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2018/12/14 17:00

サーキット走行、キャンプ泊、工場見学ーーCOPEN(コペン)を愛してやまない編集長が振り返るCOPENの5年とこれから

【その5】コペンのいままでとこれからについて、担当者に色々聞いた

コペンには、ダイハツのフラッグシップカーという側面、ダイハツのスポーツカーという側面、ダイハツのモノ作りを象徴する側面など、多面的な特徴があるが、最も特徴的なのは、ユーザーとの厚い信頼関係である。コペンはこの点、先代よりももっと踏み込んでユーザーとの接点を探っており、この5年で様々な成果が生まれてきている。コペンは今後ユーザーとどのような関係を築いていくのか? イベントなどユーザーとのコミュニケーション作りを担当している榊原康政さんに、【その2】でも登場した、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんがコペン ローカルベース 鎌倉で話を聞いた。

コペンの登場以降、ダイハツではユーザーとの接点を設けるため、かつてない活動を行なってきた。その中心人物であるダイハツ工業 国内マーケティング部の榊原康政さんは、自身もコペンオーナーだったことから、当初はダイハツ全車の販促に携わっていたところ、コペンの専任として、件の役目を任されたという。

 

「コペンはダイハツのシンボルであり、フラッグシップとしてブランドをPRしていく役割を担っているクルマです。そこで2代目コペンの登場を機に、お客さまとのコミュニケーションの機会をもっと増やしていこうと考え、様々な新しいことにチャレンジしてきました。お客さまとの距離の近さというのがコペンのよさでもあり、ひいてはダイハツブランドの目指すところでもあります」(榊原さん)

 

大きく行なったことは2つで、「リアルでの接点作り」と「ウェブサイトでの情報発信」。まずリアルでの接点作りについて掘り下げていこう。

 

「現行のコペンになってからは、メーカー公式のイベントに力を入れてきました。これまでダイハツの主催で、コペンオーナーのみを対象に、2014年、2017年、2018年と長野・岡山・秋田で“星空鑑賞”を中心としたイベントを3回実施。さらに、コペンのみにとどめるのはもったいないのでオールダイハツ車に広げるとともに、人口の多い首都圏や大阪圏だけでなく、『LOVE LOCAL』をテーマにして、各地域のお客さまを大切にしていくことを念頭に、2017年以降熊本、千葉、愛媛でイベントを実施しました」(榊原さん)

↑2014年長野県阿智村で開催された「Panorama Drive with Achimura」の様子
2017年10月、岡山県井原市美星町で開催された「LOVE SKY PROJECT #1 STAR DRIVE@美星町 by COPEN 15th ANNIV.」の様子
↑2018年9月、秋田県東成瀬村で行われた「#4 Starlight Viewing@東成瀬村 by COPEN FANS」の様子

 

「その中では、コペンに乗っていらっしゃるお客さま同士の交流を深めていただくのはもちろん、ダイハツ関係者とのコミュニケーションの場を設けたり、お客さまにデザインを公募したりして、それを実車化するプロジェクトも行うなど、これまでにないチャレンジをしてきました。とはいえ、お客さまとのつながりという意味では各地の販売会社(ディーラー)さんのほうが私たちメーカーよりも強固。全国の販売会社さんでも『LOVE LOCAL』を旗印に独自に開催しているイベントもあるので、私たちとしてはそれもしっかりバックアップしてダイハツ車を愛用するユーザーをメーカーとディーラーが一体となって、より大切にしていく取り組みも進めています」(榊原さん)

 

イベントの参加者アンケートでは常に評価が高く、今後も続けるべきかという問いに対して、これまでNOという回答をもらったことは一度もないそうだ。そして同時に、「コペン ローカルベース 鎌倉」や「コペンファクトリー」などのリアルな場所の接点作りにも注力している。

 

