スポーツ
2018/6/5 19:30

アジア競技大会「eスポーツ日本代表」が決定! 参戦タイトルの見どころは?

8月18日よりジャカルタで開催される「第18回アジア競技大会 ジャカルタ・パレンバン」では、eスポーツがデモンストレーション競技として実施されます。2022年には中国の杭州で開催される「第19回アジア競技大会杭州」において、eスポーツが正式なメダル種目となることも決定しており、ジャカルタ大会はその前哨戦的な意味合いもあります。先日、そこで採用されるタイトルが発表されました。

 

それを受け、JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)は早速、日本代表を選出する国内選考会を実施し、日本代表メンバーを選出。今後、東アジア予選を勝ち抜けることができれば、日本のeスポーツプレイヤーが晴れて日本代表として、アジア競技大会に参加することになります。

↑日本代表の面々とJeSUの理事によるフォトセッション

 

これまでもeスポーツの国際大会や海外大会はあり、参加している日本人は多く、そこで優秀な成績をおさめることもありました。ただ、“日本代表”として選考されるのは、今回が初。あくまで今年はデモンストレーション競技という位置づけなので、公式競技とは違いますが、それでもほかのスポーツ選手、つまりサッカーや陸上、水泳、体操などの競技の選手と肩を並べるようになったと言っても過言ではありません。

 

これでますますeスポーツは注目を集めていくことでしょう。そこで、熱戦が繰り広げられた選考会を取材してきたので、参加するeスポーツのタイトルを紹介しつつ、選考会の様子をレポートしたいと思います。

 

日本が参戦する5タイトルを一挙に紹介!

まずアジア競技大会に採用されているタイトルについてです。採用されるタイトルは「クラッシュ・ロワイヤル」「ハースストーン」「リーグ・オブ・レジェンド」「スタークラフト2」「ウイニングイレブン2018」「アリーナ・オブ・ヴァラー」の6タイトル。このうち「アリーナ・オブ・ヴァラー」のみ、日本代表が選出されなかったので、参加するのそれ以外の5タイトルとなるようです。

 

ここからは、それぞれのタイトルの概要や見どころを簡単にご紹介していきましょう。

 

「クラッシュ・ロワイヤル」は、Supercellが開発、運営するスマホ向けゲームアプリ。世界的大ヒットを記録した「クラッシュ・オブ・クラン」のキャラクターを使い、1対1もしくは2対2で対戦し、自分のタワーを守りつつ、相手のタワーを攻撃します。攻撃には8枚のカードで構成されるデッキを使い、攻撃するキャラクターを発動。カードにはコストがあり、時間経過で溜まる“エリクサー”の使用量が変化します。強いキャラクターは多くのエリクサーを使用し、弱いキャラクターは少ないエリクサーで発動可能。数で攻めるのか、強さで攻めるのか、はたまた守りに徹して逆転を狙うのか、特殊なカードで直接タワーを攻撃するのか……そういった戦略が鍵を握ります。

↑「クラッシュ・ロワイヤル」のリーグ戦「クラロワリーグ アジア」による日韓戦の様子

 

「ハースストーン」はブリザードエンターテインメントが開発、運営するスマホ・PC向けのゲームアプリ。いわゆるターン制のカードバトルで、プレイヤーの代理となるヒーローを選び、そのヒーローの体力をゼロにしたほうの勝利となります。カードにはキャラクターを召喚し、相手を攻撃するミニオンカードや場にさまざまな効果をもたらす呪文カード、ヒーローに装備させられる武器カードなどがあります。ヒーローも9人から選べ、それぞれ能力が異なります。

↑「ハースストーン」の新拡張デッキ発表会の様子

 

「リーグ・オブ・レジェンド」はライアットゲームズが開発、運営するPC用ゲームで、もっとも人気の高いeスポーツゲームのひとつ。5対5もしくは3対3で戦うMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)。最終的には相手の本拠地を破壊するのが目的です。対戦相手以外にもモンスターが出現し、それらを倒すことで経験値やお金を獲得でき、チャンピオン(キャラクター)の強化が可能。チャンピオン同士が戦い倒されると一定時間使用できなくなり、のちに復活します。ステージが広大かつ自分が確認できる画面はわずかなので、仲間同士でコミュニケーションをとり、相手の動きを予想することが必要となります。

↑「リーグ・オブ・レジェンド」の公式大会「LJL 2017 Summer Split Final」の決勝戦の様子

 

