最近使ったモノの中で「おー、これは便利!」と感じたのが、紫外線で硬化する液体プラスチック「BONDIC(ボンディック)」。チューブの先端から透明の液体をくっつけたいところに垂らしたら、付属のUVライトをピカッと照射。すると、4~5秒ほどでカチカチに硬化するのだ。
接着できる素材も、樹脂や金属、木材、コンクリート、革、陶器、ゴムと、かなりオールマイティ。この性能を使って、瞬間接着剤代わりに使えるかな? と思って取り寄せてみたのだが、これが予想していたよりもやたらと有能なので、驚かされた。ということで、今回はこのBONDICがどのように便利かを紹介したい。
歯科医の治療法「ダイレクトボンディング」を元に製品化
「BONDIC」は、アメリカの歯科医がダイレクトボンディングという治療(虫歯などに紫外線硬化のプラスチックを塗り込んで詰め物にする治療法)を元に製品化したもの。もちろんアメリカの製品だが、現在は日本のAmazonでも購入できる。
使い方は簡単。例えば、折れたペンのクリップを接ぎなおす場合、接合するパーツ同士をつないでから、合わせ目の周囲から少し盛るようにBONDICを塗る。液の入ったリフィルの先端が細いパイプになっているので、そこからチョビチョビと少しずつ塗っていく感じだ。
接着剤の感覚だと、ここは「急いで作業しないと乾燥してしまう!」と焦るところだが、BONDICは紫外線を当てるまでは普通にちょっと粘性のある液体のまま。鼻唄でも歌いながらノンビリと塗っても問題なし(ただし、自然光で作業してると普通に紫外線硬化するので注意)。
塗り終わってライトを当てれば4~5秒でカチカチに!
塗り終わったら、リフィルにくっついているUVライトを塗布部に照射する。だいたい4~5秒も当てればカチカチの透明プラスチックになっているはずだ。瞬間接着剤でも固着するには数十秒ぐらいはかかるので、そう言う意味ではこちらのほうが“瞬間”だ。
しかも、普通の接着剤とは違い、折れた破片が足りなかったり、断面が上手く噛み合わなかったりしても、その隙間をパテのように埋めて接着できるのだ。やり方はまったく簡単で、少し塗っては硬化、塗っては硬化……を繰り返し、足りない部分を作ってしまうのである。
で、固まった後はまったく普通にプラスチックになっている。眼鏡のフレームなど強度の面で補修が難しいものでも、応急処置レベルならなんとか大丈夫そうだ。瞬間接着剤のように振動で接着が剥がれる危険がないのも素晴らしい。
プラスチックなので、硬化した部分はヤスリで削って形を整えることも可能。塗装もOKなので、接着跡に近い色を塗って見た目を整えることまでできるのだ。
最近は100均でも手芸用の紫外線硬化レジンが購入できるが、あちらはUVライトでも硬化に10分以上かかるうえに、研磨も塗装も難しい。もろもろ、BONDICの方が圧倒的に使い勝手が良い。
欠けた食器や断線したケーブルにも使える!
もともと歯科治療の技術から生まれた製品だけあって、硬化した部分が口に触れても安全。フチが欠けて「口をつけると唇を切りそうでやだなぁ」という陶器も安全に埋めて補修することができる。言うなれば、現代版の金継ぎである。もちろん防水性もあるので、隙間さえきちんと埋めておけば、補修部から水分が漏れてくることもない。
また、断線したケーブル類の被覆を剥いてつなぎ直した後、BONDICで固めて補修することもできる。プラスチックは絶縁体なので、きっちり断線箇所をカバーすれば漏電の心配も無い。例えば、Lightningケーブルなどのコネクタ周りが折れて断線しそうになっていても、事前にかっちり固めてしまえば安心だ。
もちろん、できるのは補修だけでは無い。パーツの新造だってBONDICにはお手の物である。例えば「テープのりを携帯のストラップにくっつけて持ち歩きたいなー」と思ったとしよう。もちろん、テープのりはそんな持ち歩き方を想定して作られていないので、ストラップ紐をつなぐような穴が開いていない。
そこで、テープのりのボディにBONDICをたっぷりめに垂らして硬化させ、そこにドリルで穴を開けた。こういうこともわずか5分足らずの工作でできてしまうのだ。
性能面では文句なしだが……3000円超の値段がネック
性能面では万能のように思えるBONDICだが、一つだけ欠点がある。値段が高いのだ。現在もっとも購入しやすいAmazonでも、UVライトとリフィルがセットになったスターターキットが並行輸入品で3180円。リフィルの内容量は4gと、これで「たっぷり使える!」というほどではない。
ちなみにアメリカでの価格はリフィル2本にライトで19.9ドル。安くはないが、性能的にはなんとか納得できるレベル。できれば日本向けにも、代理店が入ってもう少し安く販売してくれると助かるのだが。
製品販売サイト(Amazon.co.jp)はコチラ