スポーツ
2016/9/29 6:00

スポーツ配信サービスの“黒船”「DAZN(ダ・ゾーン)」上陸! 日本での戦略をキーマンが語る

いつでも、どこでも、スポーツの生中継が楽しめる――。ライブストリーミングサービスの「DAZN(ダ・ゾーン)」が、8月23日より日本でのサービスを開始しました。「DAZN」とは、130以上のスポーツコンテンツ、年間6000試合以上が1750円(税抜)という価格で見放題という破格のサービス。サービス開始にあたり、Jリーグと10年に及ぶ巨額の放映権契約を締結したことも大きなニュースとなり、スポーツストリーミングサービスの“黒船”と称する声も多い、いま話題のサービスなのです。

 

しかしながら、日本のスポーツ中継といえばテレビ放送が中心との印象が強い方も多いのではないでしょうか。また、スポーツをストリーミングで観る、という文化もまだ一般に浸透しているわけではありません。

 

この日本という市場をどのように考え、どう展開していくのか――。日本での勝機をどこに見出しているのか――。この疑問を解消するべく、運営会社であるPerform Investment Japanのマーケティング&パートナーシップ本部長、ピーター・リーさんを直撃取材しました。

 

DAZN(ダ・ゾーン)とは?

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130以上のスポーツコンテンツ、年間6000試合以上を生中継・配信するライブストリーミングサービス。月額1750円(税抜/加入初月は無料)という低価格なのが魅力で、ライブ配信はもちろん、見逃し配信も行う。スマホ・PC・テレビなどのマルチデバイスを6台まで登録でき、同時に2台を使っての視聴が可能。 https://www.dazn.com/ja-JP

 

<視聴できるスポーツコンテンツの例>

■サッカー(欧州):ブンデスリーガ、セリエA、リーグアン、コパ・デル・レイ、スーペルコパ・デ・エスパーニャ2017など
■サッカー(日本):Jリーグ(J1/J2/J3/チャンピオンシップ/昇格プレーオフ) など ※2017年より
■野球:横浜DeNAベイスターズ ホーム試合、広島東洋カープ ホーム試合、メジャーリーグ(MLB)など
■バレー:Vリーグ(男女プレミアリーグ/チャレンジリーグ)など
■ラグビー:ジャパンラグビートップリーグ、ラグビー日本代表ホーム試合 など
■モータースポーツ:F1、GP2、GP3 など
■バスケットボール:NBA(アメリカ) など
■格闘技:UFC、ワールドチャンピオンシップボクシング など
■テニス:WTAプレミアトーナメント、WTAインターナショナルトーナメント、ATPワールドツアー・250シリーズ など

■ゴルフ:PGAツアー、NBCゴルフチャンネル など

 

「日本のスポーツファンは非常にトレンディ」

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↑ピーター・リー(Peter Lee) Perform Investment Japan株式会社 DAZNマーケティング&パートナーシップ本部長。同社入社以前、20年以上に渡ってアジア・太平洋地域において複数の事業立ち上げに携わる。前職のエクスぺディアでは、複数の上級管理職を歴任。販売・運用分野のプロフェッショナルだ。

 

―サービスを開始して1か月が経過しましたが、周囲の反応はいかがでしょうか。

「非常にポジティブな反応が見られており、嬉しいです。1750円という価格で、これだけのコンテンツが楽しめるという点が、日本のスポーツファンにも評価されつつあると感じています」

 

―日本でのサービス開始にあたり、意識されたことはありますか?

「DAZNは日本以外ではドイツ・スイス・オーストリアでもサービスを行っていますが、どの地域においても、消費者の趣向を徹底的に調査します。日本でも数年がかりで調査を行い、消費者の趣向を検証しています」

 

―その調査結果はサービスのどの箇所に反映されていますか?

