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鉄道
2018/6/14 21:00

古き良き時代にタイムスリップできる「英国式保存鉄道」の魅力

レトロな空間で豪華な食事「ディナートレイン」

保存鉄道のもう1つの大きな魅力は車内での食事だ。レトロな装飾をまとった客車の中でふかふかの椅子に座りながら、ゴトゴトと蒸気機関車が牽く列車でフルコースの食事が堪能できる。イギリスと日本から昔ながらの食堂車がほぼ消えてしまったいま、このように再び旅情あふれる体験ができるのが売りだ。ドレスコードがありスーツやドレスを着用しなければならない高級なディナーから、カジュアルな服装でリーズナブルな値段で参加できるランチなど幅広い種類がある。

↑ウェスト・サマーセット鉄道の食堂車の様子。通常は予約が必要だが、この食堂車は一般の列車についており、気軽に食事が楽しめる

 

↑保存鉄道のディナー列車で提供されるメニューの一例。ラムロースにポテトと旬の野菜

 

このほかにも伝統的なイギリスと紅茶とお菓子を堪能できるアフタヌーンティーが提供される列車や、地ビールやエールなどが生で飲める「Ale Train(エール・トレイン)」なども頻繁に運行されており、保存鉄道を訪問した際には食事も楽しむことをおすすめする。

↑一部の列車ではビュッフェカウンターがあり、ドラフトビールや地元のエール酒などが堪能できる

 

このようにイギリスの保存鉄道は様々な楽しみ方があり、列車が特別好きな人でなくても十分に満足できるだろう。もし一度イギリスを訪問する機会があれば近くの保存鉄道へ寄ってみてほしい。そこにはきっとほかでは味わえない世界が広がっている。

↑ノース・ヨークシャー・ムーア鉄道のゴースランド駅で発車を待つSL。ここの駅は「ハリー・ポッター」シリーズの映画で登場し、人気スポットとなっている

 

オススメの保存鉄道8選

魅力的な場所はイギリス全土に広まっているが、こちらでは筆者のオススメの保存鉄道8選を紹介する。

1- セバーン・バレー鉄道(Severn Valley Railway):その名の通りイギリス最長のセバーン川の中流に沿って線路が引かれている。豊富な客車類と大規模なガーラが魅力。途中のハイリー駅の博物館も必見。http://www.svr.co.uk/

2- スワネッジ鉄道(Swanage Railway):海岸のリゾート、スワネッジを起点とする保存鉄道。近くの海岸線は恐竜の化石がよく見つかるため「ジュラシック・コースト」と呼ばれており、様々な興味深い地形や地層が観測できる。https://www.swanagerailway.co.uk/

3- グレート・セントラル鉄道(Great Central Railway):一部複線区間を保有する大規模な保存鉄道。せわしなく蒸気機関車が動き回り、まるで現役当時の様子を見ているよう。ここのダイニング列車はお手頃な値段で楽しめる。http://www.gcrailway.co.uk/

4- ブルーベル鉄道(Bluebell Railway):イングランド南部に位置し、ロンドンから気楽に日帰りで訪問できる。19世紀に製造され未だに乗客を運ぶ蒸気機関車と客車は必見。https://www.bluebell-railway.com/

5- ノース・ヨークシャー・ムーア鉄道(North Yorkshire Moor Railway):ヨークシャーの丘陵地帯の国立公園の中を通る鉄道。素晴らしい眺めが拝める他、夏季にはフィッシュ・アンド・チップスが有名な港町、ウィットビーに乗り入れる。「ハリー・ポッター」シリーズの撮影に使用されたゴースランド駅も人気。https://www.nymr.co.uk/

6- ダートマス蒸気鉄道(Dartmouth Steam Railway):イングランド南西のダート川の河口を目指す鉄道。汽船などにも乗れて一日満喫できる。https://www.dartmouthrailriver.co.uk/explore

7- ウェルシュ・ハイランド鉄道(Welsh Highland Railway):ウェールズのナローゲージ鉄道の一つ。可愛らしい客車に揺られて眺めるウェールズの山々は絶景。展望車の一等席にも追加料金で乗れる。http://www.festrail.co.uk/

8- ビーミッシュ博物館(Beamish Museum):北イングランドに位置する20世紀初頭の街を再現した野外博物館。街中には保存された昔ながらの二階建ての路面電車やバスが走っており、タイムスリップした気分になれる。上記の保存鉄道とは異なるが訪問をおすすめする。http://www.beamish.org.uk/

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