【発見の旅5】富岡製糸場以外にも発見が多い上信電鉄の沿線
上信電鉄の沿線は観光要素にも事欠かない。
世界遺産に登録された富岡製糸場はもちろんのこと、駅からやや離れてはいるが、ぜひ訪れたい城下町。最近注目のB級グルメ、隠れたようにひっそりと立つ史跡など、訪れてみたいポイントがふんだんにある。
ここからは写真を中心におすすめの観光ポイントを紹介しよう。
◆佐野橋(佐野のわたし駅から徒歩約2分)
高崎市街の西側を流れる烏川(からすがわ)。上信電鉄が渡る烏川橋梁付近には、大正期まで渡船場があったとされる。近年、駅もでき、木造の佐野橋を渡れば、対岸まで散策が楽しめる。
◆城下町・小幡(上州福島駅から車で約8分)
上州福島駅がある甘楽町(かんらまち)の町内には、江戸時代に小幡(おばた)藩という2万石の小さな藩があった。この藩を立ち上げたのは、織田家。
織田信長の次男であった信雄(のぶかつ)。その四男にあたる信良(のぶよし)が立藩した。全国統一を目指した信長の孫にあたり、また残された直系にもあたる信良だったが、すでに徳川の天下となり、小さな藩の支配しか認められなかったわけだ。小幡では7代にわたり織田家の統治が続いたが、7代目が蟄居処分となり、出羽(山形)高畠藩(たかはたはん)に移封されている。そんな織田家ゆかりの地が、群馬の地にあることがおもしろい。
◆富岡製糸場(上州富岡駅から徒歩約10分)
日本の近代化のために1872(明治5)年に設けられた富岡製糸場。今も敷地内に多くのレンガ建ての建物が残され、往時の姿を伝えている。2014年に富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産に登録された。
近代日本の礎を築いた製糸場とその関連遺産だけでなく、上州富岡駅の近くの倉庫群などにも、当時の富岡の繁栄ぶりが目に浮かぶようで興味深い。
◆下仁田かつ丼(下仁田駅近くの食事処で味わえる)
昨今、駅近くの食事処や店舗が店じまいしているところが多くなっているが、上信電鉄の終点、下仁田駅ではそのような心配は無用だ。
むしろ、ここではぜひ食べておきたいメニューがある。「下仁田かつ丼」だ。かつ丼といえば、普通は卵とじかつ丼や、ソースかつ丼が一般的だが、この下仁田では、揚げたカツをさっと醤油だれで潜らせる。さっぱりした味が特徴だ。大正後期から町内の飲食店で提供された味で、現在では、町の名物として駅そばの8店舗で名物かつ丼の味が楽しめる。
◆上野三碑(山名駅、吉井駅などから徒歩で)
今回は紹介できなかったが、沿線に点在する上野三碑(こうずけさんぴ)も世界遺産に登録され、注目を集めている。
古代(7〜11世紀)に上野国に住んだ朝鮮半島からの渡来人が立てたとされる石碑で、日本では18例しか現存しない石碑の中で最古のものを含む三碑だとされる。
三碑のうち、山上碑(西暦681年・年号は建てられた時期=以下同)へは上信電鉄の西山名駅または山名駅から徒歩約20分。多胡碑(西暦711年ごろ)へは吉井駅から徒歩25分、金井沢碑(西暦726年)は根小屋駅から徒歩10分。吉井駅または山名駅から三碑めぐりバスも運行されている。
歴史好きの方は訪ねてみてはいかがだろう。