文房具
2020/11/26 18:45

片付けの基本はラベリング収納!ラベルプリンターでできる“自然と片付く”収納術

キングジムの「テプラ」と、ブラザーの「ピータッチ」。ラベルプリンターの2大ブランドが、そろって新モデルを発表しました。いずれも本体デザインはおしゃれで、部屋に出しておいても違和感のないデザインに。また印字は高解像度化されて細かな文字のニュアンスや表現が可能になったうえ、対応するスマホアプリを一新して、テンプレートを充実させたことがポイントです。

 

それによって、今まではオフィスなどで必要に迫られて文字を入力し、ラベルを作っていたのが、「かわいいラベルを作りたいから作る」「ラベルで個性を表現する」という、動機さえ変えてしまうような進化が起きそうです。

 

そもそも部屋の片付けにも活用されてきたラベリング。次世代モデルを駆使した、ラベリング収納のアイデアを紹介しましょう。

 

↑ラベルプリンターとは、シールタイプのテープを本体に挿入してラベルを作る機械のこと。作ったラベルを収納グッズに貼ることで、中身が見えなくても何が入っているかわかる、“片付く収納”を実現できます

 

今回は、整理収納が確実にできるようになる“5つの鉄則”を掲げ、そのひとつに「ラベリング」の重要性を伝えている整理収納アドバイザーの能登屋英里さんに、新しいラベルプリンターを使った収納のコツを教えていただきました。

 

能登屋英里流「ラベリングの5つの鉄則」

1. 適正量を決める
2. 行動動線と物の高さを意識
3. 使用頻度別に分ける
4. グルーピングする
5. 定位置管理とラベリング

 

家にある物を仕分けて収納場所を決めたら、後でどこに何が入っているかわからなくならないよう、ラベリングすることが大切なのだそう。また、出して使ったらラベルを貼ったところに戻す、というクセづけもでき、あちこちに置いてしまわないようにもなるのです。

 

最新の注目ラベルプリンター1「ピータッチキューブ」

太くて見やすいラベルが印刷できる! 36mm幅に対応した最新の「P-TOUCH CUBE」

brother「P-TOUCH CUBE(PT-P910BT)」
2万8000円+税(編集部調べ)


グッドデザイン賞も受賞したブラザーの「ピータッチキューブ」。最新モデルはさらにひと回り大きくなり、36mm幅という太いラベルも印刷できるようになりました。この新モデル専用で同時にリリースされたスマホアプリ「P-touch Design&Print2」では、豊富なテンプレートからシーンや用途に合わせて選べるほか、ラベルにしたい文字をスマホカメラで撮影すると、自動でテキスト変換される「テストスキャン」機能も便利です。

↑「初期のモデルを使っていたのですが、その頃よりテープの種類も豊富で、キラキラしたシールやニュアンスのある色味のものなどもあります。小さなロゴやイラストもとてもきれいに印刷できるので、細かいものに貼ることもできます」(整理収納アドバイザー・能登屋英里さん、以下同)

 

・ピータッチキューブを使ったラベリング術

1.食材に貼るラベルは見てすぐわかるように太いテープで

新しい36mmのラベルで作ったのは、梅酒の瓶のラベル。ガラスなど透明な背景に貼っても読み取りやすいカラーと、同じような見た目のものを間違えてしまわないよう太いテープをチョイスしています。

 

「梅酒のような保存食は、仕込み日がわかることが大切ですよね。あとどのくらいで飲めるかな? とか、まだ大丈夫かな? と、日付がはっきり読み取れるように大きめの文字にしました」

 

こちらはスパイスラック。同じく太いテープでラベリングすることで、文字を大きくでき、小麦粉や塩、砂糖など、一見同じように見えるものを調理中に瞬時に見分けられるようになります。

 

「梅酒とスパイスは別の色のテープを使っていますが、フォントは同じような雰囲気のものに合わせました。同じゾーンにあるものはテイストを揃えると、ごちゃごちゃした印象になりません」

 

2. 洗剤など市販のラベルは外してオリジナルラベルでスッキリ!

