オフィスで使われる文房具や雑貨を膨大に取り扱うオフィス通販の「カウネット」が、オリジナルブランド「『カウコレ』プレミアム」を展開していることをご存知だろうか? 一見“普通”のオフィス用品のようでいて、使えばわかるユニークなアイデアを盛り込んだ“普通じゃない”便利グッズの数々。
文具ソムリエールとして活躍する菅 未里さんも、その「カウコレ」プレミアムのアイテムを熱烈に愛用するひとりだ。今回その菅さんが、「『カウコレ』プレミアムの商品がどれも、かゆいところに手が届くのはなぜか?」を突き止めるため、カウネットを突撃した。
文具ソムリエール / 菅 未里さん
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あきらめていた困りごとを解決!
菅さんがそもそも、カウネットを知るきっかけとなったのは?
「オリジナル商品を展開する『カウコレ』プレミアムが登場してからなんです。正直なところ、『カウコレ』プレミアム登場以前のカウネットの印象って、実はあまりないんですよね。『カウコレ』プレミアムが出たことで、『ここにはこんなに面白い商品があるんだ!』と、カウネット自体に興味をもち始めました」(菅さん)
では、そんな「カウコレ」プレミアムの魅力って、どんなところだと思いますか?
「一言でいえば、“かゆいところに手が届く”商品が多いことですね。文房具や日用品を使っていて『なんか使いづらくてイライラする……』って感じても、『でもこういうものだから仕方がない』ってあきらめちゃいますよね。でも、そういった小さいイライラが積み重なると、けっこうストレスになるんです。『カウコレ』プレミアムには、こういった今まであきらめていた小さな“困りごと”を解決してくれる商品がいっぱいあるんです。本当に気が利くアイテムが多くて、私は好きですね!」(菅さん)
と語る菅さん。ここはぜひ、「なぜ『カウコレ』プレミアムの商品がどれも、かゆいところに手が届くのか?」を突き止めていただこう!
「カウコレ」プレミアム
カウネット新ショールーム「Kau-Box」へ初潜入!
菅さんが足を運んだのは、コクヨ東京品川オフィス内に2020年10月にオープンしたばかりのカウネットの新ショールーム「Kau-Box」。メディアの取材者として初潜入となった。一歩、足を踏み入れてみると……?
「『カウコレ』プレミアムは大半が通販でしか買えないので、商品を一気に見るのは初めてですね。一通り眺めると、あらためてニッチな商品が多いことを実感します。興味がある方は、ショールームを訪れるだけでも気分が上がると思いますよ!」(菅さん)
在宅ワークやフリーアドレスオフィスにぴったりの商品がいろいろ!
Kau-Boxに入り、さっそく「カウコレ」プレミアムの商品群をチェックする菅さん。中央のテーブルで発見したのは……。「あ、あれ折りたたみ集中ブースだ! カウネット社内でも実際に使ってるんですね!」と、その時、折りたたみ集中ブースの横から人影が……。
菅未里さん(以降、菅):今日はカウネットの知られざる傑作や、その開発の裏側を見せていただくためにやって来ました。よろしくお願いします! 早速ですが、この「折りたたみ集中ブース」はテレワークにぴったりの商品ですね。
本澤真悠子さん(以降、本澤):実はこれ、企画した担当者が席替えで周りを上司に囲まれてしまい、「この環境では仕事に集中できない……」という、自分自身の困りごとから着想を得た商品なんです。単なるパーテーションではなく、収納ポケットやケーブルを通せる穴があったりなど、機能がいっぱい詰まっています。
菅:そんな秘話があったんですか(笑) フリーアドレスのオフィスも増えていますが、周りになじみのない方が座ることもあるので、周囲の動きが気になって集中できない時にはいいですね。また在宅ワークでは、これを立てることで「今集中しているので、話しかけないでね」という、家族への意思表示にもなりますよね。
本澤:外側は白で、一般的なオフィスや住宅の壁になじみやすいように、内側は黒で、仕事に集中しやすいようにしたのもポイントです。
