これまで“スケジュールを管理する道具”として使われてきた手帳。ところが最近は、コロナ禍をきっかけに外に出る予定が減り、家で自身を見つめ直す時間が増えてこともあって、スケジュール管理以外の使い方をする人が増えています。なかでも、自身の頭の中で考えていることや一日のとった行動を書き出す「ジャーナリング」や「ライフログ」といった使い方は、自分の生活を見直すきっかけになると徐々に広がっており、2023年のトレンド的な使い方といえるでしょう。
ノートではなく手帳でジャーナリングをしたりライフログを残したりするメリットや、おすすめの手帳について、銀座 伊東屋 本店で手帳売場マネージャーをつとめる芝﨑いづみさんに話を伺いました。
2023年版の手帳のトレンドは?
近年、手帳の使い方には変化が起きています。外出する予定がぐっと減ってしまったため予定だけでは手帳が埋まらず、自分の予定以外のことを書く人が増えているのです。
「最近は自分の予定だけではなく『タスクやToDoの管理』『上司や部下、家族のスケジュール管理』『ジャーナリングやライフログ』『日記』なども手帳に書く人が多くいます。そのため、好まれるレイアウトにも変化が起きていて、いまはガントチャート、ブロックウィークリー、1日1ページの手帳がトレンドです」(銀座 伊東屋 本店 手帳売場マネージャー・芝﨑いづみさん、以下同)
・ガントチャート
長期の予定管理がしやすく、ビジネスマンに人気。作業計画を工程ごとに分解してスケジュールを管理できるため、全体の流れや進捗状況などを視覚的に判断しやすい。
・ブロックウィークリー
見開き1ページを7日分のブロック+メモスペースに区切った手帳。ブロック型のため、箇条書きでタスクやToDoを書く、縦3つに区切って食事記録をつける、日記や備忘録といった文章を書くなど、さまざまな用途で使えるのが特徴。
・1日1ページ
自由に書けるスペースが広く、ジャーナリングやライフログなどの書きものが好きな人に人気。文字だけではなく絵を描いたり、コラージュをしたりして楽しむこともできる。
いま注目の「ジャーナリング」「ライフログ」とは?
さまざまなトレンド的な使い方がある中、コロナ禍で特に注目を浴びているのがジャーナリングやライフログです。
そもそもジャーナリングとは、時間を決めて頭に思い浮かぶものをひたすら紙に書き出すことをいいます。書くことで自分の考えを客観的に見直し、冷静に物事を考えられるというメリットがあります。
一方のライフログは、したことや会った人、食べたものなどを記録することをいいます。書き残しておくことで、自分の行動を客観視できたり、「自分も結構頑張っているな」「昔よりも色々できるようになっているな」と自分自身を肯定できたりします。
「コロナ禍に入り、日記帳の売れ行きが良くなりました。まん延し始めたころは自粛生活が余儀なくされていたので、皆さん自分の生活を見直す時間に使っていたのだと思います。いまはその延長でジャーナリングやライフログに注目が集まっているのかもしれないですね」
ノートではなく手帳を使うメリットとは
ジャーナリングやライフログは紙とペンさえあればできてしまいます。それなら「ノート」でもいいのでは? 芝崎さんに、あえて手帳を使うメリットについて教えていただきました。
メリット1.自分好みのレイアウトを選べる
「手帳の場合、罫線や方眼、無地などさまざまなフォーマットがあります。また、ブロックタイプやレフトタイプ(左ページに7日分の横長のメモ欄、右ページにフリースペースがあるウィークリー手帳)、1日1ページなどレイアウトも多種多様です。書く量や内容に合わせて選ぶことができるので、『そんなにたくさん書くことがない』と不安な方も始めやすいと思います。
文章を書くことが苦手であれば、バーチカルタイプ(見開きで7日分の予定が見渡せる手帳。縦に区切られており、1日のタイムスケジュールが記入できる)の手帳でライフログをつけるのもおすすめです。時間軸が書いてあるので、その日の出来事を時間単位で書くだけで大丈夫です」
