つい先日、カッターナイフの刃を折れない人はこれを使えばいいよ!という内容で、オルファ「ポキステーション」を紹介した。カッターナイフは小まめに折って新鮮な刃にしておくのが使いこなしのコツであり、逆に切れ味の落ちた刃を折らないままにしておくと怪我につながるぞ、ということも説明したはずだ。
でも、いくらカッターの刃は折るべきだと説明し、安全に刃を折る道具を紹介しても、それでも「刃を折るのはイヤだ」という人はいる。刃物を使い慣れていないと、刃を折るパキッとした感触が怖いし、そもそも刃が見えてるだけで怖くてイヤなのだ。ぶっちゃけ言うと、そういうタイプの人は、もはや刃物ではなく念力か何かで紙を切ることを考えた方が良い。修行して念力を身につけて欲しい。
で、そういうことを言った舌の根も乾かないうちで誠に恐縮だが、新たに発売された「刃を折らない」カッターナイフが思ったより使いやすかったので、ご紹介したい。
プラス
オランテ
486円(専用替え刃は162円)
プラスのカッターナイフ「オランテ」は、専用の一枚刃を使用した、折らずに使うカッターナイフ。名前からして「折らないで使うんだよ」というメッセージを感じる……といえば聞こえは良いが、なんともストレートなネーミングではある。
まず、ぱっと見たところでわかるのは、刃を収納した状態だと外側からは一切、金属的なものが見えないようになっている。これが思った以上に安心感があって、いい。
先述のとおり、刃物を怖がる人はそもそも刃が見えてるだけで怖いのだ。そういう意味で、プラスチッキーなルックスで鋭い金属が見えないのはすばらしい。刃が露出していないうえにチャイルドロックも付いているので、小さなお子様がいるご家庭だと安心感は特に高いと思う。
外見的な要素でもうひとつ、本体の後ろについている大きなリング。仕事場や家庭でオランテを共有するときに、このリングをフックにかけて吊り下げておくと使いやすい。また、頻繁に開梱作業をする店員さんなどは、エプロンのポケットからオランテを取り出すのにリングがあると便利だろう。
次に刃だが、オランテ専用刃には「表面の凸凹加工&全面フッ素コーティング」+「サビに強いステンレス刃」+「大型のカッター(L刃)と同じ極厚0.5㎜の刃」という3つの刃を長持ちさせる工夫が施されている。
まず、刃を折る原因のひとつとして、段ボールの開梱などでガムテープのベタベタ粘着材が刃に付着して切れ味が落ちるというのがあるが、“刃先までのフッ素コーティングがちゃんと効いてるな”という印象。
さらに0.5㎜の刃厚はかなりガッチリ。通常のS刃と同サイズでL刃の厚みという組み合わせは安心感が高い。少しばかり長めに刃を出して使っても、刃がネジれたりしなったりで不安に感じることもないだろう。刃物が怖い人は、こういった刃の柔さが「折れるんじゃないか」という不安感につながるので、剛性の高さはそのまま使いやすさにつながるだろう。鉛筆を削ったり、刃を広く使う木工細工などにはかなり良いチョイスといえる。
ここまで、刃の剛性とかフッ素コートのメリットは説明してみたが、それに加えて「折らない刃の切れ味がどれだけ保つのか」は気になるだろう。ひとまずコピー用紙を延々と切ってみたが、30枚(切った距離で換算すると約180m)では切れ味の落ちた感はなし。実感としては、もう少し保ちそうである。
もちろん通常のカッター刃であればとっくに刃を折っている(おそらく2回以上)カット量だ。ただ、通常の刃は2回折ってもまだまだ使えるわけで、コスト的に良さそうとは言いづらい。しかし刃を折らずにずっとカット作業ができるのは、ストレスが少ないと思う。
さて、では最終的に刃が摩耗したらどうするのか。それはもちろん交換すれば良いのである。オランテ専用の替え刃は刃がカートリッジに内蔵されている。本体を後ろから開けてカートリッジを取り出し、入れ替えてガシャンと戻す。この間、刃に直接触れることがない。交換まで刃が怖くないように工夫されているのは大事なポイントだろう。刃が怖いという人を最初から最後まできちんとケアしよう、というメーカーの意志の表れである。
ただ、替え刃のパッケージに取扱説明書が同梱されているぐらいに手順が煩雑(慣れれば簡単なのだが……)なので、最初はイラッとするかもしれない。このあたりはもう少し簡単にしてくれると嬉しいのだが。