菅:しかも、折りたたむとファイルと同じ場所に収納できる、コンパクト設計もいいですよね。便利な物は欲しいけど、収納まで気を遣ってくれないと暮らしには取り入れられないので、そのあたりのツボも押さえられています。使っているうちに、良さがジワっと伝わってくる商品だと思います。
折りたたみ集中ブース
3036円(税込)〜
本澤:「テレワークバッグ」と「フリーアドレスバッグ」はセットで企画した商品で、カウネット自体がオフィスの移転を機にフリーアドレスになるということもあって、「今後、働き方改革においてどのようなバッグがあると便利か?」というテーマのもと企画されました。仕事に必要な道具をまとめて収納したまま移動ができ、広げるとコンパクトにテーブル上に自立する設計が特徴です。カフェなどで、バッグからゴソゴソと何度も物を取り出す必要もありません。バッグ・イン・バッグとして「テレワークバッグ」と、ノートPCが収まる手持ちの「フリーアドレスバッグ」の2商品を発売しました。
菅:今までの「カウコレ」プレミアムにはなかったカラーリングも新鮮ですね。これならカフェでも臆さず使えます。
本澤:個人的には、スマホを立てて置けるタブが付いているので、FaceTimeなどでミーティングをする時に便利ですね。また、共有スペースで仕事をする際に、周囲の環境との境界になるので安心感があると、お客様から好評いただいています。
左:テレワークバッグ 2990円(税込)
右:フリーアドレスバッグ 4280円(税込)
菅:文房具ではありませんが、デスク周りに貼りつけてぶら下げられる「1日分のゴミ袋」も、アイデアに感心しました。封筒の剥離紙とか紙の切れ端とか、ちょっとしたものを捨てる時にこれがあると便利! 家にもしっかりストックしています。オフィス以外で仕事をする際に、ゴミの処理には意外と困ると思うので、在宅ワークでも活躍しますね。
本澤:元々、フリーアドレス(固定席ではなく、空いている席に自由に座るスタイル)のオフィスにおけるゴミ捨てのお困りごとに着目したのが、この「1日分のゴミ袋」です。フリーアドレスだとゴミ箱は共有になるため、「ゴミが出るたびにわざわざ捨てに行くのが面倒」という声が聞かれたんです。かと言って、ゴミをそのままにしているのも見た目が気になる、と。そこで、その名の通り“1日分のゴミ”をまとめられ、終業後にそのまま共有のゴミ箱にポイっと捨てられるこの商品が生まれました。ご家庭でも、例えばダイニングテーブルでお子さんの宿題時や食事中のちょっとしたゴミを入れたりするのにも便利です!
オフィスに必要な物を届けて20年、困りごとを解決して7年
菅:そういえば、「カウコレ」プレミアムは2020年で7周年を迎えたんですよね?
本澤:そうなんです。カウネットは、事務用品や生活用品、オフィス家具などの多彩な商品を取り扱い始めて、2020年の10月でちょうど20周年となります。「カウコレ」プレミアムは、カウネットのプライベートブランドとして2013年に立ち上がりました。ユーザーの声に耳を傾け、オフィスでの困りごとを解決し日々の業務をより快適に、をコンセプトとしています。
菅:精力的に新商品をリリースしている印象ですが、最初の商品はなんだったのでしょう?
本澤:こちらの「フラットファイル背補強タイプ」が先駆けでした。2009年に発売した商品で、当時は「カウコレ」プレミアムのブランドこそ生まれていませんでしたが、「カウコレ」プレミアムらしい独自の工夫が施されたオリジナル商品としては、記念すべき最初の商品と言えます。
菅:こちらがきっかけとなり様々なオリジナル商品が開発され、2013年のブランド化に繋がったということですね。
本澤:はい、まさにそのような経緯です。「フラットファイル背補強タイプ」は、フラットファイルの傷みやすい部分を補強することでより長く使っていただこうと、カウネットが独自に開発した商品です。フラットファイルの背の部分がボロボロになってしまうのは、誰しも経験があるかと思いますが、この小さなお困りごとに向き合い、それを解決する商品を開発しようという姿勢が、とても「カウコレ」プレミアムらしい商品だと思います。実際、現在でも「カウコレ」プレミアムの人気商品のひとつとなっています。
フラットファイル背補強タイプ
各74円(税込)〜
小さな困りごとへの着目がヒットを生む
菅:新商品は、どういったコンセプトで企画されるのですか?
