【駿豆線1】元西武線のレトロ車両ほか多彩な電車が走る
伊豆箱根鉄道の2路線を同じ日に巡るとなると、小田原駅から三島駅への移動が必要となる。
もちろん東海道新幹線での移動が早くて便利だ。とはいえ乗車券670円のほかに特別料金1730円が必要となる。ちなみに在来線ならば乗車券の670円のみで移動できる。所要時間は新幹線が16分、在来線ならば40分ほどと、差は大きく悩ましいところだ。
さらに、小田原駅と三島駅間を直通で走る在来線の普通列車は少なく(特急はあり)、熱海駅での乗換えが必要となる。小田原駅はJR東日本だが、途中の熱海駅がJR東日本とJR東海の境界駅で、三島駅はJR東海の駅となる。ICカードを利用した場合は、下車した駅で改札をそのまま通ることができない。窓口や精算機で乗継ぎ清算が必要となるとあって、やや面倒だ。
駿豆線を走る電車はすべて長さ20m車両で、大雄山線に比べて変化に富む。大雄山線が5000系だけだったのに対して、駿豆線の自社車両は1300系、3000系、7000系の3種類。さらにラッピング電車や色違いの車体カラー、JRの特急列車の乗り入れもあるので、より変化に富む印象が強い。
三島駅から駿豆線の電車に乗車してみよう。駿豆線の三島駅は南側にあり、JRの通路からも直接ホームへ入ることができる。JRの三島駅南口と並んで、伊豆箱根鉄道の駅舎も設けられている。
ホームは小田原駅とは逆で、JR東海道線のホームが1〜4番線、新幹線ホームが5・6番線。そして駿豆線のホームが7〜9番線となっている。ちなみに駿豆線に乗り入れる特急「踊り子」は、1番線ホームを利用している。
【駿豆線2】富士山の清らかな伏流水が街中を豊富に流れる
三島駅から緩やかなカーブを描き、東海道本線から離れていく。そして三島市内をしばらくの間、走る。
三島は富士山麓から湧出する伏流水が豊富に流れる街だ。三島駅の次の駅、三島広小路駅の近くでは源兵衛川をまたぎ、さらにその先の三島田町駅の手前で御殿川をまたぐ。
いずれも伏流水が流れる河川で、清らかな流れが楽しめる。河川沿いには緑地や親水公園も設けられていて、のんびり歩くのには格好な場所だ。
3番目の駅、三島二日町駅と次の大場駅の間は、前述したように、富士山の眺望が素晴らしいところ。三島市の住宅街が途切れ、畑ごしに富士山と駿豆線を走る電車の撮影を楽しむことができる。
さらに大場駅近くには伊豆箱根鉄道の車両の定期検査を行う大場工場があり、駅側からこの工場へ入る引込線が設けられている。大雄山線の車両も、この工場まで運ばれ、検査が行われているわけだ。
大場駅から伊豆長岡駅まではほぼ直線路が続く。途中駅の韮山駅は、世界遺産にも指定された韮山反射炉(循環バス利用で約10分)の最寄り駅。また伊豆長岡駅は伊豆長岡温泉(バス利用で約10分)の最寄り駅だ。
伊豆長岡駅から先は、狩野川沿いに電車は走る。大仁駅付近で蛇行する狩野川に合わせてのカーブが続く。普通列車で30分ちょっと、まもなく終点の修善寺駅に到着する。
ちょうど修善寺駅には特急「踊り子」が停車していた。「踊り子」に使われる185系だが、走り始めてからすでに40年近い。数年内に185系の退役させることがJR東日本から明らかにされており、ここ数年中に、駿豆線を走る特急「踊り子」はE257系(中央本線の特急「あずさ」「かいじ」に使われた車両)に引き継がれる予定だ。
国鉄生まれの特急形電車の姿もあと数年後には消えていきそうだ。駿豆線ではお馴染のスター列車だっただけに、ちょっと寂しく感じる。