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2018/2/13 20:45

えっコレ、キャンピングカーなの? 普段使いできる見た目は「フツーのクルマ」がブームの兆し

アジア最大級と言われるキャンピングカーショー「ジャパンキャンピングカーショー2018」が、幕張メッセ(千葉市)で2月2日~4日の日程で開催された。会場にはキャンピング・トレーラーなど、過去最多の360台以上が集結。同ショーで初お披露目となる新型車が登場したほか、普段使いもできる身近なキャンピングカーも出展され、多くの来場者で賑わった。

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↑幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2018」。会場には360台を超えるキャンピングカーが所狭しと並べられた

 

普段使いもできる身近なキャンピングカーが人気

会場に到着してまず目に入るのは、トレーラーやトラックをキャンピングカーに仕立てたものや、マイクロバスを改造した豪華な造りのもの。これらが会場には所狭しと並んでいる。説明員によれば、「退職した方が日本全国周遊の旅をするなど、それまで叶わなかった夢を実現しようとする方が多いですね。友人達とコミュニケーションを図る空間としてもキャンピングカーは人気です」という。ただ、その価格を見れば1000万円を軽く超えるものが多く、誰もがすぐに買える代物ではない。このサイズだと駐車スペースの確保も大変そうだ。

 

そんななか、最近になって人気が高まっているのが、普段使いもできるキャンピングカーたちだ。そこで本稿では、今後トレンドになりそうな“身近な”キャンピングカーを中心にご紹介したい。

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↑大型で豪華さを競う一方、普段使いができるキャンピングカーも数多く出展されていた

 

2人が寝られるポップアップルーフを装備! 愛犬と一緒に過ごせる仕掛けが満載

まず見つけたのが、キャンピングカーを手掛けるホワイトハウス(愛知県)とホンダ・アクセスがコラボして作り上げた「FREED+DOG LOVER」だ。ホンダ・フリードをベースに大人2人が寝られるポップアップルーフを備えたうえで、愛犬と快適に過ごせる数々の特別な装備が用意されているのが特徴だ。

 

説明員は「キャンピングカーを買う理由として、愛犬と一緒に過ごせることを理由としている人がとても多い。そんなニーズに応えるために開発しました」と話す。

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↑ホワイトハウス(愛知県)とホンダ・アクセスがコラボして作り上げた「FREED+DOG LOVER」。ベース車はホンダ・フリードで、ハイブリッドとガソリン車から選べる

 

ポップアップルーフを備えたベース車の価格は、上級グレードの「POP HOT Package」のハイブリッド仕様で337万円。それに愛犬仕様として58万円がプラスされて、395万円となる。そのなかにはビルトインウォーターサーバーや、飛び出し防止ネット、わんこの足跡をデザインしたフロアマットなどが含まれる。泊まるとき、人はポップアップしたルーフに寝て、愛犬はウォーターサーバーが付いたフロアで休む。もちろん、上下に人が一緒に寝ても構わない。

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↑ポップアップしたルーフには大人2人が寝泊まりでき、愛犬と一緒に過ごせる空間を車内に用意。愛犬が快適に過ごせる特別仕様もプラスされている

 

コスパ良し! キャンピングカーとしての実用性を持たせた5人乗り乗用車

次に見つけたのが日産自動車のコーナー。「NV350キャラバン」と「NV200バネット」のアウトドア仕様など計3台を出展。なかでも力が入っていたのは「NV200バネット」の「マルチベッドワゴン仕様」だ。この仕様車は、定員5名がゆったり乗車できる5ナンバー乗用車としての快適性を兼ね備えたのが特徴。左右跳ね上げ式のベッドシステムを備え、フロアパネルには撥水性に優れたロンリューム加工を施す。造り自体はかなりシンプルだが、日常の使い勝手までも意識した設計となっている。

 

説明員によれば、「車中泊しながらドライブするユーザー向けに販売価格を230万円台に抑えた。日常の買い物車としても使え、家族の送り迎えにも役立つ。それでいて、キャンピングカーとしての機能性もあわせ持つ仕様とした」という。

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↑日産が出展した「NV200バネット」の「マルチベッドワゴン仕様」。一見すると単なるバンにしか見えないが、車両は5ナンバー登録できる5人乗り乗用車

 

キャンピングカーとしての実用性はどうか。フラットベッドは折りたたんだリアシートの背面と、跳ね上げ式ベッドを組み合わせるもので、これで大人2人がゆったりと寝られる。よく見るとリアシートの背面部は完全なフラットではないが、むしろ、このぐらいの角度があった方が簡単な枕があれば十分に寝られるはず。何より、基本設計がバンであることによって生み出された広大な空間が、ミニバンとは違ったゆったりとした雰囲気を感じさせる。

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↑リアには跳ね上げ式のフラットベッドが用意され、オプションで収納可能なテーブルの追加も可能。日常での使い勝手とキャンプに出掛けた際の便利さを兼ね備えた1台だ

 

広い車内空間を生かした“走るカラオケボックス”も登場

そして、キャンピングカーの楽しみ方として外せないのがカラオケだ。キャンピングカー専門店「トイファクトリー」では、カーナビメーカー「アルパイン」と協業して製作した「BADEN×ALPINEコラボモデル」を出展。イエースのロングバンをベースとした“走るカラオケボックス”を実現した。車内には「フローティング・ビッグX11」や12型大画面のリアビジョンがインストールされ、あわせて参考出品のハイエース用「スペースクリエイター」や「後席天井型スピーカー」等が組み合わされる。

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↑アルパインが「トイファクトリー」と共同で手掛け出展した「BADEN×ALPINEコラボモデル」。「フローティング・ビッグX11」を核に、12型大画面のリアビジョンがインストールされ、ハイエース用「スペースクリエイター」(参考出品)や「後席天井型スピーカー」(参考出品)等が組み合わされる。手に持っているのはヘッドレストに取り付けるサブスピーカー

 

スペースクリエイターは、車内でカラオケが楽しめるBluetoothマイク付きユニットで、ハイエース用は初めて。さらにルーフの左右にはハイエース専用の後席天井型スピーカー(参考出品)を配置し、リアシートのヘッドレストに取り付けるサブスピーカーまで用意する。ハイエースはキャンピングカーとしては人気だが、運転席下にエンジンが搭載されていることから走行中のノイズは比較的大きめ。つまり、そんなハイエースでも曲の旋律がしっかり聴き取れるためのスピーカーとして新たに開発されたものなのだ。

 

システムを開発したアルパインでは、スペースクリエイター対応のカラオケソフトを用意。ヤマハが運営する音楽配信サイト「mysound」のアプリからカラオケ曲をダウンロードして楽しむが、「ハイエースのような広い空間で大画面は必須と感じているユーザーは多い。カラオケはそれを生かせる最適な組み合わせとして人気が高い」(アルパイン)という。

 

キャンピングカーがあれば、思い立ったらすぐに旅に出られるだけでなく、普段生活を共にしているペットも一緒に連れて行けるのが最大の魅力。最近は風呂や料理ができるキャンプサイトも充実していて、温泉施設が付属する道の駅も数多く登場したことで、より手軽にキャンプが楽しめるようになった。自然と交わりながら楽しむキャンプの魅力を実感できたショーだった。

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↑メルセデス・ベンツはショー会場にいて、V220dスポーツロングをベースとし、ポップアップルーフを装備したミニバンのV220d Marco Polo HORAIZONを発表。3列目シートにフルフラット機能を採用し、車内に広々としたフラットスペースを確保。就寝時には大人3名までが利用できる