本澤:「お客様のお困りごとを解決する」というのが大前提です。その「お困りごと」はユーザーの声を商品開発に活かすコミュニティサイト「カウネットモニカ」で集めた、リアルな声から見つけています。
菅:「カウコレ」プレミアムが解決する困りごとって、かなりニッチですよね。
本澤:そうなんです。「カウネットモニカ」では、頻繁にお困りごとを把握するためのアンケートを実施していますが、実は集計における上位ではなく、5~6番目にあるお困りごとをもとに商品を企画することが多いですね。というのも、上位のお困りごとって、大体すでに専業メーカーさんが商品化されているんですよね(笑)。一般的には、全体の1割程度の声であれば商品化されることはあまりないかと思いますが、当社では「困っている人が1割もいる」と受け取って企画を進めるので、菅さんがおっしゃる“かゆいところに手が届く”商品を生み出せているのかもしれません。
カウネットのコミュニティサイト「カウネットモニカ」
さまざまなチャネルから困りごとの種を仕入れる!
菅:このほかに、新商品のアイデア、つまり困りごとのネタは、どのように見つけられているんですか?
本澤:会員向けのイベントで、葉の形状の付箋にお客様のお困りごとを書いていただき、木を模したボード「お困りごとの木」に貼ってもらうという仕掛けを実施したこともありますよ。想像以上にたくさんのお困りごとが寄せられ、それをヒントに実際に商品化もされました。
菅:こうして見ると、私が気に入っている「ファイル用たおれんシート」は、ここで寄せられた困りごとも参考にしているのですね。
ファイル用たおれんシート
1017円(税込)〜
本澤:また、SNSでのお客様の声もヒントになりますね。「カウコレ」プレミアムの人気商品「ミーティングバッグ」が、Twitter で「コミケで同人誌をたくさん運ぶのに良さそう」と話題になったことから、なんと実際に「コミケ用」バージョンも商品化したんです。Twitterで多くの声を集めながら製作した試作品は反響を呼び、即日完売となったので、現在は定番商品として販売しています。
菅:私は仕事柄、大量に文房具を持ち歩くためフタ付きの「ミーティングバッグ」を活用しています。仕切りを動かせるので、荷物に合わせてカスタマイズできるのがいいですね。厚いカタログなら2-3冊、大きいパイプ式ファイルも入ります。ペットボトルのスペースがあるのも気に入っています。
ミーティングバッグ
1298円(税込・A4サイズ対応スリム)〜
開発者自身の困った経験から“お困りごとの木”まで、さまざまなところから困りごとの種を仕入れ、それを解決する商品を提供する「カウコレ」プレミアム。まだまだ“かゆいところに手が届く”商品はたくさん! 引き続き、菅さん愛用のアイテム、さらに注目の新商品もチェックしていこう。
菅さん愛用の「カウコレ」プレミアムは傑作ぞろい!
本澤:ほかにも、菅さんが愛用してくださっている「カウコレ」プレミアム商品はありますか?