「この調査でわかったのは、日本のスポーツファンは非常にトレンディだということです。例えば、去年のラグビーW杯の熱狂を思い返してみると、W杯前のキャンプにはほとんど取材陣やファンがいなかったのに、W杯後は別世界だったのはみなさんもご存知ですよね。このように、時期によって見たいコンテンツが変化する傾向が見られました。

また、日本のスポーツファンは、複数のコンテンツを楽しむ割合が高いこともわかってきました。しかし、日本ではスポーツを見ようとすると、競技やリーグごとに放送系列も料金体系もバラバラで煩雑、さらに月に数千円以上の高額料金が必要という状況でした。そこで、DAZNはすべてのスポーツをリーズナブルな価格でまとめて提供することを意識しています。圧倒的なコンテンツの内容とリーズナブルな価格、そしてわかりやすい操作法という3要素を備えています。これは日本のスポーツファンが求めるレベルを満たしていると思いますし、着実に評価して頂けると信じています」

 

「Jリーグ全体を取り巻く“ストーリー”を届けたい」

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―サービス開始にあたって、10年間で2100億円という巨額の放映権契約とJリーグと結んだことが話題になりました。これまでのおよそ7倍といわれるほどの大きな金額をJリーグに投資した理由はなんだったのでしょう?

「まず、日本のスポーツを語るうえでJリーグの存在は欠かせないものです。調査からもJリーグの人気の高さが伺えましたし、日本のスポーツファンにとってよりよい環境を設けるための必須要素でした」

 

―さらに今回はJ1だけでなく、J2、J3の試合も中継対象とされています。このようなチャレンジに踏み切った理由を教えてください。

「DAZNでは、J1からJ3までの全試合放送を予定しているのですが、これは全体の“ストーリー”をお届けするためです。岡崎慎司選手も所属する、プレミアリーグのレスターの優勝が大きく取り上げられたのは、これまでの紆余曲折があったからでしょう。つまり、リーグでの昇格や降格、移籍などの要素がつながって、1つの大きなドラマが生まれていくのです。DAZNはそのすべてを、リアルタイムでお届けできるようにと考えています。

また、J3の試合は放映される機会があまりなかったため、スタジアムに行かないと試合が見れない、ということがほとんどでした。しかし、DAZNでの中継を行うことで、家にいながら観戦できるという、サポーターの方々にとって新しい価値を提供することができます。ひいては、それらがJリーグコンテンツを育てていくことにつながるのです」

 

「我々のミッションは“スポーツファンを増やすこと”」

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―日本では、スポーツのライブストリーミングはまだ浸透しているとは言えず、テレビ中継・録画鑑賞という文化も色濃く残っている印象を受けます。このことについてどう考えられていますか?

「スポーツの醍醐味は“ライブ感”にこそあります。いままでのOTT(Over The Top、インターネット回線を通じて提供される動画や音声などのコンテンツ)はオンデマンドが主流でしたが、それで体感できなかった“ライブ感”をどこでも楽しめるようにすることで、スポーツの観戦スタイルに変化を起こしていければと思っています。

DAZNはマルチデバイスに対応し、見逃し配信も行っています。そのため、スポーツの楽しみ方を大きく変えることができます。例えば、スタジアムに到着する前は手元の端末で試合を楽しめ、スタジアムで観戦し、そのあと帰るときは、見逃し配信やハイライトでお気に入りのシーンを繰り返し再生でき、電車のなかは端末で、家では迫力の大画面でその感動を再び味わうこともできるのです」

 

―DAZNの目指す“目標”とはなんでしょうか。

「テクノロジーの進歩は我々の生活を激変させますが、それはスポーツでも同じ。高性能なスローカメラやドローンの使用によって、より臨場感のある映像が撮れるようになっています。さらに我々のようなスポーツを放送・配信する側の設備も整っていくでしょう。これらを受け止め、スポーツの魅力を発信し続けるプラットフォームとして、DAZNが存在できたらと思います。テクノロジーの進化を最大限に活用して、全世界のスポーツファンを増やしていきたいですね」

 

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↑7月より東京の大門にオフィスを新設。制作ブースやオーディオブースなど全12室のスタジオブースを設け、24時間稼動でスポーツのリアルを届けている
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