【注目の車両その3】旧西武鉄道のリバイバル塗装車もおもしろい
西武鉄道の101系、新101系(301系を含む)は、西武多摩湖線、西武多摩川線を走る車両を除き、全国の民鉄各社に引き取られていった。その車両は今も使われている。おもしろいのは、そうした旧西武鉄道の車両がリバイバル塗装車として塗り替えられ、再びスポットを浴びているところである。
他社を走る元西武電車のリバイバル塗装車を見ていこう。まずは101系よりも古い401系をリバイバル塗装化した近江鉄道(滋賀県)の例から。
1964(昭和39)年に登場した西武鉄道の401系。近江鉄道では、この401系が多く移籍し、改造され、今も現役として活躍している。その1編成が「赤電カラー」として復活された。正面に行先案内板を差し入れるサボ受けまで取り付けられレトロな趣たっぷりの姿となった。
ほか、伊豆箱根鉄道大雄山線では「赤電カラー」が復活。伊豆箱根鉄道駿豆線では「黄色ツートン復刻カラー」が復活した。
近江鉄道、伊豆箱根鉄道は西武グループの一員であり、こうしたリバイバル塗装車のブームに乗った印象が強い。
おもしろいことに三岐鉄道三岐線(三重県)にまで元西武鉄道のリバイバル塗装車が登場している。三岐鉄道三岐線を走るのは、すべてが西武鉄道から移籍した車両。同社の車体は黄色いベース色に加えて車体スソ部分がオレンジ色で塗られている。
2018年、この1編成である801形が黄色一色に塗り替えられた。同801形は元西武鉄道の701系だった車両で、登場当時はレッドとベージュの「赤電カラー」だった。その後に、西武鉄道の標準色が黄色になるにしたがい、701系も黄色1色に塗り替えられていた。
元西武鉄道でおなじみの色、リバイバル塗装車が三重の土地で復活したのである。ちなみに筆者は西武鉄道の沿線が出身地ということもあり、強く引きつけられ、復活後、さっそく三岐線の沿線に駆けつけたのは言うまでもない。
【注目の車両その4】しなの鉄道の115系からも目が離せない
鋼製車は塗り替えが必要という弱点を、逆手に取ったように活かしている鉄道会社がある。それが、しなの鉄道だ。北陸新幹線の開業以降、長野県内を走る旧信越本線の軽井沢駅〜篠ノ井駅間と、長野駅〜妙高高原駅間の運営を引き継いで列車を走らせる。現在の車両は115系のみ。115系といえば首都圏や関西・山陽地方を走る近郊形電車として長い間、親しまれてきた車両だ。
JR西日本の路線にはまだ多くが残るが、JR東日本の路線ではすでに新潟地区に残る車両のみとなっている。長年、多くの人が利用してきた車両だけに、親しみ度合いも深い。地域ごとに車両色が変わり、国鉄当時からの色を含めバラエティに富んだ色づかいが115系の魅力ともなっていた。
当初、しなの鉄道ではJR東日本から引き継いだ115系を「しなの鉄道色」という標準色で塗り変えたが、2017年から次々とリバイバル塗装車に変更している。同社ホームページではこれらの車両の運行予定まで発表。沿線を訪れる人たちにも好評となっている。
このように115系の代表的なリバイバルカラーの復刻以外にも、しなの鉄道では「二代目長野色」や「コカ・コーラ」レッドカラー車両など、楽しい塗装車を復活させている。