ついにオープンした、北海道日本ハムの新球場・エスコンフィールドHOKKAIDO(以下、エスコンフィールド)。4月1日には、清宮幸太郎のサヨナラタイムリーで、北海道日本ハムファイターズが新球場初勝利を飾ったのも記憶に新しい。
この新球場には、多くの企業がスポンサーとして参画している。そのうちのひとつがパナソニックだ。同社はパートナーシップ契約という形でエスコンフィールドをサポートしている。球場内の照明やサイネージを提供しているほか、3塁側ダグアウトクラブの命名権も取得。球場と企業の、単なるコラボレーションにとどまらない、新基軸の取り組みを取材した。
【エスコンフィールドの「照明」の見どころをギャラリーで紹介】
かつてない球場のために設計した照明配置&映像システム
新球場の照明環境は独特だ。全面ガラス張りで開閉式の屋根を備えたエスコンフィールドには照明塔を設置することはできないし、ガラスウォールにも照明の取り付けは不可能だ。また、照明の設置は大型ビジョンの付近を避けることも求められる。
結果として、投光器の設置可能箇所は天井の一部に限られ、台数も少なくなった。球場のフィールド照明としては、500〜700台の投光器を設置するのが一般的というが、エスコンフィールドではより少ない数で、十分な明るさを実現しなければならなかった。
そこで同社は、出力の異なる2kWと1kWのLED投光器を混合して設置。強い光を放つ2kWの投光器によって必要な明るさを確保しつつ、1台1台の照射角度を微妙に変えることで、選手がまぶしく感じないように工夫を凝らしている。
ちなみにフィールド向けの投光器は全部で354台設置されており、その内訳は、1kWが226台、2kWが128台。外野側から内野を照らす照明はすべて2kW・162台で構成しているが、内野側から外野に向けた照明は2kW・64台と1kW・128台を混合している。
パナソニックが提供しているのはフィールド照明だけではない。球場内に設置されている照明約9000台、外構照明約450台、サイネージ約600台、映像制作用のカメラ10台、映像制作システムも同社製のものだ。
なかでも映像制作システムのKAIROSは、球場内で撮影した素材などから、大型ビジョン・サイネージに映す映像を効率的に作り出す。ケーブルテレビでも使用される技術を導入したことで、600台のサイネージに映し出される映像の遅延は、0.5秒以下だという。
またKAIROSは、画面の縦横比に左右されることなく、複雑で高度な映像制作・出力ができる。エスコンフィールドに設置された横長の大型ビジョンは、多彩な映像演出によって試合を盛り上げるが、それを支えているのがKAIROSなのだ。
観戦・食事・体験の3要素を備えたプレミアムラウンジ
パナソニックは、エスコンフィールドの3塁側ダグアウトクラブの命名権を取得している。「Panasonic CLUB LOUNGE」と名付けられたこのエリアには、観戦・食事・体験の3要素で構成される。
このラウンジは、3塁側ダグアウトクラブシートのチケットを購入した人のみが利用できる。ダグアウトクラブシートはラウンジと直結していて、選手目線での観戦が楽しめるプレミアムシートだ。エスコンフィールドのファウルグラウンドにはレンガを砕いて作られた砂が使用されているのだが、選手たちのプレイの拍子に、シートに砂がかかってくるという。この座席はそれほどに、選手たちに近い場所なのだ。
シートは全89席。チケットは年間契約のものが大半だが、一部は通常購入が可能で、その価格は1万3000〜2万7000円。価格は試合日によって異なるという。
ダグアウトクラブシートのチケットを持っていれば、ラウンジ内で無料の飲食が楽しめる。なお、ここで提供される食材には北海道産のものを使っているそうだ。
さて、ラウンジ内では、パナソニックの最新製品が多く並べられている。そのラインナップは多種多様で、エアマッサージャー・レッグリフレ、フェイススチーマー・ナノケア、高級マッサージチェア・リアルプロといった美容健康製品をはじめ、空間除菌脱臭機・ジアイーノ、温水洗浄便座・アラウーノなどを触って体験できる。
この空間について、ファイターズスポーツ&エンターテイメントの河原井建吾さんは「露出機会の枠を超えた、商品・サービスのショーケーシング」と語っている。このラウンジはただ製品を並べただけでなく、観戦や食事を楽しみながら“自然に”パナソニック製品を体感できる空間なのだ。
まだオープンしたばかりで話題が尽きないエスコンフィールド。その裏には、新球場を力強く支えるパートナーの存在と、オリジナリティあふれる取り組みがあるのだ。