2. 立つペンケースなのに小物収納が充実した「ネオクリッツ シェルフ」
先ほど「立つペンケースは小物が取り出しにくい」という点に言及したが、これも従来品では大きな不満点となっていた。
立たせる=底が深くなるので、消しゴムやクリップといった小物が中に沈んでしまうと、取り出すのが困難になる。また、そもそもそういった小物収納があまり考えられていない製品も存在し、運用がしにくいと感じることも多かっただろう。
立つペンケースブームの火付け役となった、コクヨ「ネオクリッツ」の新バージョンとして発売された「ネオクリッツ シェルフ」は、そういった小物の収納を、新たに“棚”を設けることで解決した、画期的な立つペンケースなのだ。
どういうことかと言うと、ジッパーを開けて展開してみれば一目瞭然。この通り、スタンドとなるペン収納スペースに加えて、横2段の小物収納棚が存在するのである。
しかも、棚と言っても申し訳程度のポケットではない。浅い上段には消しゴムやクリップ、深い下段はテープのりや小型のステープラーまで収まってしまう、かなり広くしっかりとした棚なのだ。
特に鉛筆やシャープペンシルを多用する人の中には、これまで立つペンケースを運用したくても大きい消しゴムが使いにくいから……と躊躇していた人もいるだろう。しかしこの棚なら、もういつも使っている角形の消しゴムだって、すぐに取り出すことができるのだ。
収納力の高さもだが、何よりも小物をきちんと分別して収めておける“整理能力”が素晴らしい。
必要な時に中をごそごそ探す必要がなく、サッと手が届くアクセスの良さは、ペンケースというジャンル全体で見ても最強レベルと言える。実際に運用してみれば、そのスムーズさに驚くはずだ。汚れや無駄めくれが心配だった、ふせんやマスキングテープも安心して収納できるわけで、これもかなりありがたい。
ここまで整理収納環境が整っていると、もはやこれは“ペンケース”というより、持ち運びもできる便利なツールスタンドと考えて良いかもしれない。
ペン収納スペースは、普通のペンでだいたい8~9本がベストな容量といったところ。このペン収納にもささやかながら一工夫がある。硬い側面にゴムベルトが備わっているため、ここに定規やはさみなど、ペンと分けておきたいツール類がストックできるのだ。
特に幅の広い定規類は、一緒くたに収納していると、ペンを取り出すのに意外と邪魔なもの。わざわざ別ポケットを設けるほどではないが、常用のペンとそれ以外のツールをゴムベルト1本で分別できるのは、かなり便利だと感じた。
問題点があるとしたら、ケース自体の大きさと厚みだろうか。ポーチ型としてもわりと大きめサイズなので、カバンの中でもなかなか主張してくる感じだ。
また、展開しても棚が広がって底面積を出すので、カフェなどの極端に狭い机で使おうとすると、やや圧迫感を感じるかもしれない。(その代わり、転倒の心配はほとんど感じられないが)
この辺りで、整理収納を取るか、スマートさを取るかはユーザーの判断次第。だが、ペン以外にもツールをあれこれ持ち歩きたい派には現時点でベストかも、とオススメできるケースである。