昨年ロシアで開催されたサッカーワールドカップで、初めて正式に導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー、略してVAR。レフェリーと名づけられているように、VARとはビデオ判定を主に担当する、資格を持った副審判員を指す名称である。そして、VARを含めた主審の判断を補助するシステム全体を、VARシステムと呼ぶ。
VARが実際にはどのように機能しているのかは、この動画がわかりやすい。全体はやや長いが、最初の3分だけでも見ると、VARの一端がうかがえる。
VARの使用は、「①得点となったかどうか」、「②退場に関わる反則」、「③PKかどうか」、また「④警告や退場者の特定」といった4つの場面に限定される。動画を見ると、サッカーにおけるレフェリングの判断は、最終的には主審が下すものの、副審のアドバイスが不可欠であることがよくわかる。そこにVARが加われば、ジャッジの精度も格段に変わってくるはずである。
海外ではドイツのブンデスリーガや、イタリアのセリアAでVARが導入済み。アジアカップでも一部の試合に導入されていた。そして今シーズンからJリーグでも、ルヴァンカップ・プライムステージの全13試合とJ1参入プレーオフ決定戦の1試合で、VARが導入されることになっている。今後も国内外のサッカーリーグでの採用拡大が予想される。
ところで、「VARシステム」には、審判員資格を持つ「ビデオ・アシスタント・レフェリー」のほかに、機器を操作してVARを補助する「オペレーター」もいなくてはならない。スタジアムに多数設けられたカメラの映像を、効率よく審判員の求めに応じて再生する。試合時間短縮のためにも、それは素早く行われなければならず、熟達した技術が必要だ。この「リプレイ・オペレーター」という仕事は、今後VARが各国のプロリーグで採用されていくようになってくれば、サッカーに関わる仕事のひとつとして、その需要も拡大していくことが考えられる。
その状況にいち早く目をつけたのが、国内唯一のサッカー総合専門学校「JAPANサッカーカレッジ」だ。選手や審判員、コーチ、トレーナー、あるいはクラブマネジメント、サッカー記者など、サッカーに関わるあらゆる職業のプロを養成するというこの学校が、教育機関として世界で初めて(同校調べ)、VARを学ぶコースを新設することを発表した。
2020年4月からサッカービジネス科(2年制課程)に新設される、「VARオペレーターコース」がそれだ(2019年度より募集開始予定)。このコースでは、VARのシステムを供給しているソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社、ソニーPCL株式会社の協力により、施設内に国際試合でも使用されている機器の一つ、ホーク・アイ・イノベーションズ社製「VAR判定システム」を導入。VARを補助するリプレイ・オペレーターの業務を理解するカリキュラムを構築していくという。実際に使用されているシステムを使って学ぶことができるのは、かなり本格的だ。
同校では、4月13日(土)に開催されるオープンキャンパス(新潟会場)で、やはり世界で初めてとなる(同校調べ)VAR判定機器を使用した体験授業を行うとのこと。VARの実際を見られるだけでも非常に稀有な体験となるかもしれない。興味のある方は訪れてみてはいかがだろうか。
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【JAPANサッカーカレッジ】 http://cupsnet.com/