文房具
2019/1/7 17:30

携帯用と侮れない!「ペン型ハサミ」のニュータイプが超快適だった

【きだてたく文房具レビュー】携帯用らしからぬ使い心地のハサミ2丁

ハサミは常に持ち歩こう、というのが筆者の主張である。ペンケースにハサミが一丁常備してあれば、開きにくいお菓子の袋を切ったり、うっかり付けっぱなしだったクリーニングのタグを切ったり、衣服のほつれを切ったりと、なんだかんだで助かる局面が意外と多いのだ。

 

そこでまず今回は、自分のペンケースの中を再確認するところから始めてみてほしい。中に、ここ半年ぐらい一度も書いていない筆記具が入っていないだろうか? もしあったとしたら、それをペンケースから抜いて、代わりにペン型ハサミを入れておくのをオススメしたい。いやほんと、騙されたと思って。少なくとも半年使ってないペンよりは、ずっと役に立つから。

 

元祖ペン型ハサミの最新進化版「ペンカット プレミアム」

そもそもペン型ハサミという存在すら知らなかった人もいるだろうが、実はそういう製品群がちゃんと存在していて、2010年に発売されたレイメイ藤井の「ペンカット」がその元祖だ。

 

まさにペン状の細いボディのハサミで、ペンケースにすんなり入る携帯性と、しっかりと切れる実用性が人気となり(レイメイ藤井というメーカーの微妙なマイナーさゆえ、ブレイクとまではいかなかったが……)、その後は他メーカーも追随するようにペン型ハサミを発売し、今やきちんとした刃物の一ジャンルとして成立するまでになっている。

↑レイメイ藤井「ペンカット プレミアム」972円/フッ素コートタイプ1188円/チタンコートタイプ1404円(写真はチタンコートタイプ)

 

その元祖ペンカットの進化版として、2018年に発売されたのが「ペンカット プレミアム」だ。

 

どこがどう進化したかというと、まずひと目で分かるのはサイズの違いだろう。ペンカットが全長128㎜なのに対してプレミアムは145㎜。大きくなって携帯性が損なわれたのではと思われるかもしれないが、145㎜は一般的なノック式ボールペンとほぼ同サイズなので、長さが他と揃う分だけ、逆に収納しやすくなったともいえる。

 

もちろん大きくなった分だけ刃渡りも45㎜→55㎜と延びて、切りやすくなった。

↑写真下が初代ペンカット。ボディの中まで刃が貫通しているなど、基本的な構造は変わっていない。ただし左右両利き対応(初代)から、右利き専用(プレミアム)など大きな変更もある

 

で、肝心のハサミとしての性能は? というと、これが実はかなり万能型の優秀なもの。そもそもペンカットシリーズは、刃が軸の末端まで貫通していることで「力を入れて切りやすい」のが売りのひとつだったのだが、プレミアムではさらに刃厚も1.2㎜→1.5㎜と分厚くなったことで、よりザクザクと切り込んでいけるようになった。

 

実際に試してみると、厚物は段ボールから、薄物は梱包用のプチプチシートやガーゼ、ティッシュなどがサクッと気持ち良く切れる。ペン型じゃない普通のハサミと比較しても、充分に勝負ができるレベルだ。

↑切れ味を活かしてスパッと薄いものが切れ、力を込めてザクザクと厚い段ボールも切れる。これはかなり優秀な性能だ

 

ペンカットシリーズは、元祖でありつつ、ペン型ハサミとしては独特な“ハンドルループ”という方式でホールドする。軸のスライダーを動かすと中から軟質樹脂のハンドルが飛び出してくるので、そこに指をいれてチョキチョキ動かす、というものだ。

 

柔らかなハンドルが指にフィットするので、使っていても見た目ほどの不安定さはない。むしろ他社が多く採用するバネ式(指を入れるハンドルはなく、内蔵バネの弾力を使って開閉するタイプ)では難しい、細かな曲線切りなども自在で、一般的なハサミと近い使い心地がある。

 

実はこのハンドルもわずかに進化しており、ペンカットのハンドルループは断面が円形だったのに対して、プレミアムは扁平な楕円形となっている。実際に使い比べてみても、プレミアムの方が指を入れた時によりしっくりと馴染んで安定する感覚があり、細かなところだけど確実に良くなっているなぁ、と感心した。

↑普段はボディの中に収納されている柔らかいハンドルループ。指をしっかり固定してくれるので、刃を動かしやすい

 

ダンボールや厚紙から薄いフィルムまで、かなり広域に使える万能の携帯用ハサミが欲しいというのであれば、ペンカットプレミアムを第一の候補としてオススメしたい。

 

ロング刃で軽快にサクサク切れる「スティッキールはさみ ロングタイプ」

一方、そこまで万能じゃなくてもいいので、もっと軽快に使えるペン型ハサミを……というのであれば、バネ式のものもまた便利だ。

 

別にダンボールをしょっちゅう切る機会があるわけでもなし、コピー用紙ぐらいをサクサクと素早く切れた方がありがたい、というのであれば、サンスター文具の「スティッキールはさみ ロングタイプ」(以下スティッキールロング)がいいだろう。

↑サンスター文具「スティッキールはさみ ロングタイプ」648円

 

実際のところ、ペン型を含む携帯用ハサミの最大の用途は、学生がプリントを切ること、だそうだ。

 

学習プリントをノートに貼るために切り出すのが主用途であれば、確かにペンカットプレミアムはややハイスペックが過ぎるし、また、いちいちハンドルループを出し入れする手間もある。

↑使用時は、キャップをはずして矢印方向にハンドルを押し込む。収納時はキャップを閉めれば自動的にロックがかかる

 

スティッキールロングは、キャップをはずして軸の片側をわずかに刃側に押し込んでやれば、安全ロックが解除されて切れるようになる。あとはバネの力で刃が開くので、軸を握ってチョキチョキと切り進めるだけ。

 

先にも述べたとおり、現状ではペン型ハサミの主流といえばこのバネ式で、やはり手軽さ・軽快さはひとつの正義なのだ。

↑バネの弾力で勝手に開くので、ハンドルを握ればサクサクと切れていく

 

そんな数あるバネ式ペン型ハサミの中でも、スティッキールロングは刃渡りの長さがポイントとなる。

 

56㎜と従来スティッキールの約1.6倍の刃渡りは、プリントを切る際にチョキチョキと動かす回数から違ってくる。刃を動かす回数が少なければ切り終わるスピードが早いし、さらには1ストロークが長い分だけきれいに直線が切れる、ということ。そもそもバネ式は細かな曲線切りに使うものではない。直線が早くまっすぐ切れる性能こそが求められているのだ。

↑直線切りは、やはり単純に刃が長い方が早くてラクだ

 

ストロークが長くなると、刃の開閉角が小さく、力も入りにくくなる刃先側の切れ味が落ちる、という問題がある。

 

そこでスティッキールロングは、刃先に微妙なカーブをつけ、刃角をコントロール。先端までスパッと切れるように考慮されている。実際に使ってみても、一度切り込んだら刃先の方までそのままサクッと切れる感触があり、快適だ。

↑ペンカットプレミアムと同様に、長さ・直径ともほぼ一般的なボールペンサイズ。立つペンケースなどと相性がいい

 

切れ味なども含めて、とにかくコピー用をサクサク切るのに特化した性能は、普段使いのハサミとしてかなり使いやすい。実際のところ、切り始めるまでの軽快さなどを考えれば、より使用頻度高く使えるのはペンカットプレミアムよりもこちらだろう。そういう意味では、より万人向けにオススメできる一丁と言える。