菅:「カウコレ」プレミアムの商品には、オフィスでの使用を想定したものが多いと思うんですけど、“細かく便利”なアイテムは家の中でもとても役立っています。「音が出にくいPPテープ」は、一度使うと普通のPPテープが使えないぐらい重宝していますね。
本澤:ありがとうございます。摩擦を低減するため、テープの表面にシリコンをコーティングしているので、音が静かというだけではなく、軽い力で引き出せることもポイントです。女性やお年寄りなど、力が弱い方にも好評です。
菅:私はかつて販売員をしていたのですが、レジの後方で袋の底上げをするためにテープを使うたびに、音があまりに大きくてお客さんは飛び上がっていましたね。あの頃にあればよかった……。
本澤:最近、フリマアプリを活用されている方も多いと思うのですが、お子さんが寝ている時でも梱包作業ができると好評いただいています。
菅:「ファイリングしたまま貼れるビニールパッチ」も、「カウコレ」プレミアムらしい商品ですよね。パッチを貼るためにわざわざファイルを外すのは面倒ですから。当初は「ふつうのパッチに切れ目を入れればいいのでは」とも思いましたが、今度はそれが新たな困りごとになりそうなので、このC型はよく考えられていると思います。以前、講演でこれを紹介したことがあるんですが、意外と知らない方も多く、もうすごい反響でした。サンプルとして持参した100以上のシートが一瞬にしてなくなったくらい!
本澤:当社の場合、ドーンと話題になるのではなく、じわじわと「いいね」を重ねていく商品が多いので、そうやって菅さんの影響力で広めていただくと本当にうれしいですね!
音が出にくいPPテープ
141円(税込)〜
ファイリングしたまま貼れるビニールパッチ(2800片)
1078円(税込)~
菅:「ただしく押せるスタンプ台 ミスらん」は、印鑑を押す前に鏡で向きを確認できる、アイデア勝ちの商品ですね。正直なくても困らないのですが、あれば絶対便利ですよね。
ただしく押せるスタンプ台 ミスらん
711円(税込)〜
「カウコレ」プレミアム注目の新商品は?
本澤:最後に、新製品を見ていただいてもいいですか? これ、どう思われます? こちらの「モバイルデスクマット」は、昨今の衛生意識の高まりを受けて、急遽開発されたものなんです。デスクやテーブルに直接触れることなく仕事のスペースを確保でき、両サイドが持ち手になっているので、ノートPCなどをマットにくるんだ状態で移動できるようになっています。
モバイルデスクマット
1980円(税込)〜
菅:物をくるんで移動できるというのは、オフィス以上に家庭で役立ちそうですね。例えばお子さんがお絵描きとかをしていたら、食事の時間だけシートごと道具一式を別の場所に移し、食事が終わったら元に戻すとか。在宅ワークではノートや資料、文具をまとめてくるんで部屋を移動することもできますよね。移動中に物が落下しないように、スナップなどでサイドを止められたらもっと便利ですね。
本澤:たしかに! 家庭にもニーズがありそうですね。サイドを固定できた方がいいというのは、納得のご意見です。商品開発のスピードには定評がありますので、もしかしたら来春には改良版が出ているかもしません(笑) ありがとうございました。
「カウコレ」プレミアムの“地味な良さ”を体感して欲しい
「カウコレ」プレミアムの初代から新製品までチェックしつつ、困りごとを解決する底力を実感した菅さん。
「物を使って感じる小さなストレスを解決してくれる『カウコレ』プレミアムには、独自の強みを感じました。地味な商品も多かったですが、むしろ“地味”って大事だな! とも思いましたね。オフィスでの使用を想定した商品がメインだと思うんですけど、家の中でもかなり役立っていますし。
今回は、オフィスの困りごとを視点に作られた商品を数々見てきましたが、『カウコレ』プレミアムの商品って着眼点がとにかく細かいんですよ(笑)。『確かにそれは気になってた……、でも目を付けたのはそこか!』というような。商品開発ではここも強みであり、私の好きな部分でもあります。今回は、カウネットがいかにしてこの小さなお困りごとを把握しているのかを知れたのも良かったです。
販路はインターネット通販が中心ということで、意外に知られていないのがもったいないんですよね。多くの人にもっと知っていただきたいし、手に取ってその“地味な良さ”を実際に確かめてほしいですね!」(菅さん)
取材・文/安藤政弘 撮影/湯浅立志(Y2)