【注目の車両その1】リバイバル塗装車が多い東武8000系
リバイバル塗装車が多いのが東武鉄道。なかでも高度成長期に東武鉄道の輸送を支えた8000系のリバイバル塗装車が多くなっている。
8000系は鋼製のいかにも丈夫そうな造り。約20年間にわたり民鉄では最も多い712両が造られた。車両数の多さと製造年月の長さから「私鉄の103系」とも呼ばれた。のっぺりした前面スタイルから、後年には先頭の左右の窓スペースを上下に広げるなど、車体の更新が行われたが、すでに本線の運行からは離れ、閑散区間へ働き場所が移っている。
そんな残った8000系の一部が検査の時にリバイバル塗装車に塗り替えられている。
まずは東武東上線の開業100周年を記念して、2014年にセイジクリーム塗装の編成が登場、その年に8000系誕生時のカラーを再現したツートンカラー車両(ロイヤルベージュとインターナショナルオレンジ)が登場した。
さらに翌年には東上線全線開通90周年を記念した「フライング東上」塗装車も走り始めている。太平洋戦争後のレジャー復興期に登場し、東上線の人気列車となった車両の色だ。
ここで紹介した8000系リバイバル塗装車は、東武東上線の小川町駅〜寄居駅間や、東武越生線の坂戸駅〜越生間といった閑散区間を走っている。東上線の小川町駅に当日の運転状況が掲示されているので、確認してから巡るのが賢明かも知れない。
東武東上線や東武越生線のリバイバル塗装車の人気もあってか、東京都内を走る亀戸線・大師線の8000系も2016年から順次、リバイバル塗装に模様替え。すでにグリーン、オレンジ、イエローをベースにした3編成のリバイバル塗装車が走っている。
【注目の車両その2】西武鉄道の新101系も見逃せない存在に
東武鉄道に次いでリバイバル塗装車への塗り替えに積極的なのが、西武鉄道だ。首都圏では東武と西武、リバイバル塗装車の世界の、いわば“東”と“西”の両巨頭が頑張っているとも言えよう。
西武鉄道では新101系がリバイバル塗装車として塗り直されている。この新101系も東武8000系と同じように鋼製車だ。
西武鉄道の101系は1969(昭和44)年に登場。勾配の厳しい西武秩父線への乗り入れようとして作られた。その増備車として1979(昭和54)年以降に登場した101系は前面のスタイルが異なり、「新101系」と呼ばれる。101系、新101系、301系(新101系とほぼ同スタイル)合わせて400両以上という“大所帯”となった。高度成長期に増える利用客の対応した車両たちである。
101系、301系はすでに引退してしまい西武鉄道には在籍していない。残るは新101系のみだが、車歴が40年近くなりつつあるものの、西武多摩湖線や西武多摩川線といった、西武の路線網では比較的、乗客が少なめな路線の輸送を担っている。
新101系のリバイバル塗装化が進められ「赤電カラー」そして「黄色ツートン復刻カラー」車両が登場している。2編成とも2018年10月末現在、西武多摩川線を走っている。
同路線では計4編成の新101系が走っているが、リバイバル塗装車以外の2編成も、それぞれ近江鉄道と伊豆箱根鉄道のコラボカラーに塗り替えられている。こうした多彩な車体色の新101系が増えることにより、逆に多摩川線では、現在の新101系の標準色である白1色の車両が、見ることができないという不思議な現象も起きている。
リバイバル塗装車の増加現象。西武の車両を引き継いだ鉄道会社にまで、このリバイバル塗装車の波が押し寄せている。