「スタークラフト2」はブリザードエンターテインメントが開発、運営するPC用ゲーム。1対1から4対4で対戦し、相手を殲滅させたほうの勝利となる陣取りゲームです。3種類の種族から1種類を選び、資源を採集し、建物を建造し兵器を作り、戦闘を行います。十分に戦力を整えてから戦うのもあり、相手の虚を突いて速攻をかけるも良しと、さまざまな戦い方ができます。

↑アジア競技大会日本代表選手選考会での「スタークラフト2」代表選考戦の様子

 

「ウイニングイレブン2018」は、コナミデジタルエンタテインメントが開発、運営するPS4向けタイトル。言わずと知れたサッカーゲームで、今回のアジア競技大会では唯一の国産タイトルとなります。各リーグのクラブチームやナショナルチームが使用できますが、今回のアジア競技大会ではFCバルセロナ、リバプールFC、アーセナルなど10チームから選択することになっています。

↑アジア競技大会日本代表選手選考会での「ウイニングイレブン2018」代表選考戦の様子

 

以上がアジア競技大会で日本が参戦するタイトルです。今回取材したLFS(ルフス)池袋では「スタークラフト2」と「ウイニングイレブン2018」の2タイトルの選考会が行われ、ほかの会場では「ハースストーン」の選考会が行われました。また、先駆けて行われた選考会により「クラッシュ・ロワイヤル」の代表が決まっており、「リーグ・オブ・レジェンド」は、現在行われているリーグ戦より選抜された選手によるナショナルチームが結成されました。

【代表選考会レポート】お馴染みの実力者から期待の若手まで!

ここからは選考会の様子を振り返っていきます。

 

選考会はまず「スタークラフト2」から行われ、5戦3先勝で勝ち抜けた選手が日本代表として選ばれました。予選を勝ち抜き、決勝で対峙した2人の選手は、これまで数多くの大会に出場し、決勝の組み合わせとしてお馴染みの実力者。今回は3連勝で西村直紘選手(選手名:PSiArc(サイアーク))が代表として選出されました。

↑優勝した西村直紘選手(選手名:PSiArc)

 

「ウイニングイレブン2018」では、前日に開催された予選会で勝ち抜いた4人のなかから、それぞれ2試合を行い、2人の代表選手を選出。17歳の若さでプロライセンス保持者を倒して出場を決めた相原 翼選手(選手名:レバ)と、圧倒的な強さをみせた現世界王者・杉村直紀選手(選手名:SOFIA)が選ばれました。

 

最後に、別会場で選考会をしていた「ハースストーン」の代表者以外の選手のお披露目があり、日本代表のユニフォームに袖を通した姿を見せていました。

 

代表選手は以下の通り。

「クラッシュ・ロワイヤル」
太田研人選手(選手名:けんつめし)

「ハースストーン」
赤坂哲郎選手(選手名:Tredsred)

「リーグ・オブ・レジェンド」
村瀬俊介選手(選手名:Evi)ほか選手4名、コーチ1名

「スタークラフト2」
西村直紘選手(選手名:PSiArc)

「ウイニングイレブン2018」
杉村直紀選手(選手名:SOFIA)
相原 翼選手(選手名:レバ)

↑それぞれのタイトルの代表選手が日本代表のユニフォームに袖を通し、意気込みを見せていました

 

JeSUからのリリースには、「選手はこのあと、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)による最終審査を経て、アジア競技大会に登録する運びとなります。」と書かれています。普通に読み解けばJOCがほかのスポーツ選手と同様に登録することになるのですが、読み方によっては、JOCの最終審査を通らなければ登録されないかもしれない……ともとれてしまいます。これは杞憂に終わってほしいところ。

 

今後、日本代表選手は、6月10日から開催が予定されている東アジア予選に出場し、韓国、北朝鮮、台湾、中国、日本、香港、マカオ、モンゴルの各国代表とアジア競技大会本戦の出場枠をかけて戦います。それぞれの出場枠は「ウイニングイレブン2018」が2枠、「クラッシュロワイヤル」が2枠、「スタークラフト2」が2枠、「ハースストーン」が2枠、「リーグ・オブ・レジェンド」が3枠と、かなり狭き門です。日本代表として始めてeスポーツ選手が参加する大会だけに、できるだけ多くの選手が勝ち抜いてもらたいところ。もちろん、十分に期待できると思います。

 

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