文具店では買えないペンがある。というか、日本でもただ1か所のとある自動販売機でしか買えない。しかも販売期間は、今年の1月初頭から2月末までのわずか2か月間限定。やたらとレアだ。それだけ入手が困難なうえに、そのペンで紙になにか描いても筆記跡は無色透明で何も見えない。だって、このペンは紙用ではなくバナナに文字や絵を描く専用のペンなのである。
Dole 「バナペン」低糖度バナナセット 150円
このバナナ用ペン「バナペン」は、バナナでお馴染みDole社が地下鉄半蔵門渋谷駅の出口付近に設置した「バナナの自動販売機」でのみ、バナナ1本+バナペンのセットとして購入できる。
キャップを外すと、白いペン先からはなにかツンとした刺激臭がする。油性マーカーの溶剤臭じゃなくて、もっと酢酸系の酸っぱいやつ。それもそのはずで、バナペンの軸内にはインクの代わりに透明な食用酢が詰まっているのである。
なので実際に描いてみると、最初は筆跡もほぼ目立たない。が、時間が経過するとじわじわと変色してきて、文字がはっきり読み取れるようになる。5分ほどでなんとなく茶色になり、15分〜30分で焦げ茶から黒、といった感じだ。
これはバナナの皮が酸化すると黒く変色する性質を利用したものなのだそう。理科の実験のようで、小さいお子さんのいるご家庭ではウケるのではないだろうか。で、そもそもなんでバナナに字を描くペンがあるのか?
Doleが協賛している「東京マラソン2017」では、ランナーに補給食としてバナナを配っている。そのバナナに“このペンで応援メッセージを描いて渡そう!”という趣旨で作られているのだ。
もちろん、東京マラソンに何の縁も無く、応援する気がゼロでも問題はない。こたつにぬくぬく当たりながらバナナに落書きするだけ、というのもなかなか楽しいものである。バナナのあのカタチを活かした絵をあれこれ考える「バナナ大喜利」なんて、盛り上がりそうだ。
ただ、ひとつ問題がある。冒頭で「渋谷の地下にある自動販売機でしか買えない」と説明したが、いまやその自動販売機ですらなかなか買えなくなっているらしいのだ。
2月初頭にテレビでバナペンが紹介されたのがきっかけらしく、供給を3倍に増やしても追いつかないほど自販機前に行列ができ、現在は毎朝7時から配布される整理券が瞬殺されてしまう状況とのこと。
どうしてもバナナに描いてみたい、という場合は、皇居近くにあるランナーズステーション「JOGLIS」でバナペンの試し書きができるスペースがあるそうだ(2月25日まで)。これまた都内近郊在住の人に限られそうだが、気になるかたはどうぞ。