いつどこに降るか前もって正確な予測が難しい大雨は、ドライバーとっても心配の種。とくに、夜間の豪雨のなかの運転で身の危険を感じたことがある方は少なくないのでは?
視界の悪さが交通事故の原因となるケースもありますが、いまアメリカで開発中のヘッドライトが「悪天候の日のドライバーの視界を劇的に改善するのでは」と注目を集めています。
雨の動きを予想するヘッドライトがまもなく登場か?
悪天候の夜間、ドライバーの視界を悪化させる大きな要因は、雨に反射したライトのまぶしさです。アメリカのカーネギーメロン大学で2012年から開発が進められているスマートヘッドライトは、雨粒の動きを予測して、ライトの乱反射を抑え、視界を改善するという画期的なもの。
このたび、フォードのF-150に搭載可能なサイズにまで小型化が成功し、実用化に一歩近づいたことで、海外メディアが開発の進捗を報じています。実は、この研究を主導しているのは、知る人ぞ知るロボット工学者の金出武雄教授。日本人として要注目の技術でもあるのですが、このライト、何がそんなにすごいのでしょうか?
自動車のヘッドライトは、無数の小さなライトで構成されていますが、スマートヘッドライトはLEDや電球ではなく、ひとつひとつ個別に制御できるデジタルマイクロミラーチップを採用しています。
そして、ライトに搭載されたカメラが雨粒の動きを予測し、雨粒がある場所に照射されるライトを一時的にオフにすることで、ドライバーが感じるまぶしさを軽減させる仕組みとなっているそう。
こうして言葉で説明するぶんにはシンプルですが、雨の動きはランダムです。雨粒のあるところだけライトをオフするようにプログラムするのは、とてつもない根気を要しそうですね。
今後はハイビームで目がくらむこともなくなりそう
さらに、このライトのメリットとしてもうひとつ注目されているのが、「対向車を検知したら、相手ドライバーの目に当たるライトを軽減できる」という点。対向車のハイビームで目がくらみそうになることがありますが、自動的にライトの光量を調整できるのなら、自分だけでなく、対向車の運転環境も改善されそうですね。
このスマートヘッドライトに対しての海外ユーザーの反応は、様々。
たとえば、「クリエイティブなコンセプトだね。これで事故で亡くなる人が減ればいいな」「近年、似たような技術がカメラでも使われていたけれど、クルマ業界にもきたか」といったポジティブな声がある一方で、「雨や雪の日に警戒心を持って運転するのって、大事だと思うんだ。快適だからって怖さを忘れてスピードを出すバカが出てきそう」などと、ライトのハイテク化を心配する声も書き込まれています。
近年、世界各地で私たちの経験値を超えるような雨や雪が頻繁に観測されていますが、スマートヘッドライトは、ドライバーの安全を陰で支えてくれそうなアイテムとなりそう。近い将来、自動車だけでなく、様々な乗り物に応用される日がやってくるかもしれませんね。