洗剤のラベルはカラフルなものが多い傾向にあります。それは剥がして、必要な情報だけをラベルプリンターで印刷したオリジナルラベルに張り替えるのが、能登屋さん流の片づけ法。色数を減らし、生活感のあるものを置かないようにすることで、ただ置いてあるだけでも整っているように見えるマジックなのです。

 

「洗剤は、使い方など必要な部分だけを印刷して貼ります。このように細かい文字で4行になってもきれいに印字でき、使うときもパッケージのどこに書いてあったか探さなくて済むので楽ですよ」

 

洗濯機やキッチンまわりは、市販品のラベルでごちゃごちゃした印象になってしまいがちですが、こうしてラベルを外しておくと目立たず、整った印象を与えてくれます。

 

「詰め替え用などでボトルを購入する場合は、同じサイズのものやフォルムが似ているものを買うと、それだけでも整って見えるのでおすすめです」

 

【番外編】ラッピングにも使えるリボン印刷

テープだけではなく、リボンにも印字できるのが最新のラベルライターの魅力。好きな言葉を印字でき、お店のラッピングのような仕上がりになります。

 

↑手作りのりんごジャムは、瓶に入れてラベルを貼り、先ほどのリボンで飾りつけ

 

「ラベルやリボンをオリジナルで作っただけで、お店で買ったようなラッピングにできてプレゼントするのも楽しくなりますよね。フリマアプリや、ECサイト『minne』などで手作りの品物を売っている方も多いですし、ラベルプリンターを使うと、商品自体のクオリティも高く見えます」

 

次に紹介するのは、テプラの新モデル「MARK」と、これを使ったラベリング収納のアイデアです。

 

最新の注目ラベルプリンター2「テプラ MARK」

ラベルプリンターの草分け的存在! イラストで遊べる「テプラ」

キングジム「テプラ PRO <MARK>(SR-MK1)」
1万5000円+税


ラベルプリンターの代名詞として定着している、キングジムの「テプラ」。およそ30年前に誕生した際は、ダイヤルで操作する設計でしたが、馴染みがあるのはキーボードと小さな液晶窓が付いたタイプでしょう。それが新作では、「ピータッチキューブ」と同様、キーもディスプレイもないシンプルなボックスに。カーキとベージュというカラーラインナップも新鮮です。

 

「hello」と名付けられた、スマホの専用アプリで操作。印刷したラベルに、日時や曜日などアラームを設定して紐付け、ゴミ出しや保存食のリマインダーとして活用できる「タイムラベル」機能も便利です。

 

↑「テンプレートが充実していて、文字の位置やデザインをスマホの画面で感覚的に動かすことができるので、自分のこだわりに合わせた微調整ができるのが魅力です。写真やイラストを取り込むこともでき、さらにオリジナル感のあるラベルが作れます。マスキングテープの種類があるのもかわいくておすすめですね」

 

・テプラ MARKを活用したラベリング術

1. 家族で共用するものはイラストを使ったラベルで視覚的に区別

収納ボックスの外見が似ていてわかりづらい場合は、ラベルを貼って識別しましょう。家族で住んでいる人はとくに、家族全員がどこに何があるかを理解することで、それぞれが片付けを積極的に行うようになります。

 

「ゴミ箱にラベリングしたら、5歳の娘がゴミを“燃えるか、燃えないか”で理解できるようになってきました。そうやって意識してゴミを捨てることも、エコへの第1歩ですよね」
「ゴミ箱にラベリングしたら、5歳の娘がゴミを“燃えるか、燃えないか”で理解できるようになってきました。そうやって意識してゴミを捨てることも、エコへの第1歩ですよね」

こちらは日常的に使うマスクと薬箱。イラストを使うことで目に入りやすく、読まなくていいのが親切なラベルの作り方なのだそうです。

 

「人間は視覚から入る情報に左右されやすいので、読むよりも見て感覚でわかるようにイラストを添えると、考えずに物を選べます。同じような素材や色で合わせて収納している方はとくに、ラベルにイラストがあった方が、物が取りやすくなります。テプラはテンプレートにかわいくて使えるイラストが多いので、そういったイラストも活用するといいですね」

