フランスのスポーツブランド、デカトロン。世界61か国1700店舗を展開するメーカーですが、日本ではまだまだ馴染みが浅く、オンライン販売のスタートが2015年で、店舗展開は2019年に初出店となった西宮店(兵庫県)のみでした。そのような中、2020年5月に日本2号店となる幕張店(千葉県)がオープンしました。
サーフィン、シュノーケリング、登山、キャンプなど実に細かい100種類以上のスポーツのオリジナルアイテムが展開されていますが、いずれもコストパフォーマンスに優れており、無駄を省いたデザインも目を引きます。そのブランドの成り立ちとコンセプト、そして、特にこれからの季節に役立つコスパ最強のアイテムを、デカトロンジャパンのカウントリー・リーダー、ギナール・エリックさんの案内で紹介します。
世界中ではよく知られていたデカトロン
ーーデカトロンの成り立ちとブランドコンセプトを教えてください。
ギナール・エリックさん(以下、エリック) 1976年にフランスで創業し、以降10年間は自国だけで展開していたブランドです。そこからドイツ、スペイン、イタリアなどヨーロッパ各国に進出し、2000年代にブラジル、ロシア、中国といった発展が期待された国に進出しました。2015年以降さらに世界中で展開し始めて、日本では2015年よりオンラインがスタート。2019年西宮店がオープンし、2020年5月に幕張店がオープンしたという流れです。
ブランドコンセプトは2つあって、1つは「全てのスポーツは一つ屋根の下で見つけられる」ということ。デカトロンのラインナップに触れていただければ、あらゆるスポーツを見つけることができるはずです。そしてもう1つが「どんなスポーツも、手が届きやすくなるように」。デカトロンでは全てが自社ブランドで構成されていますが、いずれも低価格でありながら高品質の商品を作ることを理念として展開しています。
ーーその価格なのですが、中には信じられないほど安い商品もあります。このコストパフォーマンス実現の理由をお聞かせください。
エリック 開発の段階から、できるだけシンプルに、最低限必要な機能だけを適切に取り入れた製品作りをしています。例えば、アクセサリーをたくさんつけるのではなく、ただそのスポーツを気軽に楽しむためだけの構造にする……というようなことです。
これも「どんなスポーツも、手が届きやすくなるように」のコンセプト通りですが、コストを削減しながら品質もコントロールする理由から、デザイン開発から販売までを一括して自社で行っています。また、1つの商品に対して、世界中での販売数が多いので、低価格が実現できています。
日本のスポーツブランド VS デカトロンの勝算は!?
ーー日本はスポーツ大国でもあり、すでに世界中から支持されているスポーツメーカーが存在しています。こういった日本製ブランドとの差別化をどう考えていますか?
エリック おっしゃる通り、日本はスポーツマーケットが実に大きいです。世界と比較して見ると、スポーツ人口が最も多いのはアメリカですが、日本は2番手、3番手くらいにくるほどスポーツ愛好家が多い国です。将来的に見ても健康志向が高まるマーケットですから、これからもっと盛り上がると思っています。
その中で、すでに良質の日本製のスポーツブランドは数多くありますが、やはりデカトロンの場合は低価格とシンプルさで勝負したいと思っています。簡単なことではないと思いますが、可能性は十分あると思っています。
無駄を省いてコスパを実現させたデカトロン商品7選!
ーーこういったデカトロンのブランドコンセプトを象徴するようなアイテムをいくつかピックアップしてご紹介ください。
エリック まず、オリジナルブランド・QUECHUA(ケシュア)のNH100という390円のバックパックが象徴的です。裁断や縫い目をできるだけ少なくさせ、そのことを最優先にし、条件の中で最適と思われるデザインによって実現させたものです。4色を展開していますが、使い勝手はかなり良いと思います。ただ、正直この商品だけで利益を出すのはキツいです(苦笑)。
エリック そして次が「2 SECONDS」といったシリーズ。日本でもキャンプやハイキングなどのアウトドアが流行っていますが、本格的なテントだと組み立てが実に面倒臭い。それを改善するため、たった2秒で開き、また2秒で畳めるという商品です。価格も1万円台と、テントにしては安価であり、優れた商品であると自負しています。また、ビーチ用のサンシェルターも、この簡単に開閉できる仕組みが使われています。
エリック そして次が「Easybreath」というシュノーケリングマスクです。シュノーケリングって、誰でも楽しめるスポーツですが、初心者はまず水が怖いですよね。それを解消するためにできたフルフェイスの商品で、鼻からも口からも息をしたまま水に潜ることができます。
エリック そして特に日本で売れているのが「EASY NET」というバドミントンのセットです。プラスチックケースの中に折りたたんだポールとネットが収納されているものですが、4990円という低価格です。気軽にバドミントンを楽しむことができる商品だと自負しています。
エリック 次にマイクロファイバータオルですね。日本製でもマイクロファイバーのタオルはすでに多くあり、デカトロンの製品が特別なのかと言うと、正直そうでもありません。しかし、特筆すべきは価格が1000円を切っているというところです。
デカトロンでマイクロファイバータオルを販売し始めた頃は価格はもっと高かったのですが、さきほど言ったように世界中で販売することで、価格を徐々に下げることに成功しました。通常、一度設定した価格を下げることはあまりないですが、こういったことも「皆に使ってもらいたい」というデカトロンの理念が反映されています。
エリック そして最後がトレイルランニングバッグです。これは私も愛用している商品です。8790円なので、デカトロンの中では高価格に映るかもしれませんが、同レベルの機能を持つ他メーカーの商品は4~5万円もします。自社製品をとにかく褒めるつもりはありませんが、トレイルランをしている私としては、この価格は本当に良いと思っています。
どんな状況下でもスポーツは楽しむことができる?
ーー今年の冬から春にかけては、日本だけでなく世界中で新型コロナウイルス感染拡大がありました。こういった状況下でのスポーツを楽しむのはどうしたら良いと思いますか?
エリック やはり新型コロナウイルス感染拡大の時期はできるだけ室内で楽しめるスポーツ……フィットネスやジムが良いと思います。あとは、家庭のテーブルを工夫して卓球を楽しむとか。自粛時期が続いていたことで、より「運動したい」という志向が高まっているようにも思います。実際に、フランスでは外出規制が解禁になった後、ランニングやサイクリングがすごくブームになっています。状況に合わせて楽しめるスポーツはあると思いますので、こういったこともデカトロンのアイテムから見つけていただければ嬉しいです。
幕張店、西宮店の店頭だけでなくオンラインでの購入ももちろん可能なデカトロン。その手に取りやすい商品群から、今まで見過ごしていたようなスポーツに出会えるかもしれませんよ!
<SHOP DATA>
■デカトロン幕張店
住所:千葉県千葉市美浜区ひび野1-3 イオン幕張店1F
営業時間:午前10時〜午後9時
TEL:0570-07-2346
撮影/我妻慶一
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