」を走ることになったのか。理由は簡単である。大会に誘ってくれたスポーツメーカーの美人広報さんに「一緒に走ろ♡」と言われたからである。本当にただそれだけである。
「マラソンへの嫌悪感はいまでも健在」とはなんだったのか。
さて、勢いで「走る」と言ってしまったとはいえ、仮病を使って休むのは分が悪い。そこで、「快適ライフスタイルをナビゲートする」GetNaviらしく、最新アイテムと最新サービスに頼ってフルマラソン完走を目指すことにした。まずは、そもそもちゃんと“走れるのか”をチェックするため、東京・神田にあるショップ「エスポートミズノ」へ。
ここでは、ランニングフォーム診断システム「F.O.R.M.」を使って
- フォーム診断
- シューズなどランアイテムの選定
- フルマラソン完走タイム予測
が可能になっている。
結果、出てきたのがこれ。
総合評価は66.7点。平均が70点のため平均以下……。運動不足が目に見えてわかったけど、そもそも運動していないんだからそれは特に気にしない。色々アドバイスを受けたが、一番の注意ポイントは脚の巻き上げだそう。脚を後ろに蹴りだすことで着地時の加重が減り、足への負担も下がるという。
データを見ながら説明を受ける。次は靴選び。
「プリシジョンフィット」というサービスで足の形や重心のかかり方をスキャンして、自分に合ったシューズを紹介してくれる。その結果、筆者が選んだのはこれ。
ちなみに筆者は足の甲周りの寸法が細いので、「スリムラスト」のタイプを選択した。
グッズの準備が完了し、一度走ってみようと原宿にあるスポーツ施設「NOHARA BY MIZUNO」へ。
ここにはショップやカフェにランステーションが併設している。ランニングクリニックもやっており、筆者はビギナー向けプログラムに参加した。ちなみに清潔感のあるランステ内は使っていて気持ちがイイ!
そして、ビギナー向けプログラムに参加したのは19時ごろだった。
ランニングコーチの指導のもと、真っ暗な代々木公園で
- 4kmラン×1本(8分ペース/km)
- インターバルジョグ1km×2本(6分ペース/km)
その他、フォーム改善トレーニングや筋トレなども含め、約1時間、じっくりトレーニングした。
だが正直、このトレーニングの“せい”で42.195kmの距離の長さを想像し、絶望に包まれた。さらに、本誌の校了中ということもあり、練習はこの一回のみでぶっつけ本番を迎えることに。最悪だ。
そして、本番の3月15日が来た。
マラソン嫌いな僕も一応笑顔で走り始めた。
5時間半くらいでの完走を目指していた筆者は、「ペースランナーの方々にとりあえずついて行こう作戦」を採用する。
18か所ある給水所では、チアダンスや和太鼓演奏、なかにはマジック(!)などの応援パフォーマンスが展開されていた。また、レモンや塩、飴、チョコレート、キュウリやトマトなどの冷やし野菜のほか、ブタまん(横浜らしい!)やソーセージ、クッキーなども配布。「走りながらブタまんなんか食えるかっつーの!」と言いたくなったが、ひと口サイズの塩おにぎりは、死ぬほどウマくて元気が出た。
高速道路の入り口は、地獄への扉だった
21kmを過ぎたあたりから、マラソン大会では初となる高速道路に突入。
実はここまでは順調で、「あら、マラソンって意外と楽しいじゃん!」と思っていた。しかし、ここから“満を持して”地獄が顔を見せる。
脚全体がいきなり激痛に見舞われ、それに耐えながら何とか足を前に出して進んでいるという状況に陥ったのだ。スピードは歩行とほとんど変わらない。でもとにかく、「そりゃそうだよ、だって練習してないもん!」と自分に言い聞かせながらとにかく惰性で前へ進んだ。
この残り20kmでは、「もう絶対にフルマラソンに出ない!」と、美人に目がくらんだ自分にキレながら歩を進めた。そういえば、ところどころにトイレがあったが、どこも大行列。それにも数回キレた。あれ、なんとかならないの?
ゴールしたものの……。
足の激痛と戦った横浜マラソン。筆者は目標にややおよばず、5時間40分くらいでゴールした。
(写真の時間が56分なのは何度も撮り直ししたからである……)
もともとマラソン嫌いだった筆者だが、“自分と戦って勝つ”ことでしか手に入れられない「達成感」と「爽快感」に包まれたことで、マラソンの魅力に少し触れられたような気がした。20kmもの間、リタイアせずに激痛に耐えた“自分を自分でほめてあげたい”(古い)。
なお、ゼッケンにはGPSが搭載されていて、下記のような形で自分の走行の様子を見ることが可能。
応援の方はスマホのブラウザアプリで、走っている人がどこにいるかわかるのでぜひ使っていただきたい。ちなみに、校了中だったのもあって、編集部の誰ひとり応援に来なかった。そう、12人在籍していてひとりもだ。もうね、脚だけじゃなく心も痛い。それに、某美人広報さんにも当日は一度も会わず。何やってんだか。
あと、実は同フルマラソンをエプソンのGPS機能付きランニングウオッチ、Wristable SF-810Bを付けて走っていた。そのレビューは、4月24日発売のGetNavi 6月号に掲載。フルマラソン完走を目指している方は、ぜひ読んで欲しい。