スポーツ
ランニング
2023/3/20 20:30

On(オン)躍進のカギは、自前のコミュニティにあり! 共同代表が語る/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

福岡を目指し、西走! Meet OnFriends Tour

Meet OnFriends Tour 2023は、東京~福岡を5つのブロックに分け、6月18日のゴールに向けて、断続的に2週間の単位で各ブロックを走るという、壮大なイベントだ。駒田さんも、オン・ジャパンの社員も走れば、「OnFriends」、そして「OnFriends」に誘われた人も走るという。

 

「コミュニティの網が濃いところは人が集まるでしょうし、薄いところでは独りで走ることになると思います。Meet OnFriends Tourは、独りでは絶対にできないし、オン・ジャパンの社員だけでも無理。“頼むから一緒に走って欲しい”とSNSで発信し続けています。無事に成功するか、何とかなるか……。うーん、分からない……。この記事を読んだ方は、ぜひ参加してください。」(駒田さん)

 

OnFriendsは、バーチャルであり、リアルでもある、まさに雲をつかむような人たちだ。駒田さんの言葉を借りれば、“クラウド(雲)だけに、水の粒が各地に散らばっていて、それに熱量が加わると、一気にふわっと雲のように拡がる”のだとか。こうした水の粒の役割を果たす、起点になるような人物が全国に何人かいて、OnFriendsは各地で三々五々、クラウド的に活動をしているという。

 

深くて濃い、最強のコミュニティ

「大阪であったマラソン大会では、“Onを履いて走る人を励ます、私設エイドを作ります!”と、ある起点役が呼びかけてくれました。僕ではなく、彼ら彼女らが自分で企画し、実行してしまうんです。OnFriendsのコミュニティでは、僕が企画するまでもなく、大会の私設エイドだけでなく、さまざまなイベントを企画し、合宿まで“起こって”います。」(駒田さん)

 

OnFriendsは、“楽しいから”という理由で自発的に動いてくれる、理想のコミュニティだという。OnFriendsのイベントは、Onの製品を身につけなくても参加OK。OnFriendsのグループラインの中には、駒田さんの参加を認めないグループラインすらあるという。その理由は“雰囲気が、公式っぽくなるから”だとか。

 

多くのブランドは、製品の販促や、顧客情報の収集を目的に、そのブランドの製品を身に着けることを条件にして、イベントやコミュニティを運営している。しかしOnFriendsは、そうした発想とは異なる、ある種の“哲学”に貫かれて運営されている。

 

「冒険心に溢れていて、失敗しても次は成功すると信じ、そうした挑戦を仲間とも楽しめる。山や海に行ったら、その環境を大事にしようと自然に行動している。そんな人っていますよね。僕は、そういう人がOnのシューズを履いていなくても、勝手にOnFriendsだと決めてしまいます(笑)。」(駒田さん)

 

こうした濃い結びつきのコミュニティは、上がらないコンバージョン率のために規模を拡大し続けるしかない“薄い結びつき”のマーケティングと対照的な存在と言える。

 

秘訣は、“何人の人と、深く交流したか”

「1回の参加人数は少なくても、一緒に走って、レースを楽しんだ人たちは、何年経ってもOnのイベントのことを憶えています。ブランドとしての効果は計り知れませんし、ビジネスとして数字も物語っています。でも、こうした結びつきを追いかけられるテクノロジーは、まだないんですよね……。」(駒田さん)

 

Onが日本上陸して10年。自らも楽しみながら、バーチャルとリアルを縦横無尽に織り込みつつ、Onの顧客と直接触れ合うことを地道に続けてきた駒田さんだからこそ、OnFriendsという稀有なコミュニティが存在している。

 

「僕は、ラッキーでした。常に数字を負うような、いち担当者レベルでは、こうした取り組みはできません。しかも、上陸当時ひとりだったOnの事業を、10年経った今、成功として振り返ることができるのです。その秘訣を強いて言えば、“何人の人と深く交流したのか”なのでしょうけれど、何をもって“深い”のかも表現できませんよね。でも、日本のOnのコミュニティが“深くて濃い”ことは事実なのです。」(駒田さん)

↑駒田さんに誘われ、筆者もMeet OnFriends Tour初日の一部を走ってきた。高校生から壮年のおっさん(私だ!)まで、OnFriendsと一緒に約7㎞。Onファンのお店の大歓迎に、駒田さんも大感動。OnFriendsは、顧客だけでなく販売店も巻き込む重層的で熱いコミュニティなのだ

 

テクノロジーの進化も、“ランを楽しむために”!

「私たちのテクノロジーであるソール形状『クラウドテック』の進化も、“どうしたら、もっと走ることを楽しんでもらえるか”の追求の連続です。着地した瞬間のふわっとした感触、その直後のボン! とカラダを押し出してくれる感じ。“雲の上の走り”と私たちが呼ぶOnのシューズの良さを、さらにアップデートし続けることがOnの進化なのです。」(駒田さん)

 

新型コロナ禍を経て、日本のランニングシーンは大きな変動期を迎えている。競技性の高い市民マラソンが消滅したり、参加料金の高騰なども重なり定員割れする大会も少なくない。駒田さんは、日本のランニングシーンの変化をどのように見ているのだろうか。最後に、質問してみた。

 

「確信できるのは、コロナ禍による3年間の分断を経て、人のつながりと、祭りが求められていることです。今、必要なのは“愛と平和と、ハイテンション”です。Meet OnFriends Tour は、まさにそのためのイベントです。Onはランニングを通じて、ハッピーな人生を送る人を増やしたいと思っています。」(駒田さん)

 

いよいよ次回から、新発売となった「クラウドサーファー(Cloudsurfer)」と最大の厚底を誇るOnの代表モデル「クラウドモンスター(Cloudmonster)」のインプレを紹介する。Onの実力や、如何に⁉

 

撮影/我妻慶一

 

 

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