シングルタイヤが静かなことをご存知?
シングルタイヤのメリットはそれだけではありません。前述したように、振動と密接に関わってくるのが「音」。音の発生するメカニズムにはいくつかの要素がありますが、そのなかで最も大きく影響するのが振動です。
ダブルタイヤの場合はキャスターの軸とタイヤの軸が離れていることから、どうしても不規則な動きを常にしていることになります。実は片方のタイヤが上がってはもどり、次に別のほうが上がって下がり、片方だけ上がって下がるなどといったような動きを細かく繰り返していて、それが音になっているのです。
これはダブルタイヤ特有の現象で、シングルタイヤではそのような動き方はしないので、振動が圧倒的に少なく、その結果、静粛性も向上します。特に荒れた路面では音の違いが顕著。「ダブルタイヤのベビーカーを押してくると、ダブルタイヤだとすぐ分かります(笑)」と加藤さんは言います。
実際にどれぐらい違うのでしょうか? 詳しく測ってみると全然違います。専門の測定メーカーとのコラボレーションにより、ブロック敷きの路面で「ランフィRA8」とダブルタイヤのベビーカーを押したときのタイヤ近傍に設置したマイクラウドネスの結果はこの通り。平滑面において、実に約3分の1も走行音が静かであることがわかりました。シングルタイヤは条件が悪くなるほど優位になると加藤さんは言います。
このように静粛性にも優れることが明らかなので、「シングルタイヤは音も静かだ」ということをもっと伝えていきたいと加藤さんは強調します。
「ピジョンが競合他社さんと差別化できる要素として、シングルタイヤによる走りやすさという価値はあると自負しています。軽さももちろん大事だし、見た目の好みもあると思いますが、ママさんが使うことを考えると、ベビーカーを選ぶときにはもっといろいろな着眼点を持っていただいて、そのなかでもぜひ走行性能というものをもっと意識していただき、さらに音という部分にも目を向けていただけると幸いです。そうした走行性能に優れたベビーカーを選ぶと、より快適に子育てしていただけることをもっと伝えていきたいと思います」
日本のベビーカーにイノベーションを
そんなわけで冒頭でもお伝えしたとおり、いろいろお話をうかがって、もしもいま私がベビーカーを選ぶとしたら絶対にピジョンのランフィだと強く思ったわけです。筆者だけでなく、シングルタイヤはよいものだということが幅広く理解されると、いずれは日本でも走りのよさで選ぶことがベビーカーの常識となるかもしれません。
それにはまず少しでも多くのユーザーによさを実感してもらうことが大事。ピジョンではクルマの試乗会のように、「シングルタイヤ走行体験会」を全国各地で実施し、店頭の段差や疑似ロードを設定したスペースで実感してもらえる機会を設けているので、関心がある方はぜひ足を運んでみることをおすすめします。
走行体験会詳細はコチラ
テクノロジーの集合体である自動車に比べると、ベビーカーの進化というのはずっとゆっくりであることには違いありませんが、まさしくこうした取り組みからブレークスルーが始まるのではないだろうかと思います。ピジョンのシングルタイヤには、日本のベビーカーに変革をもたらすことを感じさせるだけのインパクトがありました。