エルグランドは1997年の登場以来、ラグジュアリーなミニバンとして人気を誇るモデル。現在は3世代目へと進化を遂げ、2010年のフルモデルチェンジから8年目を迎えるロングセラーモデルとして愛されています。
そこにこのたび、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」が発表されました。本記事では、2月26日に発売される本車をエルグランドの代表的なグレードと比べ、特別仕様車のデザイナー、有田 翔さんのコメントを交えながら解説していきます。
なお、エルグランド特別仕様車「Highway STAR Jet Black Urban CHROME」が発表されたのは、自動車の祭典として知られる東京オートサロンの初日。発表は単なるお披露目会ではなく、デザイナーである有田さん、KONDO Racingの近藤真彦監督によるトークショーも行われ会場は大盛況。特別仕様車への注目度の高さが伺えると同時に、日産自動車の本気がヒシヒシと伝わってきました。
2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」
詳細はエルグランドの車種ページから。
【そもそもエルグランドとは?】
エルグランドは日産で最もサイズが大きく、最も高品位なミニバン。エンジンは2.5Lと3.5Lの2種類を用意し、特に3.5L版はエルグランド用にチューニングが施されたVQ35DEエンジンとエストロニックCVT-M6の組み合わせにより、低回転から高回転域までストレスのない走りを実現しています。普段エルグランドを愛用している近藤監督も「低重心から生まれる走りの安定感が抜群」と太鼓判。
安全面でも最新の先進機能が充実しています。直感的に周囲の状況を把握できるインテリジェントアラウンドビューモニターや、先行車との車間距離を自動で保つインテリジェントクルーズコントロールなどを搭載。これらの機能によって、運転が苦手な人でも快適にドライブできる安心感がウリです。
<SPEC(250Highway STAR S Jet Black Urban CHROMEの場合)>●全長×全幅×全高:4975×1850×1815mm●ホイールベース:3000mm●最低地上高:150㎜●車両重量:1950kg●エンジン形式:直列4気筒DOHC(QR25DE)●総排気量:2488cc●最高出力:170ps/5600rpm●最大トルク:25.0kgf-m/3900rpm●トランスミッション:エストロニックCVT-M6●JC08モード燃費:10.8km/L●価格:415万8000円~565万560円
【今回比較したグレード 350Highway STAR Urban CHROME】
日産のラインナップのなかで、スペシャル装備を多数搭載して特別なポジションに位置するのがハイウェイスターです。そのハイウェイスターをさらにバージョンアップした「Urban CHROME」。取材した特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はこの「Urban CHROME」と比べ、漆黒フロントグリルなど専用装備を施し、よりダイナミックで高級感のあるスタイルになりました。
【比較ポイント01:フロントグリル】
ブラックアウトされたフロントグリルにより精悍さがアップ
両グレードともにフロントの基本デザインは共通ですが、今回の特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はその名の通り“漆黒”のフロントグリルが与えられ精悍さを増しています。左右のヘッドライトを貫通するVモーショングリルは、日産のアイデンティティをしっかりと残しながらもクールな印象へと昇華。ダークになり過ぎない「大人の加減」が絶妙です。有田さんは「ジェットブラックはとても手間がかかる特別な色で、色が濃いぶん、パーツにムラなくブラッククローム処理を施すのが非常に難しい」と生産におけるこだわりと苦労話を教えてくれました。
【比較ポイント02:ホイール】
ボディカラーとは異なるブラックで大人の“上品ワイルド”を演出
ハイウェイスター・シリーズには18インチのホイールが採用され、10本のWスポーク(合計20本)が特徴。両グレードともサイズ、デザインは共通ですが、細部をみてみると相違点はカラーにありました。Highway STAR Urban CHROMEは「グラファイトフィニッシュ」と呼ばれる濃い目のシルバー。一方、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」は「ダークグラファイトフィニッシュ」となり、さらにダーク感を増しています。
このダークグラファイトは光の加減によってシルバーに見えたり、ブラックに見えたりと表情を変えてくれるのが特徴。「これ以上、黒が強くなるとホイールが暗くなりすぎてしまい、クルマ全体が重たい印象になってしまいます。全体のバランスを整えるべく、ギリギリまで調整しました!」(有田さん)という、デザイナーのこだわりが凝縮した絶品カラーに仕上がっています。
【比較ポイント03:シート】
GT-Rを彷彿とさせる「プレミアムタンレザーシート」がゴージャス感と走りへの期待を高める!
両グレードに共通することは室内の豪華さ。ミニバンの頂点として君臨するエルグランドの魅力になっています。特に運転席を含めた3列のシートは特筆したい部分。Highway STAR Urban CHROMEのシートはネオソフィールとジャガード素材を組み合わせたものですが、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」には本革のプレミアムタンレザーが与えられ、そのカラーはGT-Rと共通となる個性的なもの。
縫製部分にはギャザーがデザインされ、上質なソファを思わせる仕上がりはライバルたちに大きなアドバンテージを築いています。日産の最高峰ミニバンとして、最高級の居住空間が与えられたシートながら、「走り」にも対応する、人間工学に基づいた設計も大きな魅力と言えるでしょう。
2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」
詳細はエルグランドの車種ページから。
【比較ポイント04:ステアリング】
シートと同色のタンカラーとなるステッチを採用! 絶妙なアクセントで室内をより上質に仕立てる
ステアリングホイール部分にもこだわりがあります。デザインや形状、操作スイッチの位置は同じものですが、Highway STAR Urban CHROMEは本革と木目調のコンビネーションとなり、特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」は同様の本革と木目調を採用しながらも、ステッチ部分にはシートと同色となるタン色のアクセントが添えられています。イタリア製の高級バッグをイメージさせる優美かつ個性的なアクセントは車内の雰囲気を演出する重要なスパイスになっています。
【比較ポイント05:ドアトリム・シフトノブ】
大人の「遊び心」を刺激するチープにならないモダンさが魅力
Highway STAR Urban CHROMEのドアトリムとシフトノブは、レザーと同色の縫製糸を使うことで落ち着きのあるシックなイメージを表現していますが、今回の特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」はステアリングホイールと同様、ドアトリムとシフトノブにもシートカラーに合わせたタン色のステッチが施されています。何気ないポイントですが視覚的な効果は大きく、高級感の中に漂う「遊び心」は車内をドラマチックな空間へと演出し、華やかな印象を与えていることは間違いありません。一切の妥協を許さない“ディテールへのこだわり”こそ、日産の最高級ミニバンたる所以なのです。
【まとめ】
完璧に統制されたバランスが真の上質感を産む
東京オートサロンでデビューを果たした同車は、精悍なブラック基調のエクステリアに始まり、GT-Rからインスパイアされたタンレザーのシートなど、そのセンスの良さはハイレベル。一方で、デザイナーの有田さんは「当初はシートと同じタンレザーをドアトリムやステアリングに採用することも考えていましたが、試作の段階で派手になり過ぎることがわかり、タン色のステッチだけにしました」とも。
そう、すべてを盛り込むのではなく「大人の相棒」として引き算も施し、バランス良くデザインされたのがHighway STAR Jet Black Urban CHROME。今回は特別仕様ポイントに注力して解説しましたが、インテリジェントアラウンドビューモニターや安全運転支援システムなどが搭載され、走りも円熟の域に達しています。落ち着いた大人の男性の相棒として、最適なモデルと断言できるでしょう。
2月26日に満を持して発売されるエルグランドの特別仕様車「Jet Black Urban CHROME」
詳細はエルグランドの車種ページから。
撮影/山本 智