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2018/3/30 11:10

エナージェルにサラサに……ド定番ボールペンの新作に萌える春

【きだてたく文房具レビュー】買い揃えたくなる定番ボールペンの新モデル

3月もいよいよ末日。3月と言えばもう立派に春であり、春と言えば新入学・新入社の時期であり、すなわち文房具のハイシーズンだ。メーカーももちろん春先に合わせてあれこれ放り込んでくるため、この時期は文房具屋さんの店頭には啓蟄(けいちつ)よろしく、新製品がにょきにょきと顔を出している。

 

そして文房具好きは桜の開花なんかよりも早くこの新製品ラッシュで新しい季節の訪れを感じ取れるわけである。つまり我々は一般よりも敏感に“春の雅”を検知できるセンサーを搭載した人種だと言えよう。

↑文房具好きにしか感じられないが、店頭はもう春!

 

ということで「春になったことだし、ひとつボールペンでも新しくしてみようか」とお考えの雅やかな皆さまに、ひとまずこれ買っといたらいいよ、という最新ペンを3本ご紹介しておこう。

 

今年の春も、面白い新製品がいろいろ出てるぞ。

 

気持ちが浮き立つ絶妙カラー&透明軸

抜群の速乾性と濃い発色で、エントリーシートを書くのに最適な“就活ペン”としても知られるぺんてる「エナージェル」シリーズから、限定発売の新作として登場したのが「エナージェル インフリー」。

 

これのどこがオススメかって、そりゃもう、とにかく見た目だ。

↑ぺんてる「エナージェル インフリー」0.4㎜/0.5㎜/0.7㎜ 各216円(限定販売)

 

透明度の高いクリア軸から、カラフルなインクリフィルが丸見え。しかもリフィルには、わざわざインク色と同じ色のフィルムを貼って着色しているので、透け感の中にもエナージェルっぽいキリッとした表情が感じられる。

↑インクカラーがはっきり分かる透明軸は、万年筆経由でいまちょっとしたブーム

 

200円+税でこれほどカッコいいボールペンというのも、なかなかないだろう。ここしばらく、万年筆でも透明軸がブームとなり、中のインクが透けて見えるのを楽しむというスタイルが流行ったのだが、インフリーもそれに近い楽しみ方ができるわけだ。

↑インクのイメージカラーで着色されたリフィル(芯)。エナージェルインクの鮮やかさが感じられて、使う前から気分が浮き立つ演出だ

 

0.5㎜には、従来のエナージェルには無かったブルーブラック、ターコイズブルー、オレンジの3色がラインナップ(0.4㎜、0.7㎜にもブルーブラックが入っている)。

↑やはりターコイズとオレンジの鮮やかさは特別感がある

 

そのままビジネスに使える濃厚なブルーブラックもいいが、個人的にはやはり、鮮やかなオレンジと深みのあるターコイズブルーがとてもキレイでいい。

 

浸透性が高く紙ににじみにくいエナージェルインクだけあって、多少淡い色合いでも書いた文字がぼやっとしない視認性の高さは、さすがだ。

 

続いてはシャーペンも使う派におすすめの新作。

シャーペンも使う派にオススメの2+S+消

トンボ鉛筆の新ボールペンは、「モノグラフマルチ」。普通のボールペンとほぼ太さの変わらないスリムな軸に、黒・赤の油性ボールペン+シャープペンシル+お馴染みMONO消しゴムを搭載した、回転式の多機能ペンだ。

↑トンボ鉛筆「モノグラフマルチ」648円

 

ポイントは、やはり軸後端をくりくり回すと出てくるロングタイプのMONO消しゴムだろう。

↑ここまで長い内蔵繰り出し消しゴム。硬めのタッチで手帳の書き込みを消すのもやりやすい

 

シャープペンシルの後ろに付いた消しゴムなんて、消しにくいのがデフォ、なんていうのはもうはるか昔の話。やや硬めでしっかりしたタッチの消しゴムは、いつもの四角い消しゴムと比べても全く遜色のない消字力だ。だって、あのMONOだもの。

 

というか、むしろスリムな分だけ細かい部分もピンポイントで消しやすいため、消しゴム単体としても使いやすいぐらいである。

↑1本にまとまった黒・赤・シャープ+消しゴム。これさえあればとにかく筆記具は大丈夫、という密度の高いペンである

 

黒・赤のボールペンは、トンボの超低粘度油性エアータッチインクを使用。スルッと軽くて走りのいい筆記感は、他社の低粘度油性インクと比べてもひけをとらない滑らかさだ。

 

しっかりとした消しゴムを内蔵している分だけややリアヘビーだが、むしろそのおかげで、低粘度油性が苦手な人にとっては取り回しをコントロールしやすい印象すらある。

↑上に繰り出し消しゴムがあるので、構造上この位置になってしまった切り替え表示。透明クリップでポジション合わせをするので、見えなくはないのだが……

 

ただ、これはデザイン上どうしてもしょうがないのだが、黒・赤・シャープの切り替え表示が少し見にくい場所に来てしまっている。特に黒・赤はペン先を見ても判断がつかないので、慣れるまでは使う度に切り替え表示を確認する方がいいかもしれない。

 

3つ目は、とにかくにじまないボールペン!

上から蛍光マーカーを引いてもにじまないペン

ゼブラのド定番ゲルインクボールペン、サラサシリーズに新しく登場したのは「サラサマークオン」。

 

水性/ゲルインクの欠点のひとつとして、書いた上から蛍光ペンでマーキングするとにじむ、というのがある。しかしサラサマークオンは「蛍光ペンでにじまない」ゲルボールなのだ。

↑ゼブラ「サラサ マークオン」0.4㎜/0.5㎜ 各324円

 

サラサマークオンは特殊なインクを搭載し、耐水性と紙への固着性をアップ。メーカーによると「文字を書いてから約5秒後に蛍光ペンで上から引いてもにじみません」とのことだが、確かに書いて5秒待てばこの通り、ほとんどにじみを感じられない仕上がりだ。

↑写真上は一般的なゲルボールペン。こちらは蛍光マーカーのラインが黒ずんで汚れてしまった。下のマークオンはきれいなまま!

 

清書ノートなどでせっかくキレイに字を書いたのに、最後に蛍光マーカーを塗った瞬間に台無し!みたいなことはまずないだろう。当然、マーカーのペン先がにじんだインクで汚れることもなし。

 

5秒と言われると「それだけ待つのかよ」と思ってしまうが、文字を書いてからペンを置いて、蛍光ペンのキャップを取って、上からマーキングして……で5秒ぐらいは充分に経っているはず。つまり感覚的にはほぼ、“書いてすぐでも平気”という感じだろう。

 

もちろん蛍光マーカーに強いだけでなく、がっつり水濡れにも強い。

↑水をたらしたハガキの宛名書き。他のゲルボールペンで書いた社名部分は、悲しいほどにじんでしまった

 

水性/ゲルインクにも染料系と顔料系という区分があり、基本的に顔料系のほうが耐水性は強い。実際、今回のテストで蛍光マーカーによりにじんでしまったペン(水性顔料インク)も、しっかり乾燥させてやればにじみはほとんどなかった。

 

それでも、やはり“書いて5秒でOK!”というのは圧倒的に強い。速乾性ならぬ速耐水性という表現が良いだろうか。蛍光マーカーを仕事で多用している人にとっては、かなりの安心材料になるはずだ。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。ブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)が発売されたばかり。