 

続いて、能登屋さんご夫婦で使っている文房具の収納ボックス。

 

「同じ箱に並べて貼るときなどは、同じデザインのテンプレートを使うと見た目もスマート。文字とイラストだけを変えたいときも、アプリで簡単に作れて一気に印字できるので、とても手早くできます。ラベルを作るのに時間がかかってしまうと、ラベルを張り替えなくてはならなくなったときに面倒だなという思いが先行してしまって、いつの間にかラベルとは違うものが入っている……ということになりかねません。パッと作れて貼れるのも、ラベリングの大切なポイントです」

 

2. ラベルを貼って場所を決めることでモノが迷子にならない!

頻繁には使わない文房具やお薬手帳、ハンコなどは、玄関脇のスペースに収納されていました。細かく分類しておくことで、探し物をせず必要なものを取り出せるようになっています。

 

「左側のファイルボックスは、無印良品で購入した薄いグレーのもの。それに合わせてグレーのテープをチョイスしました。右側は中身が見えるよう透明のボックスにしたので、それを邪魔しない透明のテープで作っています」

 

粉ものや乾物など、ストックや使いかけの食品でごちゃごちゃしやすいキッチン収納も、入れる場所を決めてラベリングしておきます。

 

「いただいたものや予定外のものを収納するスペースも確保しつつ、いつも使うものはきちんと置き場を作っておきます。我が家もストックはするのですが、ストック用に決めた場所に入る分だけにしておくことで、モノがあふれないようにしています。コロナ禍で備蓄する方も増えたと思うのですが、本当に備蓄が必要なものかどうかも合わせて考えてみましょう」

 

3. つい増えていってしまうものは場所を決めてラベリング

「洗面所兼脱衣所に置いているパジャマボックスは、それぞれの名前で管理し、そこに入る分だけを買うようにしています。家族が多い方は名前でラベリングするのもおすすめ。自分の棚は自分で管理してもらえるようになると、家事が増えません」

 

こちらは5歳のお子さんの洋服ボックス。自分で取り出せるように、イラストもつけています。

 

「子どもの洋服は、サイズアウトしたものや汚れてしまったものを定期的に見直して、いつでもスッキリと片付いている状態にしておきます。自分で取り出したり片付けたりできるような空間を作ってあげることが、子どもへのお片付けの学びにもなると思いますよ」

 

4. 防災グッズは消費期限を外側にラベリングすることで入れ替えも簡単

普段はベッドサイドに置いてある防災グッズ。備蓄用の食料品や水などは消費期限をラベリングすることで、開けなくても換える時期がわかって便利です。

 

「テプラのラベルはこんなに小さな文字でもきれいで、読みやすいフォントも揃っています」
↑「テプラのラベルはこんなに小さな文字でもきれいで、読みやすいフォントも揃っています」

 

「ちなみに、食料品や水は5年や10年単位で保管できるものもありますが、防災意識を高めるためにも我が家では1年程度のものを購入しています。5年で交換となると、結構忘れてしまいがちなのですが、1年であれば毎年同じ時期に交換すればいいので、必要なときに期限が切れていた! ということも防げますよ」

 

 

収納や片付けは、苦手な人にとっては苦痛な作業でもありますよね。でも、ラベルプリンターでラベルをデザインすることが楽しくなると、片付けへのハードルはぐっと下がります。せっかく片付けた場所をいつまでも美しいまま保つために、ラベリングを試してみましょう。

 

【プロフィール】

整理収納アドバイザー / 能登屋英里

住宅収納スペシャリスト、インテリア・リノベーションアドバイザー。
神戸芸術工科大学工業デザイン学科ファッションデザインコース卒業。夫・娘(4歳)と自らデザインしフルリノベーションした築50年の52㎡(1LDK+WIC)マンションに在住。15年のアパレルディスプレイで培ったバランス感覚と、整理収納のプロとしての知識で、実用×おしゃれな収納を実現。現在は個人宅の整理収納・インテリアアドバイスを始め、リノベーションコンサルやメディア執筆などで幅広く活動中。