メリット2.持ち運びやすい
「かばんに入れても邪魔にならない重さ・厚みでつくられていることが多いので、持ち運びやすいのが特徴です。徐々に外出自粛が緩和されてきているので、カフェなどに書くものを持っていき、自宅以外の場所でジャーナリングやライフログをする方も多いのではないでしょうか」
メリット3.あとから見返しやすい
「日付が入っていたり、インデックスがついていたりするため、あとから見返しやすいのも手帳の大きな特徴です。『先月は何をやっていたっけ』などと過去を振り返る際、見たいページをすぐに開くことができます」
次のページでは、銀座 伊東屋 本店で買える手帳のなかから、ジャーナリングやライフログにぴったりのフォーマットや機能をもった手帳を紹介していただきます。
ジャーナリングやライフログにおすすめの手帳 5選
「手帳でジャーナリングやライフログをやってみたい」という人のために、芝﨑さんのイチオシ手帳を教えていただきました。
MARK’S(マークス)
「EDiT 1日1ページ B6変型」
3740円(税込)
「1日1ページといえばEDiT」というほど定番かつ人気の手帳。マンスリー+1日ページの構成です。どのページもフラットに開くので、最初から最後まで書きやすくなっています。B6、A6、A5のほか、名刺サイズのB7(画像右)もあります。
ミドリ
「MDノート ダイアリー 文庫 1日1ページ」
2530円 (税込)
ミドリオリジナルのダイアリー用紙「MD用紙」が使われた手帳。厚みのある紙なので、万年筆などを使っても裏抜けの心配がありません。マンスリー+1日1ページの構成で1日1ページには日付が入っていないため、思い立った日からスタートできます。「毎日ジャーナリングやライフログをするのは大変」という人にもおすすめです。
Letts(レッツ)
「11X A5」
4620円(税込)
レッツは世界ではじめて手帳を製造・販売したとされるイギリスの老舗メーカー。高級感のある装丁やフォントが魅力的です。1日1ページのみの構成で、とにかく文字をたくさん書きたいという人におすすめの一冊。
NOLTY(ノルティ)
「エクリPlus B6」
1925 円(税込)
ビジネス手帳の王道・ノルティの新作。マンスリー+ウィークリーの構成です。広いフリースペースが特徴的なウィークリーページは、ここ2.3年で各社が出し始めた最新のレイアウトなのだとか。
A.P.J
「finie B6 見開き4日ウィークリー」
2200円(税込)
マンスリー+見開き4日の構成。見開き4日のレイアウトはビジネス手帳に多く、これまではビジネスマンが業務日誌として使うことが多かったそう。よりカジュアルに使えるfinieはジャーナリングやライフログに最適。
■番外編 ジャーナリング・ライフログにおすすめのノート
LEUCHTTURM1917(ロイヒトトゥルム1917)
A5 ノート ドット方眼
3190円(税込)
バレットジャーナル用として愛好者の多いロイヒトトゥルム1917は、ジャーナリングやライフログにもぴったりです。無地や罫線などフォーマットを選べるほか、カラーバリエーションも豊富なので、自分好みの一冊が見つかるはずです。中には同ブランドの手帳と合わせて購入していく人もいるのだとか。
スマートフォンのアプリでも、ジャーナリングやライフログは可能です。とはいえ、芝﨑さんによれば“手で書く”ことが、よりストレス解消にもつながるそう。スケジュール管理はデジタル派という方も、ジャーナリングやライフログにはぜひ紙の手帳を使ってみてはいかがでしょうか。
※記事中で紹介した商品は、いずれも季節商品のため、販売終了となる可能性があります。
【プロフィール】
銀座 伊東屋 本店 手帳売場マネージャー / 芝﨑いづみ
入社以来手帳を担当。国産から輸入メーカー、オリジナルまでさまざまな手帳を扱い、お客様のご希望に合った手帳を提案している。