【JR四国】新型車両を利用した特急が増える一方で――
新型車両の導入が順調に進められているJR四国。ダイヤ改正で、特急用の電車8600系で運転される特急「しおかぜ」「いしづち」と、特急用の気道車2600系で運転される特急「うずしお」が増えることとなった。2車両ともJR四国の社内デザイナーがデザインした新造車両で、評判もなかなか。人気デザイナーに頼らず、独自の新型車を生み出す姿勢が目を引く。
新造車が増える一方で消えていく車両も。JR四国の2000系は、気道車としては世界初の制御付き振り子式車両として開発された。1989(平成元)年に製造されたTSE2000形が、鉄道史に名を残す2000系最初の車両となった。この試作車両の編成3両がダイヤ改正とともに姿を消すことになった。
【JR九州】減便が多く見られる厳しい現状
JR九州は、JR東日本やJR西日本に次ぐJRグループの“優等生”となりつつあった。鉄道事業以外に、多角経営に乗り出し、新規事業それぞれが順調に推移していた。
しかし、ベースとなる鉄道事業が、度重なる大規模災害や、利用者減少の荒波を受け、厳しさを増しているように見える。熊本地震による豊肥本線の寸断、さらに昨年の大水害による久大本線や日田彦山線の長期不通など、鉄道事業を揺るがす大きな負担となっている。そのため、一部の優等列車の減便や、閑散路線の運行本数を減らすなど、今回のダイヤ改正でもマイナス要素が目立ってしまっている。
在来線の特急列車の本数や、運転区間の見直しが多くなっている。なかでも減便の割合が大きいのが特急「有明」。ダイヤ改正時までは博多駅〜長洲駅(ながすえき)間に上り2本、下り3本の運行で、長洲駅着が深夜1時20分と帰宅する利用者に重宝がられる列車も運行されていた。
それがダイヤ改正以降は、大牟田駅発の博多駅行きとなり、上り大牟田駅発6時43分のみになってしまう。区間短縮、さらに上り片道1本のみとは、なんとも思い切ったものだ。
ほかにもこうした例が見られる。
鹿児島中央駅と肥薩線の吉松駅を結ぶ特急「はやとの風」。錦江湾越しの桜島を眺めや、嘉例川駅や、大隅横川駅(おおすみよこがわえき)といった、明治生まれの駅舎が残る駅に停車するなど鉄道好きに親しまれてきた観光特急だ。
この「はやとの風」の運行日が毎日から、週末や長期休みの期間のみに限定されることになった。
同列車の終着駅・吉松駅からの北側区間は、さらに状況が厳しい。肥薩線では「山線」と呼ばれる吉松駅〜人吉駅間。スイッチバック駅の大畑駅(おこばえき)や真幸駅(まさきえき)がある険しい線区だが、この区間は走る列車がこれまでの5往復から、1日わずか3往復に減る。珍しいスイッチバックがあり、また日本三大車窓が楽しめた風光明媚な路線の旅が、かなり不便になりそうだ。
厳しい現実を見せつけられたJR九州のダイヤ改正の内容。一筋の光明を見いだすとしたら特急「あそぼーい!」の復活だろうか。
「あそぼーい!」は熊本地震が起こる前までは、豊肥本線の熊本駅〜宮地駅(みやじえき)を結ぶ人気のD&S(デザイン&ストーリー)列車だった。熊本地震以降には、臨時列車として、各地で運行されていたが、3月17日以降は、大分県の別府駅と肥薩線の阿蘇駅間を走ることになる。
週末や長期休み期間のみの運行となるが、パノラマシートから見る前面展望の楽しみが復活するわけだ。期待したい。