【きだてたく文房具レビュー】いいね! がもらえる名脇役ノート
今年の新語・流行語大賞は「インスタ映え」だそうで、たしかに去年から今年にかけて、どこに行ってもよく耳にしていた気はする。
「Instagram(インスタグラム)」と聞くと、おっさんは「若い女子のすることだろう」と避けがちかもしれないが、要するに“スマホで写真を撮ってSNSにアップする”というだけの話である。ラテアートやらふわふわなパンケーキの写真をインスタに載せるか、飲み会で出た豪華刺し盛りの写真をFacebookに投稿するか、ぐらいの話であって、やってることに大差はない。
今やスマホ(ガラケーでも)を持っていながら写真を撮らない人なんて、かなり少数派に属するはずで、だいたいはなんだかんだで1日1枚ぐらいは撮っているんではなかろうか。で、どうせ撮るならちょっとでも、人に見せた時に「いい写真だね」と言ってもらえるような見栄えの良い写真を撮りたい、というのが人情だろう。そんな人間の欲求にピンポイントで応えるノートというのがあるので、紹介したい。
つまり今回は、ノートの紙質とかそういうのは一切抜きで、撮影に便利なパーツだけの話である。
影を飛ばしてくっきり明るい写真を撮れるノート
M-PLANから12月に発売される「レフ板のついたリングノート」は、A5サイズの5㎜方眼リングノートに、名前の通りレフ板を備えたもの。
写真に興味のない人にはピンとこないかも知れないが、実はこの“レフ板”というのが、写真をきれいに見栄え良く撮るのに必須といっていいほど重要なのだ。
このノート、後ろ側に銀色のメタリックボードが付いており、これが簡易的ながらレフ板として機能する。
ノートにレフ板が付いている意味というのは、特にない。ただ、スマホでちょっとした写真を撮るためにわざわざレフ板を持ち歩くよりは、いつものノートについでにレフ板が付いている、という方がお得でうれしいというものだろう。
これを被写体のそば、上から見て影ができている側に置いてやることで、光を反射して明るく撮影することができる、というわけ。(この辺の理屈は、説明し始めるとキリがないので、興味のある方はレフ板・ライティングなどのワードで検索してください)
レフ板を使う時は見開き状態にして立ててもいいし、ノートの裏表紙台紙がスタンドになっているので、これで支えて立ててもいい。スマホは両手で支えつつシャッターボタンを押すのが安定した撮影姿勢なので、いちいちレフ板に片手をふさがれないのはありがたい。
実際には「がっつり実用」というレベルには満たない、オマケ程度の性能だ。しかし、あれば便利なレフ板がノートのオマケとしてついていると考えれば、それだけでも常備する価値はあるかも知れない。
知る人ぞ知る使い方、黒背景のノート
もうひとつ、オフィシャルでは「写真撮影に便利」とはひと言も謳われていないが、実は知る人ぞ知る小物撮影にちょっと便利なノート、というのも存在する。
マルマンの『Mnemosyne(ニーモシネ)』リングノートがそれだ。
ニーモシネといえば、文房具好きの間では書き味の良い高品質紙を使ったノートとして有名だ。しかし、今回のような撮影用途で便利なのは、紙の方ではない。リングノートの表紙裏面が、背景の黒バックとしてなかなか有能なのだ。
表紙板の裏面は何の装飾もない黒一色。プラ製なのでアップで撮影しても紙の繊維が目立つことはない。しかもうっすらと梨地になっているので、周りの光がペカペカと極端に反射することもない。
例えば文房具など小物の写真を撮ってSNSにアップする時など、この程よい黒バックが重宝するのである。
机の上にダイレクトに置いて撮ると、気付かぬうちに埃や汚れが写り込んでしまったり、変な反射光でみっともない写真になってしまうこともままあること。そういう時に、サッとニーモシネの表紙裏を敷いてやるだけで、グッと締まったいい写真になったりするのである。
ニーモシネ、そもそもノートとしても優秀であることだし、いざという時に備えてこちらも1冊、どうだろう。
【著者プロフィール】
きだてたく
最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。