「ディーラーというのは基本的にはクルマを買うために意思を持っていく場なので、どうしても敷居を高く感じがちです。そこで、ダイハツ車に乗っていようといまいと関係なく、敷居を低くして気軽にダイハツに触れていただけるようにするためにはどうすべきかを考えました。それが形になったのが『コペン ローカルベース 鎌倉』。一見するとカフェそのものですが、来店されたお客さまとの会話でメーカーの代弁者としてダイハツのよさや思いを伝えてもらうような研修をスタッフに行っています。これによって、クルマに対する印象も変わるかもしれないし、実際に購入につながったケースもあります。

 

また、ここはコペンの拠点として月に1回オフ会を開催しているほか、ここを会場にオーナーズクラブのミーティングが行われることもあり、駐車場がコペンだらけになるときもあります(笑)。コペンが好きなみなさまにとって聖地のような場として認めてもらえるといいなという思いがあります」(榊原さん)

 

一方で、イベント自体はそう頻繁には開催できないのも実情。そこで榊原さんのチームではウェブコミュニティを構築することで、ユーザーとのコミュニケーションを発展させることにも取り組んできた。

 

「ウェブサイトはお客さまとダイハツがいつでもコミュニケーションをとることのできる場です。また、お客さま同士も地域を越えて交流することができます。そのための場としてコミュニティサイト『LOVE LOCAL COMMUNITY』を立ち上げました。実際にやってみると、書き込みに対する反応が想像以上にすごくて驚かされることもあります」(榊原さん)

とりわけ昨年実施した、ユーザーが愛車と風景をからめて撮った写真をカレンダーにするという「カレンダープロジェクト」の反響は相当なものだったという。

 

「本当に写真が集まるのかと疑心暗鬼で、応募期間を4か月設けていて先着順にしていたところ、わずか2日で12枚×12か月分の応募枠がいっぱいになってしまい、うれしい悲鳴が出たほどでした」(榊原さん)

 

リアルな場、バーチャルな場、両方で接点を作ってきたコペン。理想とするユーザーとの関係性とはどんなものなのか?

 

「メーカーとユーザーの理想的な関係性とは、単に売る側と買う側の間でのお金のやりとりではなく、『心』のやりとりができる、本当の意味でお互い親身になっている状態だと思います。一例を挙げると、とある販売会社さんでイベントを行なう人手に困っていたので、ユーザーの方にお声がけしたところ、多くの方が協力を申し出てくれたというエピソードがあります。ユーザーの方々との関係性は近すぎてもいけないとは思いますが、お互いが信頼関係にあって、よりよい空間を作っていける、そんなつながりをもっともっとできるように私としては今後も様々な施策を行っていきたいと考えております」(榊原さん)

 

【12月3日に公開されたティーザーと言いつつほとんど情報が載っていない謎の予告サイトはコチラ

 

【まとめ】

榊原さんは非常にさらりとお話してくれたが、コペンが掲げる理想は非常に高いものだ。とはいえ、個人的にはコペンはもはや単なるクルマという存在を超え、人生の幅を広げてくる領域に足を踏み入れていると感じる。単に移動範囲が広がるだけではなく、コペンを通じてこれまでできなかった体験ができる。星を見るイベントなどはその最たる例だろう。

さて最後に、このところ新しいニュースのなかったコペンだが、ひさびさに何かが起こるようだ。冒頭と中盤で何度も触れたように12月3日にティーザーサイトが立ち上がったが、書かれているのは、「2018年12月19日 COPENに何かが起こる!」という文字とカウントダウンの表示のみ。

コペンのダイハツ公式Facebookには多くの憶測コメントが寄せられているが、ティーザーサイトというと、シルエットを見せたり、一部をチラ見せしたりするのが一般的。果たして、今回の発表はどのようなものなのか? 12月19日と今後の情報、そしてこれからのコペンに期待が高まるばかりだ。

 

インタビュー/岡本幸一郎 撮影/小関一尚

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